work38 DIY 水性塗料で簡単 ピアノ塗装
ピアノ塗装について
今回は 「ピアノ塗装」 について書いてみようと思います。
- ピアノ塗装について
- ピアノに使われている塗料
- 塗装後の磨き作業
- DIYで鏡面仕上げ
- 今回の趣旨 (追記)
- 作業の流れ
- ①パテつけ
- ②パテつけその2
- ③パテ砥ぎ
- ④シーラー塗りと ベース色塗りと 水砥ぎ
- ⑤水性クリヤー塗りと水砥ぎ
- ⑥水性クリヤーと水砥ぎ完了
- ⑦コンパウンドでの磨き作業
- 完成
- 私の思うところ
- 今回使用した道具と材料のまとめ
ネットなどでは「鏡面仕上げ」の事を、「ピアノ塗装」と表現している記事をよくみかけます。 (ピアノブラックとか。)
まず初めに、「ピアノ塗装」と言う「塗装」はありませんし、「ピアノブラック」なる色もありません、ただの黒です。
そんな物があるのなら、ギターに塗装したら、ギター塗装ですし、ベースに塗装したら、ベース塗装になってしまい、ドラムに塗装したら、ドラム塗装になってしまいます。もう何がなんだかわからなくなります。
ですので、「ギター塗装」や「ベース塗装」、「ドラム塗装」 と、言う「塗装」が無いのと同じで、「ピアノ塗装」 もありません。
ただ、「ピアノの塗装後に行う加工仕上げ」が、「鏡面で美しい」ので、「ピアノ塗装」や「ピアノブラック」なる「造語」が生まれたのだと思います。
ですので、ピアノみたいに黒(ピアノブラック)だけではなく、塗料なら何色でも「鏡面仕上げ」は出来るのです。
ピアノに使われている塗料
ピアノに使われている「塗料」は主に、
・ラッカー塗料
・ウレタン塗料
・ポリエステル塗料
・UV塗料
などありますが、
最近は「ポリエステル塗料」や「UV塗料」が主流みたいです。どちらの塗料も「硬化後は塗膜がとても硬く」なるのが特徴です。
塗装後の磨き作業
どちらにしても「塗装」だけでは「鏡面」にはなりませんので、最終的には「磨き作業」が必要になります。(UV塗装は磨き工程をしない場合も有るみたいです)
「磨き作業」を行う方法として、
・ポリッシャーで磨く(回転式の手持ち式機械を使用)
・工場設置式の大型磨き機械
などがありますが、鏡面仕上げでは「磨き作業」を行う前に、「研磨作業」を行ってから「磨き作業」を行うのが一般的です。サンドペーパーなどを使い「塗装表面の凸凹」を出来るだけ平面にしてから、コンパウンドなどで「磨き」を行わないといつまでたっても平面にはならないからです。
DIYで鏡面仕上げ
本物の「ピアノみたいな鏡面仕上げ」を DIYで行うには無理がありますが、今回は DIYでも行える、木材や合板、MDFなどどんな物にも行える、「なんちゃってピアノみたいな鏡面仕上げ」を紹介したいと思います。
ローラーを使用した、誰でも簡単に扱える、「全て水性塗料」を使ったやり方です。水性なので臭いなども気にせず室内でも作業出来ます。
以前書いた、
の 応用になります。
今回紹介するやり方を利用してスピーカーなども塗装しています。
今回の趣旨 (追記)
趣旨がわかりにくいかもと思いましたので追記します。
今回は手軽に鏡面仕上げを行うために「水性ウレタンクリヤー」という、「水性の透明塗料」を使用します。鏡面仕上げにするためには、塗料の表面を平らに砥いでから、コンパウンドなどで磨き作業を行いますが、本来は「クリヤー塗料(透明)」は必要ありません。(メタリックやパールなどの場合は必要ですが。)
今回使用する「水性艶消し塗料」はそれ自体を砥いで磨いてという作業を行っても鏡面にはなりません、そういう材料です。
「水性艶あり塗料」を使用しても同じように鏡面にはなりません。水性塗料には 、「艶消し塗料と艶あり塗料」がありますが、「艶消し塗料」を使用する理由は、「艶あり塗料」は「研ぎにくい」からです。理由は色々あって長くなってしまいますので割愛します。
