work13 屋根の塗装 金属屋根編
金属屋根編
前回は 屋根の塗装 瓦編を書きました。
今回は「金属屋根」について書こうと思います。
金属屋根の種類
「金属屋根」にも色々種類がありますが、主な物をあげますと、
・ トタン
・ガルバリウム鋼板
・折板屋根
などが代表的でしょうか。また、「アルミ」や「ステンレス」、「銅板」などの、屋根材もありますが、基本的に塗装する物ではないため、今回は除外します。
トタン
(瓦棒など)
(塗装が必要です)
トタン屋根は主に2種類あります。
メッキされた鋼板とメッキされていない鋼板です。メッキされた鋼板は主に「亜鉛メッキ鋼板」などと呼ばれ、メッキされていない鋼板は「カラートタン」(呼称は色々あり)などと呼ばれます。いずれも表面の仕上げは塗装です。
でも紹介しましたが、「酸化皮膜」というものがメッキの表面に出来ます。トタンの傷み具合にもよりますが、メッキ層が生きている場合は、無理に塗装しなくても大丈夫ですが、「見た目的に」やキズやもらい錆びなどの「メッキ層の劣化」などを考えた場合、塗装は必要になると思います。
施工が良くないと「酸化皮膜」のせいで塗装が剥げてしまいます。また、塗装で保護することによって、塗膜が劣化しても、下地のメッキ層は大丈夫ですが、そのまま放置すると錆びてしまいます。paintwork.hatenablog.com
・「カラートタン」はメッキされていないので、「劣化=赤錆び」です。穴が開くほどに傷んでいる場合は、「補修して塗装」もしくは「トタンの張替え」などを検討する必要があると思います。
ガルバリウム鋼板
(注意が必要です)
近年では人気の屋根材みたいです。(外壁用もあります)アルミニウム55%、亜鉛43.4%、シリコン1.6%のアルミ亜鉛合金をメッキした鋼板だそうです。考え方としては「亜鉛メッキ鋼板」の進化版ですね。
カタログ値ではトタンより遥かに耐久性があるようですが、立地条件、施工の熟練度などで、かなり「傷み具合に差がでる部材」だと感じます。それから、塗装面が薄いっていうか、擦れたような傷などはトタンより付きやすいように思います。
よく、「キズが入っても自己修復するから大丈夫」と思っている方も多いようですが、それはメッキ層の上に「酸化皮膜」が形成されるだけで、「塗装層」が修復されるわけではありません。
でも書いたように、アルミサッシでも白いブツブツが出るように、なんらかの要因で「局部電池」が作用したり、異種金属との接触で電食が起こったりします。塗装の上からも電食が起こる可能性はあるので、単にメッキ層の露出だけではないと思います。
「何らかの要因」として、ぱっと思いつくのは、ホコリや鉄粉の飛来、塩害などですが、季節により、雨でなくとも「夜露」などが、発生すれば腐食の要因になりえます。「施工時の切り口」なども、どうしようも無い要因ですが、施工者の熟練度も関係あるかもしれません。
「木板の切れ端」などをガルバリウム鋼板の上に置いてテストしているHPをみましたが、普通に腐食していました。引用は控えますが。あくまでテストなのですが、そんな事でも腐食するのだと思うと不思議ですね。
また、屋根の勾配(水はけなど)なども「差が出る」要因のひとつになりそうです。
しかし、塗り変えとなると塗料との密着が悪く大変な部類の1つです。現在は、専用のプライマーなどありますが、信頼性は何とも言えません。鋼板を造る側は塗り替えなんて考えて造っていないでしょうから。
ガルバリウム鋼板は1972年に開発されたそうですが、建築材料として広まってきたのは近年ですのでこれからどのようになっていくのか楽しみではあります。
折板屋根
(塗装は必要です)
一般住宅における折板屋根は、陸屋根タイプであまり勾配がなく、水はけはあまり良くないと感じます。「結露」が出来やすく、断熱材としてや、結露対策として裏側に、「ペフ」というスポンジ状の部材を張ってあるものもあります。
しかしこの「ペフ」は経年劣化しやすく、ボロボロのペリペリになります。風が吹けば飛んで行きそうなくらいです。改修塗装の際はこのペフを剥がす作業が以外に大変なので、ペフを張っていない方が実は改修には手間が掛からないという事もありますのでペフありは必要ないかとも思います。
身近で見られる場所としては「駅のホームの屋根」などに使われていますので、機会があれば古くなった駅のホームの屋根を見上げてみるといいと思います。塗装(屋根面)の話とはずれますが、「裏面」の塗装的な結露防止策としては、「ケツロナイン工法(菊水化学)」もあります。折板だけではなく建築物内の結露防止・調湿としての用途があります。
また、特徴の1つとして、屋根面に「ボルト」があるタイプ、無いタイプがあります。「ボルトがあるタイプ」はその多くがボルトから錆びが出やすいです。そのため、「ボルトキャップ」を被せる施工法もあります。ボルトキャップを被せる事には、業者によっては「被せた方がいい派」と「被せない方がいい派」とあります。
私の見解では被せない方がいいと思います。理由は、ボルトキャップには、「ナイロン6」という材質をつかっているみたいですが、プラスチックなので屋外での環境では劣化します。 paintwork.hatenablog.com
キャップを被せる(固定、雨水流入防止)ためにコーキング材を使用しますが、将来塗装することを考えた場合、塗装が付くコーキング材ではいけないため、そういうコーキングは紫外線で劣化しますし、また劣化した場合に、雨水が流入してもキャップを被せているせいでキャップ内を1個1個確認する事が非常に困難になります。
キャップを被せない場合は、目視での確認が(痛み具合の)容易ですので、メンテも楽です。ボルトに塗るさび止めを1回ではなく、2~3回程塗布したほうが良いような気もします。
また、「ボルトがないタイプ」でも問題はあります。それは折板のジョイント部(接合部)に、「返り」という折り曲げ部があり、そこにホコリや雨水が(雨漏りはしない構造ですが)入りやすいです。(形状によっては溜まります)。前回と今回で屋根の種類や特徴などをざっと紹介しましたが、次回で塗料や施工法などを書こうと思います。
続きはこちら。
錆止め塗料などの記事はこちら 。
今回はこの辺で。