paint work’s 塗装工事に関する blog

建築塗装をはじめとした 色々な塗装工事についてのブログです

work37 鏡面塗装と鏡面仕上げ

鏡面塗装とは鏡面仕上げのこと

今回は 「鏡面塗装」について書いてみたいと思います。

「鏡面」とは文字通り「真っ平らな鏡のような面」の事ですが、ネットなどで検索すると、主に、自動車や家具、模型などなど、色々な「塗装」について出てきます。

まず、最初に知ってもらいたい事ですが、「塗装」においては「鏡面塗装」という物は「存在しません。」鏡面塗装という物があるのなら、私が知りたいくらいです。あるのは「鏡面仕上げ」と呼ばれるもので、塗装後の加工仕上げになります。

家具の塗装などに多い傾向ですが、 「鏡面は塗装における最高級の仕上げ」など、 表現されている場合が多いですが、私は、そうは思いません。確かに、多くの工程が必要なので手間暇がかかりますが、ソレとコレは別です。

私も、鏡面は美しいとは思います。ですが、それは 「鏡面を施す物によっては」です。業種やジャンルが変われば 「見方」も変わります。

私の場合は、「塗装の艶」、「肉持ち感」、など「塗装の模様凸凹(ラウンドといいます)」が、美しいと思う塗装もあります。(自動車の塗装とか)また、艶を抑えた塗装なども綺麗に仕上げようとすれば難易度が高く、手間暇をかけた艶消し仕上げなども美しいと思います。

「艶」と「反射」はちょっと違うという事です。私的に「塗装」という幅広い面で見れば、「鏡面は塗装における最高級の仕上げ」では無いという事です。

塗装のみでは鏡面にならない 

私の過去記事などで書いていますが、塗装の「システム」的に、「刷毛」、「ローラー」、「吹きつけ」 などで、行う以上は、「道具の模様が絶対に出来ます。

模様とは、塗った塗料の「凹凸」なのですが、塗料を上手に塗る(主に吹きつけ)と、「反射」はよくなりますが、表面に「凹凸」が出来るため、「ボヤけて」見えます。「凹凸」が大なり小なり出来るので「鏡面」にはなりません。

「レベリング機能(自己平滑化)」を持った、「塗料」や「添加剤」と言う物があります。塗料の場合はそのまま使用し、添加剤は塗料に添加して使用します。これらは塗料を塗った後、乾燥時に塗料が「自ら平ら」になって行きます。ただ、レベリング機能(自己平滑化)を持った塗料は、塗膜を厚く塗る事で美しい塗装面を得ることが出来る製品なのと、「硬化」に時間がかかる物が多いので、「垂直面」などに塗装すると「垂れ」が発生し、「テーブルなどの天板面」や、「水平なものにしか塗装できない」という弱点があります。

吹きつけ(スプレー)などでは口径(塗料の噴出し口)が小さい物ほど塗料の模様「凹凸」が小さくなり、口径が大きくなれば凸凹も大きくなります。肉眼では確認出来ないほどの「凸凹」になれば、鏡面に「近く」はなります。ですが、「広い面」には塗装する時間が掛かりすぎる為、あまり意味はなく、塗装物の大きさによっても道具を変えますので、したがって、結局「凸凹」は出来るので「塗装」のみでの「鏡面」はありえないのです。

鏡面にするには研磨する

結局の所、「真っ平ら」な「鏡のような面」を作るには、表面の凸凹を「研磨」して、「平ら」にするしかありません。

平らにするには「サンドペーパー」などの、研磨材を使用して研磨するのですが、「研磨」とは「削る」事ですので、「平ら」にはなっても、「表面にキズ」が出来ます。番手(目)の荒いサンドペーパーで削るとキズは大きく、番手(目)の細かいサンドペーパーで削るとキズは小さくなりますが、何所まで行っても「キズ」は出来ます。

「鏡のような面」を作るには、「肉眼では確認出来ないほど」の「キズ」にする必要があります。出来るだけ番手(目)の細かいサンドペーパーで削った(平らな面にした)後は、コンパウンド」と呼ばれる「研磨剤」でさらに「キズ」を細かくします。

