work4 サイディング外壁の塗装 その① 最初に知っておきたいこと
サイディングボード壁の種類
住宅の塗装工事においての塗装とは、「外壁」の塗装が大部分をしめます。さまざまな外壁材がありますが、今回は「サイディングボード」の事を私なりの見解で書いてみたいと思います。
近年の住宅の外壁は「サイディングボード」が多くなってきました。私が仕事で新築工事に入る家では、その殆どの家の壁に「サイディングボード」が使われています。勿論、そうではない家もありますが、現在ではもっとも多く使われている外壁材だと思います。
サイディングの種類も、
・「窯業系」
・「金属系」
・「木質系」
。「樹脂系」
と、色々ありますが、広く使われているのは 「窯業系」 だと思います。
特殊コーティングの外壁
少し話しがそれますが、私の知人が大手ハウスメーカーで、数年前に新築を建てました。その時にメーカーさんから、「特殊なコーティング処理をしている外壁材なので、塗装はしなくていいです。」と、言われたそうです。多分、「特殊コート」をしてある「窯業系サイディング」なのだと思います。
当然、その知人は「ずっと塗装はしなくていいんだ」と受け取っています。
現実的な話
現実的な話をしますと、塗装を行わなくてもサイディングボード自体の寿命は何十年とあります。
ですが、綺麗な家を長く維持していきたいと思う人には、「ずっと塗装はしなくてもいいサイディング」は、無いです。
理由は、まずは汚れ。自分の家の屋根や外壁が汚れていると気になる方は多いと思います。確かに特殊コーティングを施した外壁板は汚れにくいですが、その効果も次第に弱くなっていきますので、経年での表面の劣化は起こります。
サイディングボードの中でも多い、「窯業系」は素地のままだと水に弱いです。水を吸いこみやすいです。ですのでトラブルも様々な事例が考えられます。
それ以外で現実的な話ですと、各ハウスメーカーが「リホーム課」を作って、自社で建てた家を見込み顧客ターゲットとして、塗装も含めたリホームで家を建てた以降にも利益を上げる戦略だからです。
塗装工事というのは他のリフォーム工事と違って、手っ取り早く利益が上げられるのと、ほぼ外部工事なので、雨天時は作業が出来ないですが、お客様が留守でも出来る作業なので進めやすいからです。サイディングボード壁を生産している会社なども劣化しない物を作れば 以降仕事が減ってしまいます。「ずっと塗装しなくてもいい外壁」なら塗装リフォームなんて必要ないので、塗装リフォームでの利益が減ってしまいます。
もちろん、「家が古くなったら建て替える」人には関係ない話です。
特殊コーティングの種類と特徴
通常のサイディングボードと比べると 特殊コートを施したサイディングボードは確かにボード表面の綺麗さは長持ちします。と、いえども経年劣化しますので、長い目で見れば 家を長く維持していくには塗装も含めメンテが必要になります。
サイディングが傷んでいないとしても、経年による汚れなどが気になるから塗装する場合もあるでしょうし、単純にサイディングが傷んできた、または目地などのコーキングや、パッキンが傷んできたのでついでに外壁も塗装するということもあると思います。
特殊コートとは、
「無機コーティング」 、
「光触媒コーティング」、
「フッ素コーティング」
などで、表面をコーティングしてあるサイディングボードの事です。主な特徴として、
「無機」なら紫外線に強く耐久性が高い。
だそうです。
塗料でも「無機」や「光触媒」、「フッ素」はありますので、私も「塗料」の方では 使用したことはあります。どれも「高価」な塗料です。
一般の方では、「無機」よりも「光触媒」や「フッ素」の方がよく耳にするかと思います。TOTOが開発した「ハイドロテクト技術」によって「光触媒塗料」が生まれました。最初は透明(クリヤー系)しかなかったのですが、後から 色付(カラーコート)も、追加されました。
追記: TOTOハイドロテクトコートは2017年6月にサイト閉鎖。塗料としての販売は廃止になりました。理由は色々とあるでしょうが、施工業者や施工したお客様はどういう気持ちなのでしょうかね。
事例
かなり前になりますが、実際に起こった事例で、私の先輩にあたる同業者の方が「光触媒塗料」の塗装を施工していたのですが、色付(カラーコート)での施工後に「色ムラ」がでて結構なクレームになったそうです。また、別の業者でも同じような事が起こったそうです。
私も実際に数件みてまわったのですが、「素人目にみてもわかる色ムラ」でした。
当然メーカーに問い合わせして原因をさぐるのですが、メーカーからの返答は、あやふやで 施工に問題があるような言い方。それ以来、先輩は「光触媒塗料」を使わなくなりました。
実際に見た現場の1つに、全体的には「光触媒」を使用し、コストの問題で1部分を「塗料メーカーの親水性のある塗料」を、使用した現場があったのですが、「光触媒」を塗ったところの方が汚れていて、「塗料メーカーの親水性のある塗料」の方が汚れていない。と、いう現場がありました。
私が率直に思ったことは、「いかに凄い技術かもしれないけど、やはり塗料メーカーのつくった材料の方が一日の長があるんだなぁ。」 と。
全てがそうでは無いと思いますし、たまたまなのかもしれません。新しい物はそういう問題に向き合い、改良され良い物になっていくのだと思います。
それに、光触媒塗料は「雨に当たらない所ではあまり意味がない」です。太陽の光で汚れを分解し雨の水で汚れを流す仕組みなので、雨の当たらない場所では効果が発揮できないみたいです。
塗料だけではなく、サイディングにコート(塗装)されている光触媒や親水性コーティングなどの特殊系も、雨が当たらない場所では効果が発揮されません。
雨が降っている時に外壁を見ればわかると思いますが、雨では壁はあまり濡れません。軒などがあるからです。住宅密集地ではすぐ隣に建物などが建っていたりして、尚更、雨の当たりは悪いです。
そういう意味でも特殊コートの場合は、「自分で」水道水などかけて汚れを落とした方がいいかもしれませんね。
難付着サイディング
サイディング材での「無機」や「光触媒」、「フッ素」などの、特殊コートされたサイディングの事を「難付着サイディング」と呼んでいます。
「塗装しなくていい」 ではなく、「汚れもつきにくが、塗装も付き難い」という事です。「高耐久性」や「セルフクリーニングによる美観」などは、素晴らしい物だと思います。ですが、経年劣化は必ずありますし、汚れも付着します。
そうなった時に、「塗装が付き難い」 とどうなるでしょうか。
最近では、塗料メーカーから、「難付着サイディング専用下塗り材」も発売されています。「難付着サイディング」が発売されてからまだそんなに経過しておらず、「塗装しなくていい」はずなのに、「専用下塗り」が開発されるのは、なぜなのでしょう。
ですがこの「専用下塗り」も新しい商品ですので、効果のほどはどうなのか私にもわかりませんが。
話がかなり逸れてしまいましたが、今回はこの辺で。
つづきは