水性塗料は基本的に「砥ぎにくい塗料」です。これは材料自体の問題なのでどうしようもない事なのですが、「水性艶消し塗料」の方は、「水砥ぎ」だと問題なくサンディングできます。ですのでサンディングをしやすい「水性艶消し塗料」を使用しています。
この項の最初に書きましたが、水性艶消し塗料を砥いで磨いてという作業を行っても鏡面にはなりませんので、「クリヤー塗料(透明)」を、上塗りとして塗り、砥いで磨いて鏡面みたいにするやり方です。
今回使用する「水性クリヤー塗料」も水性塗料なので、砥ぎにくい部類の塗料だと思われるとおもいますが、本来の使い方として、「木部に上塗りとして使用する塗料」なので、塗り重ね仕上などを考慮してサンディング出来るようになっている塗料です。同じ「水性塗料」なのですが、基本設計が違うんですね。ですので、この「水性クリヤー塗料」を使用して簡易的な鏡面仕上げが可能です。
もちろん、「溶剤の塗料を使用したスプレー塗装」などの鏡面仕上げと比べると「質感や輝き」は落ちてしまいますが、なんといっても「オール水性」ですので、DIYなどで手軽に鏡面仕上げを体験できる事と、「室内で作業」できる事が最大のポイントです。(シーラー・水性艶消し塗料ともにF☆☆☆☆規格の場合)殆どの販売されている水性系塗料はF☆☆☆☆規格なので問題ないと思いますが、一応確認はされてください。
良い点
・手軽に鏡面仕上げを体験できる。
・室内でも作業可能(臭気が少ないと言っても多少はあるのでマスクなどは必要)
注意点
・溶剤塗料よりは光沢や質感はおちるかも。(最後に完成画像があるのでご自身で判断してください)
・仕上がった物の上に直接 熱い物を置くと跡が出来るかも。
水性の艶あり系塗料は硬化しても溶剤塗料ほどの硬度がありません。普通に使用する場合は問題ありませんが、熱い物には弱い感じです。熱い食べ物が入った食器や、コップなどを直接置くと跡が出来る可能性があります
追記おわり
作業の流れ
題材
今回は「フローリング材」の裏側、「ベニヤ地」に「なんちゃってピアノみたいな鏡面仕上げ」を行ってみたいと思います。
裏側の「ベニヤ地」です。この面に行ってみたいと思います。
①パテつけ
ベニヤ地なので「板目」ががひどいので、「パテ」をつけて板目を埋めます。「パテ」が無い場合は、次の工程で行う「黒塗り」を多めに塗れば「パテ」をしなくてもOKです。「水性艶消し塗料」は「粒子」が粗く、塗料自体で目止め効果が期待できます。MDFなどの素材の場合はパテは必要ありませんので「シーラー」を塗る事から始められます。
②パテつけその2
パテを塗りつけて「擦り取る」ようにするだけで「板目」は埋まるのでOKなのですが、今回は、後でパテが「痩せて」もいいように「地付け」と言うパテのつけ方で、少し厚めにぬりました。
③パテ砥ぎ
パテをこすりつけただけの場合は軽く400番のサンドペーパーを「手」でかければOKですが、今回は「地付け」を行ったので、「ペーパーホルダー(あて木)」を使用して、ペーパーをかけました。
④シーラー塗りと ベース色塗りと 水砥ぎ
パテを研磨した後は、「水性シーラー」をローラーで塗ります。「水性シーラー」が充分に乾燥してから、「水性艶消し塗料(黒)」をローラーで塗ります。ローラーなどの説明は、水性塗料で塗る ちゃぶ台の塗装 で、書いていますが、今回は「5mm」の毛丈(短毛)のウールローラーが必要になります。
今回は、「水性艶消し塗料(黒)」を「3回」塗り、耐水ペーパー400番で「水砥ぎ」しました。「3回」というのは適当で、乾いた後にペーパーをかけるときに下地が出ないようにするために少し厚塗りする感じです。「4回」でも「5回」でも好きな回数で構いません。
ローラーで塗料を塗ると「なみなみ模様」が必ず出来るので、なみなみ模様の凹凸を平面にするために「あて板」を使用して「ペーパーかけ」、水性塗料は「研ぎにくい」ため、「水砥ぎ」をします。この「水砥ぎ」は 同じ番手のサンドペーパーで「空砥ぎ(水を付けない)」するよりも、表面が滑らかになります。
