paint work’s 塗装工事に関する blog

建築塗装をはじめとした 色々な塗装工事についてのブログです

work3 アルミサッシの塗装 や 腐食

アルミサッシの塗装

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前回の記事で書いた、 

paintwork.hatenablog.com 

で塗装のリフォームの際、外壁塗装だけでなく塗れる箇所は全体的に塗ることが殆どだと書きましたが、殆ど塗らない箇所もあります。

「アルミサッシ」です。

その他にも「鋳物製の物(例えば門扉など)」 などもありますが、今回は「アルミサッシの塗装」や「腐食」などについて私自身、難しい話は苦手ですので、私の経験上での「アルミサッシの塗装」について書こうと思います。

アルミサッシの塗装 

アルミサッシの塗装は、一般的には住宅の塗り替え塗装工事時の見積もりには殆ど入れることがなく、お客様の方から相談されない限り見積もりには入っていないと思います。

その主な理由としては、

・後々、剥がれなのどトラブルの原因の可能性ありと思われている

・そもそも そんなに傷んでいない

 ・費用がかさむ

などですが、アルミサッシの塗装に関しては色々な意見があり、「塗装は可能だ」 と、言う人や、「塗装してもすぐに剥げる」 という人もいます。お客さまからすれば「どちらを信じればいいのか」 わかりませんよね。

私の見解は「どちらも間違っていない」です。ただ、「どちらも正しい」ではないです。この辺のニュアンスは以下の記事でご自身で判断して頂けると助かります。

お客様がアルミサッシを塗装したいと考える理由は大体次の2通りです。

1)「別の色に変えたい」

2)「サッシの表面に白い斑点(ブツブツ)が出ている」

 

1) の 「別の色に変えたい」 は、民間の住宅では少なく、主に店舗などの塗装工事においてイメージを合わせる為に。が殆どです。

2) の 「サッシの表面に白い斑点(ブツブツ)が出ている」 という事が、アルミサッシの塗装を考える理由で一番多いと思います。

アルミは錆びやすい 

アルミは錆に強いと思ってる方も多いと思いますが、実は鉄より錆びやすい金属で、空気中ではすぐに酸化して、表面に白っぽい錆(酸化アルミニウム)という膜ができるそうです。(わかり易く言うと1円玉が白っぽくなる現象みたいです) 

酸化被膜

この錆びは「酸化皮膜」と呼ばれ、表面の酸化皮膜を削ると、新しい面が直ぐに錆びて、新しい酸化皮膜に覆われるそうです。ですが、この錆は表面を膜のように覆って、内部がそれ以上さびないように保護する性質の錆なんだそうです。つまり、「アルミの地金に塗装する」という事は「錆びの上に塗装する(酸化被膜の上)」と、いう事なんですね。(極端に言えばですが)

アルミサッシではこれを人工的につける、アルマイト」 と言う特殊な 「表面処理」を施しているのだそうです。ですが「アルマイト処理」だけでは不十分ですぐに錆びてしまう為、その上から「封孔処理」や「コーティング処理」もしているそうです。

では、「酸化皮膜は内部がそれ以上錆びないように保護する性質の錆で、人工的にアルマイト処理しているのだから、表面に白い斑点(ブツブツ)など出来ないのじゃな?。」と思うとおもいます。ですが、実際には白い斑点(ブツブツ)が出来ている箇所もありますよね。

白い斑点の原因

電食

これは、飛来してきた鉄粉などが付着し他金属との接触や、屋外によるさまざまな現象により表面にキズ(微細なものも含みます)ができ、そのキズ表面にホコリなどが溜まった状態で水分が入り込む(結露などでも)と、「局部電池」ができ、酸化被膜が破壊され(腐食)して溶け出すのだそうです。その様な状態の事を「電気的」な腐食なので、「電食(電蝕)」というそうです。

