work6 サイディング外壁の塗装 その③ 塗装の流れや下塗り材など
サイディング外壁の塗装
今回は 今まで書いてきた事を踏まえて、サイディング外壁に「塗装」するにあたっての注意点などを書いてみたいと思います。
塗装上の注意点
「サイディング」にも色々な種類があること、目地なのど処理の違いがあることを、書きましたが、一連の流れでは広く使われていると思われる、「窯業系サイディング」について書いてきました。(基本的な事は他の種類でも同じだと思います)
では、「窯業系サイディング」を実際に塗装する上で、作業の流れや 使用材料などの注意点など挙げてみたいと思います。
まずは下準備
下地調整も含めて下準備作業は塗装作業では一番重要です。目地などのコーキング処理の状況確認(劣化があれば打ち換えなど)「洗浄」、「清掃(ケレン作業も含む)」、「脱脂」、など。(ケレン作業とは錆び落としや汚れ、剥離した塗膜など、道具を使って清掃する作業です)
外壁材のクラックなのどの補修(コーキング処理など)。下準備が塗装の仕上がり、塗装後の持ちに直結します。
下塗り
下準備につづき、下塗りは塗装する場所に「一番最初」に塗料を塗りますのでとても重要です。それぞれの素材には適した下塗り材がありますので、使用材料などを誤ってしまうと、以降の作業にていくら高級な塗料を使用してもトラブルが起きてしまいます。
「下準備」、「下塗り」はどんな塗装においても重要です。中塗りや上塗りは下塗り材ほどの密着性はありませんので、「下塗り材」 は 「下地との密着をよくする」だけでなく、以降の中塗りや上塗りとの密着性を高めるためにも必要なのです。
使用できる下塗り材料
では「窯業系サイディング」の塗装材料についての注意点ですが、
◎使用する下塗りや中塗り材
・サイディング用シーラー系(下塗り材)
・サイディング用サフェーサー系(下塗り材)
この、2種類しかありません。1液タイプや2液タイプなどがありますが、専用の物になります。他には以前の記事で書いた「難付着サイディング用」の物だけです。
それ以外の下塗りや中塗りは、専用材料があるのに使用する意味が無いです。また、意味が無いだけではなく、後のトラブルにも繋がります。
また、専用ではなくても、「メーカーカタログに」きちんと「適用下地欄」に記入されていれば大丈夫ですが、出来れば専用材料を使うほうが安心できますよね。
使用する下塗りや中塗り材を簡単に説明しますと、
サイディング用シーラー系
「粘度」が低く(多少高いものもあります)「接着剤の役割なようなもの」です。チョーキングなどの現象に効果がある材料の一種で、ひび割れなどがない、比較的塗装する面が良好な場合に使います。
サイディング用サフェーサー系
「粘度」が高く、窯業系サイディング用に専用開発された下塗り材で、ヘアークラックや、表面の荒れなどが確認できるような、傷みのある下地への修復も兼ねた下塗り材です。(もちろんクラックなどはシーリング作業をする前提です)
状況にあわせてこの2種類の材料を使いますが、表面にチョーキングがひどい+表面の荒れが目立つなどの時には、シーラーを塗布してからサフェーサーを塗布する事になりますが、どちらにせよ、下塗り(一回目の塗料ぬり)としてシーラーは塗布します。
下塗り材料の注意点
専用サフェーサーは「フィラー」という下地材に、「見た目がそっくり」です。
近年では外壁の下地材に「微弾性フィラー」がよく使われているのですが、「フィラー」、「微弾性フィラー」共に「窯業系サイディングの下塗り材」ではありません。
ここで話はそれますが、「弾性」という塗料についてちょっとふれてみたいと思います。
「弾性」って言葉は耳にしたことあるのではないかと思います。一口に「弾性」と言っても色々と種類はありますが、ここでは「単層弾性塗料」について、少し書いてみようと思います。この記事でも弾性塗料について書いています。
単層弾性塗料はその昔 一世を風靡した塗料で、上塗り塗料なのに厚みをつけられる施工の作業性の良い施工法と、「防水性が高い」や「ゴム系」なのでひび割れに強いなどと言われてました。
現在では低グレードの塗料になってしまいましたが、セラミックやシリコン配合などの種類もあり、低グレードのイメージを変える物もあります。
モルタル外壁などで、低予算で。などの ある種の条件などであれば、まだまだ候補に挙げれる塗料だと思います。
それから、近年では「微弾性フィラー」と呼ばれる下地材も良く使われています。
「単層弾性塗料」は「上塗り材」なのに対して、「微弾性フィラー」 は 「下塗り・中塗り兼用材」 です。
本来「フィラー」という下塗り材があるのですが、乾燥するとカチカチに固まる「硬質系」なので、ひびわれに追従するのは難しいと言われていました。(しかし、種類によってはとても強度がつよい材料もあります)
「微」な弾性性を持たせる事によって、単層弾性の様に、少しのひび割れに追従できるようにと作られた下地材です。
本来の弾性塗料は「中塗り材」で厚膜タイプで、その上から「弾性力のある上塗り」を使うもので 防水効果やひび防止などを目的として作られた、施工法、塗料なのですが、コストや作業性、目的などで、一般住宅ではあまり使用されていませんでした。
それに追従するかたちで一般向けに広がったのが、「単層弾性塗料」だと思います。
その後、上塗り塗料などにハイグレードな物が出るようになり、そのような物が上に塗れる、単層弾性のような利点をもたせた「手軽な」下地材が「微弾性フィラー」 というわけです。
ここで話を戻しますが、単層弾性などの上塗り系、微弾性フィラーなどの下地系は、サイディング外壁には「塗らないほうがいい」と思います。
経験上、「塗料の膨れや剥がれ」になりやすいです。もちろんならない場合もあります、あくまでなりやすいという事です。
以前は、各塗料メーカーの塗料カタログの「適用下地欄」に「窯業系サイディング」という記入がありました。ですが、最近は記入が無くなっています。(現在も記入してあるメーカーもあります)
新しい専用材料が出たためなのか、本当は適用しないのかわかりませんが。気になる方は各メーカーのHPなどで詳しいカタログが見れますので、調べてみてもいいかと思います。
弾性系を塗って剥がれる原因として、適用下地欄に記入していたころのカタログを見てみますと、老眼の私には見えない字で、「サイディングの蓄熱や、発砲ウレタンなどの断熱材を使用している断熱工法の外壁」などは、「パネルの変形や塗膜の膨れや剥がれを生じる事がありますので十分ご注意ください」。と書いてあります。
私なりの解釈ですが、窯業系サイディングは蓄熱性が高く熱を持ちやすいとの事ですので、ゴム系などの伸び率の高過ぎる材料だと熱で伸縮を繰り返して塗料の浮きや剥がれにつながるのだと思います。
一方、塗料の方も透湿性があまりよい塗料ではないので、(塗料の厚みがありますのであまり透湿性はよくないと思います)熱や湿気などで裏側から発せられたものに対して塗膜が押し上げられ、「膨れ」が出来るのだと思います。
「発砲ウレタンなどの断熱工法」についても高級な部類の断熱施工法なのですが、一方では弾性塗料などに影響を与えるのかもしれませんね。
まとめ
窯業系サイディングには、「専用の下塗り材があり、それを使う。」と、いう事がわかりました。
また、「カタログを見れば書いてある」と、いう事もわかりました。
今回はこの辺で。
続きは