⑤水性クリヤー塗りと水砥ぎ
水性艶消し塗料(黒)」を「水研ぎ」した後は充分に乾燥させ、「水性ウレタンクリヤー」をローラーで5回塗りました。この「5回」というのも、以降でガンガン水砥ぎ出来るように少し厚めに塗っただけで、クリヤーをペーパーかけ(水砥ぎ)するときに下地の「黒」が出ないようにできれば 何回塗りでも構いません。
画像では、「泡」や「塗りムラ」が沢山ありますが、問題ありません。
その後、塗料表面の凸凹をならす為に600番の耐水ペーパーで「水砥ぎ」しました。ペーパー作業に慣れていない方は、角など「下地」が出やすい場所に、マスキングテープなどを貼って研磨するといいかもです。「手」のみでペーパーを掛けるのが上手くいかない場合は「あて木(ペーパーホルダー)」を使用すれば大丈夫です。
⑥水性クリヤーと水砥ぎ完了
水砥ぎした後は乾燥させ、再度「水性ウレタンクリヤー」をローラーで5回塗りました。これも塗り回数は任意の回数で構いません。
何回も塗るのは「水砥ぎ」作業と「コンパウンドでの磨き作業」がありますので、「砥ぎすぎや磨きすぎ」ても大丈夫なように複数回塗料を塗るわけです。今回はこの「塗り作業」で塗りの工程は終わりです。
乾燥後に耐水ペーパーの800番→1500番 と、順を追って水研ぎしました。理想は2000番~3000番くらいまでサンドペーパーをかけるのがいいのですが、DIYなので適当で構いません。
⑦コンパウンドでの磨き作業
表面の凸凹がある程度なだらかになったら、コンパウンドを柔らかい肌着などのウエスにつけて「手磨き」します。手磨きの場合はちょっとしたコツがあります。
コンパウンドを塗り込むだけでは鏡面にはなりません。かなりの力でゴシゴシ塗り込んで、コンパウンドがゴシゴシの熱で蒸発するくらい頑張ってください。
ですが、その際に擦り傷が出ないように気を付けながらやらないといけません。その辺がちょっと難しいかもしれませんが、慣れてくると大丈夫です。
画像のコンパウンドは業務用で「3M」というメーカーのコンパウンドです。
右が「極細め」、左が「超微粒子」です。「3M」の製品はスポンジペーパーをはじめ、使いやすい物が多いので愛用しています。ですが、ホームセンターの一般用でもOKです。今回は違いが分かるように、板の半分を磨きます。
完成
コンパウンドをウエスにつけて手でゴシゴシ磨きました。「なんちゃってピアノみたいな鏡面仕上げ」の完了です。
私の思うところ
本当の「鏡面仕上げ」を行うには、「施工環境(設備)」、「適切な塗料や道具」や「技術」が必要です。私も「仕事」で行う時は、この様な「材料」、「施工方法」など行いません。
ですが、素人の方でも作業しやすく、「なんちゃって」ではありますが、「簡単に、それなりに」出来るやり方です。スプレーや油性塗料など、割と「本格的」に取り組んで「失敗」するよりも良いと思います。
今回使用した道具と材料のまとめ
● 道具 ●
※サンドペーパー(空研ぎ用)・400番・1枚
※サンドペーパー(耐水用)・400番・1枚
※サンドペーパー(耐水用)・600番・1枚
※サンドペーパー(耐水用)・800番・1枚
※サンドペーパー(耐水用)・1500番・1枚
※サンドペーパー(耐水用)・2000番・1枚
※ペーパーホルダー(あて木)
※パテヘラ・ウールローラー(短毛タイプ、毛丈5mm)・1本
※ローラーの柄(ウールローラーを取り付ける為の柄)・1本
● 材料(塗料)●
・水性パテ
・水性艶消し塗料(黒)
・水性シーラー(適量・1回塗り分)
・水性ウレタンクリヤー(適量・数回塗り分)
・コンパウンド(極細め)
・コンパウンド(超微粒子)
● 全ての道具や材料は、ホームセンターや100円ショップで購入できます。
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今回はこのへんで。