経年劣化による、「コーティング処理」の劣化なども、「局部電池」が出来やすくなる理由になると思われます。 鉄粉自体は目に見えないほどの物が多く、自動車を所有している方なら分かると思うのですが、目で確認出来ないくらいの小さなものですが、触るとザラザラとした感触で付着しているのが確認出来たりします。

ガス腐食 

それから、「ガス腐食」 という腐食もあるみたいです。アルミサッシの取り付け近くに「給湯器」があると、排気ガスがアルミサッシにかかり、「燃焼ガス成分」の硫黄酸化物、窒素酸化物が水分と反応し、硫酸や硝酸となり、酸化被膜が破壊され(腐食)をおこすそうです。

塩害など 

「酸化被膜」は酸性やアルカリ性の環境下で破壊されてしまい、塩化物イオンやアルカリ環境には特に弱い性質だそうです。塩害での塩化物イオンで酸化被膜が破壊され(腐食)腐食が進むと考えられます。原因はそれぞれ違いますが、「酸化被膜が破壊」された時に、腐食し、それが白い斑点(ブツブツ)の正体みたいです。

塗装時の矛盾 

では、実際にアルミサッシを塗装すると仮定すると

1)白い斑点 (ブツブツ)を取り除く。

2)下地材を塗布 (プライマーや錆び止め塗料、プライマーサフェーサーなど)

3)中塗り (一般的だと上塗りの1回目)

4)上塗り (一般的だと上塗りの2回目)

※ メタリック系の仕上げだと最終的にはクリヤーで仕上げるので、中塗りと上塗りは変わります。また、仕上がり具合で塗り回数も変わる場合があります。

と、言う工程になるわけですが、ここで文章ではなかなか伝わりにくいとは思いますが、実作業での矛盾がうまれてきます。まず、金属やブラスチック樹脂などを塗装する時に、下地との密着性を高めるために 表面の清掃や脱脂はもちろんのこと、サンドペーパーなど(番手は色々あります)で表面に細かなキズを付けます。塗装を施す面がツルツルのピカピカで綺麗なほど密着しにくいので、細かなキズを作りそこに塗料を食い込ませると言う考え方です。

矛盾

「白い斑点 (ブツブツ)」 は点在しているわけで、「白い斑点 (ブツブツ)」 だけを取り除けた(取り除いた)としても、その他の所はツルツルで塗料の密着は良くありません。したがって、全体的にペーパー掛け作業をすることになります。そうすると、必然的に表面処理を削ってしまう事になります。

地金が出やすく(出てしまい) 地金が露出すると酸化皮膜という錆びの膜が出来るので特殊な錆の上に塗装する(酸化被膜の上)と、いう事に繋がってしまいます。

下塗り材 

次に下地との密着を高める為に下地材を塗布するわけですが、「錆びの上に塗装する」と、いう事に繋がってしまう為、特殊な(専用な)下塗り材が必要になります。矛盾を解決する為にも使用する下地材は 限られてきます。

2液型変性エポキシ錆び止め塗料

エポキシはアルミの上(酸化皮膜の上)に塗装できるとされ、 その中でも2液型変性エポキシは、 付着性に優れ、各種の上塗り塗料に適応するそうです。

エッチングプライマー(別名ウォッシュプライマー)

エッチングプライマーは、 アルミの酸化皮膜を燐酸&クロム酸化合物で別の物質に変性させ、 樹脂が乗ることが出来るようにするそうです。ですが、アルミなど、金属の地金に塗布しなければ意味がないため、サンドペーパーなどでの錆び落としやキズつけなどでは、地金を完全に出すことが困難で少しでも表面処理(コーティング)などが残ってしまうと、塗布しても全体面に対しての効果は望めない様に思われます。