コンパウンドは磨き剤ではなく研磨材

コンパウンドとは、簡単に言えば「液体」や「粉体」、「練り状」などで出来ている、もっと目の細かいサンドペーパーのようなものです。

私がよく使用している磨き作業に使う「コンパウンド」です。歯磨きのチューブみたいな容器に入っています。中身も歯磨き粉みたいな感じです。目の細かさは、右は「極細め」、左は「超微粒子」です。「3M」という会社の商品ですが、3Mの商品はどれも使い勝手がよく愛用しています。

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バフでの機械磨き

 磨く(研磨)する物が、小さな物だと「手で磨く(研磨)」するのもありですが、面積が広い場合や、自動車などの大きい物だと「手で磨く(研磨)」は、大変な作業になるので、「ポリッシャー」と呼ばれる機械に、「バフ」と呼ばれる「ウール」や「タオル」、「スポンジ」などで出来た素材を取り付けて磨きます。

バフとは、手で磨く作業の時は「ウエス」などにコンパウンドをつけて磨きますが、機械で磨く時の「ウエス」のような物です。機械磨きは楽なのですが、ポリッシャーは「回転運動」をするので、「バフ目」と言う、「回転キズ」がつきます。

作業者の「技量」もありますが、上手いと言われる人でも分かりにくいだけで「回転キズ」は必ず出来ます。素人の方が見てもわかるような、バフ目やオーロラ(曇り)などが出てしまっては残念な状態です。

コンパウンドのキズ

メジャーな「コンパウンド」の種類として、

・油性コンパウンド

・水溶性コンパウンド

が、ありますが、コンパウンドにも粗い目の物から細かい目の物まであります。粗い目から細かい目のコンパウンド(研磨材)に順を追って磨くことでキズは細かくなっていきます。どちらの場合も含まれた油分や成分が細かい回転キズに入り、キズがわからなくなるだけです。

ですので、「脱脂」をすると成分が取れるのでキズが分かるようになります。(ノンシリコン・ノンワックスのコンパウンドにも油分は含んでいます。水溶性の場合は溶媒の成分の潤滑剤に傷を隠す成分が含まれています)

ですので、「磨き(研磨)」作業終了後は、コンパウンド(仕上用コンパウンド)にワックス成分などが入っていない場合は、「艶出し材」や「ワックス」、「コーティング材」などで、キズを分からなくする方法を取る場合が多いです。これらはコンパウンドで磨いた傷に入り、キズを目立たなくさせる効果がありますので当然磨いた傷は肉眼では見えなくなります。なのでキズを消すのではなく、何かでキズを埋めてるだけです。

鏡面仕上げをした(磨いた)キズは、一度付くと消えません。艶出し材などで分からなくしても、効果が切れるとまた出てきます。「艶出し材」や「ワックス」、「コーティング材」などが、永久に効果が持続するものなら、傷は消せるといってもいいかもしれませんね。

見る人や作業者の、「どこまでの仕上げを求めるか」によって、「キズは消せる」、「いや、絶対に消せない」と、言うのもあるかとは思いますが、私は後者の方です。なので塗装屋としては、塗装したものに「キズ」を付けるのは、なんとなくですが、あまり好きではありません。

最後に 

以前、記事に書いた、 

paintwork.hatenablog.com 

で 、スマホケースに「缶スプレー」で塗装しましたが、2000番(DIYなので番手は適当です)の耐水ペーパーで磨いだ後、コンパウンドで磨きました。

画像で分かるように、反射(映った)文字などが「ハッキリは」していますが、私的には 「キズだらけで全然ダメ」 と思っています。

これくらいの仕上がりなら「缶スプレー程度」で出来るって事です。ですが、鏡面仕上げを自慢気に謳ってるHPやブログの記事なんかの画像と、「あまり変わり無い」と思います。

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塗装の磨きについてはこんな記事も書いています。 

paintwork.hatenablog.com

今回はこのへんで。