work29 木目塗装 ウッドグレイナー コーム
木目塗装の種類
今回は「木目塗装」について書いてみたいと思います。
木目塗装は昔からあり、建築塗装の用語では「変わり塗り」と呼ばれる塗り方の1つで、おしゃれな呼び方だと「フォーフィニッシュ」、「デコレイティブペイント」などと呼ばれる、塗装法の1つである「疑似塗装」と呼ばれる物です。
「疑似塗装」にはさまざまな模様や施工法があり、他にも石目調(大理石やみかげ石など)、などが有名だと思います。
「エイジング塗装」という言葉に聞き覚えがある方もいると思いますが、エイジング塗装も疑似塗装の1つです。
「木目塗装」と言っても色々なやり方があり、模様(木目)もさまざまです。木目塗装の方法としては、何通りかの方法があります。
① 書く。
② 道具を使う。
③ ①書く。と②道具を使う。を両方使う。
④ 転写など(水転写など)
です。
①は筆など文字通り木目を書く事ですが、塗装と言うよりは看板屋さんなどの範囲になるかと思います。フリーハンドで書くため木目を書く人のセンスなどによってもさまざまな柄になります。
②は道具を使って木目を表現する方法です。道具を使う場合は、主に「ウッドグレイナー」、「コーム(くし)」、「スポンジ」、「ブラシ」、「刷毛」、「ローラー」、はては、「ラップ」など、色々な道具を使って木目を表現出来ます。
③は文字通り筆と道具を使ってより細かく木目を表現する方法です。
④は印刷された転写シート、安定剤など、専門的な技術や道具などを使った方法から、バケツに張った水の上に塗料を浮かべ楊枝などで模様(代表的な物だとマーブル模様)を書き、転写させる簡単な物まであります。
全てを一度で紹介するのは大変なので、今回は②の、「道具を使って木目を表現する方法」を紹介したいと思います。
道具を使うと言っても色々ありますが、今回は、「ウッドグレイナー」と「コーム(くし)」を使った木目の表現を詳しく説明したいと思います。
この方法は、道具を使う事は同じですが、よくネットなどで見られる、
1・下地に黄色を塗る
2・スポンジや筆、ラップなどで模様を付ける
3・色付ニスなどで色付けする
主に小物など(車の内装部品などによく使用されます)に使用される塗装法とはまったく違います。
道具を使用した木目作り
木目にみえるでしょうか?。
これが「ウッドグレイナー」と「コーム(くし)」を使った木目表現です。この画像は一般的に何所にでも使われている室内用の石膏ボードの上に塗った物です。
このサンプルは、木目模様の上からポリウレタンサンディングシーラー、半艶消しポリウレタンクリヤーなどを塗装して仕上げています。
使用する道具
では、やり方を説明したいと思います。用意する道具は画像のとおりです。
左のコームはそれぞれの面のくしの大きさが違います。真ん中のコームはくしの溝の大きさが段々と変わっています。
ウッドグレイナーです。円形の溝が沢山あります。
ウッドグレイナーもコームも使用時の基本的な考え方は同じです。
塗料を平面に塗り、それぞれ、「塗料を擦り取る」と模様になります。
ウッドグレイナーは「形状」を見てもらえばわかると思いますが、「角度を変えながら、塗料を擦り取る」ように使います。角度を変えるスピードによって、「模様の長さや間隔」が変わります。
具体的なやり方
①
べースとなる色と木目になる色の2色を用意します。ベースが薄い色なら木目は濃い色、逆でもいいですし、塗りたい色なら何でもOKです。
塗料の種類はなんでもいいのですが、木目模様を付ける時に、乾燥の速い物ですと、素早く一連の動作をやらなくてはならない為、慣れない内は水性などを少し薄めた物などで感覚を掴むとやり易いと思います。
②
まずはベース塗りから。この写真では水性塗料でベースを塗っています。
③
ベース塗りが乾いたら、木目模様をつける(正確には擦り取る)為の塗料を塗ります。上の画像のベース色との違いが分かりにくいですが、違う色です。
④
木目を付けるための塗料を塗ったら、乾かない間に作業をすすめます。
⑤
最後に木目模様が半乾きくらいになったら、塗料のついていない乾いた刷毛などで進行方向にそっと掃くようにすると木目の繊維っぽい表現がプラスされます。そのままでも良いのですが、一番最初の画像のようにクリヤー仕上げすると、より本物っぽく見えます。
道具を自作する
市販のウッドグレイナーだと使いやすいのですが、最大の問題点は、「木目の幅」です。ウッドグレイナーの幅が木目の幅になりますので、作りたい木目模様の幅に合わなかったりすると意味がないですよね。そこで自作のウッドグレイナーの紹介もしたいと思います。DIYで簡単に作成出来ます。
用意する物は、
・ゴムシート(画像の物はホームセンターで300円程度でした)
・彫刻刀(画像は丸刀ですが角刀の方がやり易いかも。100円ショップで購入しました。)
・ガムテープ(適当な円型を描く為の物です、円を描ければなんでもOK。)
・マジックペン(円の下書きをするためのペンです。)
・カッターナイフ(画像には無いですがゴムシートを必要な大きさにカットするため。)
①
ゴムシートを適当な大きさにカットして、円形の下書きを書き彫刻刀で溝を作りました。溝の幅(彫刻刀の幅)や溝を作る間隔が狭ければ市販品に近づくと思います。
画像では適当に溝をつくってみました。丁寧に作成していません、本当に適当です。
②
上で作成したゴムシートを缶スプレーに巻いてテープで適当に止めました。ゴムシートを巻ける物ならなんでもいいです、塩ビ管などでもいいです。
③
上で作成したウッドグレイナーで実際に模様をつけてみました。
難点もあります
ウッドグレイナーやコームを使った表現の問題点としては、湾曲している物などにはやりづらく、凹凸面では作業出来ません。基本的には平面に近い状態の物にしか作業は難しいと思います。
また道具の性質上、小物などには向いていません。小物などにはDIYなどで作成すれば何とかなりますが、ゴムシートなどよりも厚紙系、ダンボールの切れ端などで作成(コームの形状など)すれば、超ミニなグレイナーなども作成できますが、それよりも他の方法で木目表現した方が簡単です。
「変わり塗り」の1つとしてこんな記事も書いています。
今回はこの辺で。