密着プライマー系

メーカーによるうたい文句(特性)は、

①ぺーパーサンディングよりも強力な密着性能は、他に比類するものはありません。

②従来の密着剤等で密着不十分な所でも、完璧に密着し、且つ長期耐久性に秀れます。

③強力な性能ですが、一液・速乾タイプで使いやすく、作業性は最良です。

③ウォッシュプライマーのように、クロム等有害重金属を含まず環境衛生・労働安全に配慮しています。

④上塗り塗料も広範囲で、塗装機器を選ばず、秀れて実用的です。

だそうです。

現場作業でアルミサッシを塗装すると考えた場合、現実的な下塗り材は、

・2液型変性エポキシ錆び止め塗料

・密着プライマー系

この2種類になるかと思います。ただ、どちらの下塗り材を使用したとしても、現状では現場作業に適したこれ以上の下塗り材がないだけで、「錆の上に塗装する(酸化皮膜の上)」と、いう事自体が変わるわけではないです。

他の下塗り材

上で挙げた2種類の下塗り材とは別に特殊系の下塗り材もあります。特殊系の下塗り材は効果も高いですが材料が一般の物より高額です。また、知識と技術がないと効果が発揮できない物もあります。 

paintwork.hatenablog.com

 

私の見解は塗装においての生命線は下地にあると思っています。現場作業などでは工場などで行う下地処理などは出来ない場合が多いです。ですので、次回以降で現場作業での現実的なサンプルを作成して検証していきたいと思います。

今回のまとめ 

現在では 正しい施工法と、適切な材料選びをすれば、アルミサッシにも塗装する事が出来ると思います。ですが、その殆どが現場作業、手作業なため、さまざまな状況によって塗装が剥げる可能性は十分にあります。また、上手く塗装でき 密着が良好だとしても、新品の製品 「アルマイト処理」~「コーティング処理」を、施した製品よりも塗膜が厚くなってしまいますので物などが当たるとキズが付きやすく、そこから塗料の剥げる原因になってしまいます。 

私的見解

アルミサッシに塗装を施し綺麗にすることは可能です。ですが、塗装にも当然寿命がありますので、寿命がくれば剥がれるでしょう。 塗料の剥げ方として、

・粉状に色が薄れていく(チョーキングと呼ばれます)

・膨れや捲れになり文字通り剥げる(私の周りでは花が咲くと言っています)

の2種類がありますが、チョーキングだと粉状に色が薄れていくので、そんなに見苦しくなく、また再塗装なども検討できますが、花が咲いた場合は、塗装面がビラビラと剥げ、とても見苦しく、また、再塗装するにもとても手間が掛かります。

下地との密着が良い場合だと、ウレタン塗料以上のグレードの塗料ですとチョーキングによる剥げ方が多いですが、下地との密着が悪い場合は高級な塗料を使っても広範囲に塗料の浮きが生じる為、花が咲く状態になります。

つまり、アルミサッシの塗装については、下処理と下塗り材」が肝になります。施工にあたってはその辺の知識や技術がないと出来ません。DIYなどで素人の方などは下塗り材などは使用せずにいきなり上塗りなどを塗る傾向がありますが、そのやり方だと「必ず」塗料が剥げます。

塗装費用も安くはありません。数年で塗り替えをしなくてはならなく、その繰り返しになるのであれば、先々の事を考えると、ボロボロになるまで放置(もちろん清掃などはする前提で)して、機能障害になってしまった場合に新品に交換するという考え方もあるかと思います。

私の経験上、白い斑点 (ブツブツ)が発生する場所として、雨などにあたらない場所が多いような気がします。サッシの表面やキズ表面にホコリなどが溜まるが、雨などで流されない為、「局部電池」ができ、腐食(酸化被膜が破壊)して溶け出すのだと思われます。お手入れが面倒な場合は、雨などがあたらない場所だけでも、やわらかいウエスなどで拭き取ってあげれば、白い斑点が出にくくなるのではと思います。

以上の事から、アルミサッシの「塗装は可能だ」 と、言う人や、「塗装してもすぐに剥げる」 という人もいるのでしょう。

 

続きは 

アルミサッシに塗装を行ったサンプルを作成して経過を見ていきます。

サンプル塗装の3年経過後の記事です。 

paintwork.hatenablog.com

 

今回はこの辺で。