paint work’s 塗装工事に関する blog

建築塗装をはじめとした 色々な塗装工事についてのブログです

work43 付帯工事 雨戸の塗装

前置き

今回は「雨戸」の塗装について書いてみようと思います。

雨戸の塗装については、「雨戸単体」での依頼は少なくて、「家の塗装」の「付帯工事」として塗装することが多いです。

雨戸が傷んでいる場合は、「外壁」などの塗装も「塗り頃の時期」になっている事が多いからです。

「付帯工事」とは、家を塗り替える時にメインとなる、「外壁」や「屋根」などの部分とは別に、「破風」や「桁」、「軒裏」、「雨どい」、「雨戸」、「水切り鉄板」、「格子」や「ポーチ柱」、「換気フード」等など、外壁や屋根以外のさまざまな「他部位の塗装」の事です。

「一般的な雨戸塗装の見積もり」は「表記」に関係なく、「表面のみ」が多いです。私の場合は見積もり書に「表面のみ」と記載していますので、「裏面」も気になさるお客様には、お話を頂いてからのご相談になります。

実情を言ってしまえば、雨戸だけに限らず、「付帯工事」については、皆さんあまり深くは考えていないんですよね、業者も含めて。

その理由はといいますと、「付帯工事」に手間隙をかけると、「総額」が高くなってしまうからです。

部位の素材の種類によって手間や材料が違い、塗装する量もちがいますので一概には言えませんが、「作業、金額」ともに、ないがしろにされやすい部分でもありますし、「付帯工事の金額」で「総額」がかなり変わってきますので、「見積もりでの総額」を安くするためにも付帯工事料金を「低く」設定せざるを得ない事情もあると思います。(お客様が見積もりを見て判断する基準のひとつとして、「安さ」は大部分を占めていると思いますので。)

ですので、「この程度ならOK(問題無し)」という線引き(妥協的)な作業を基準として、見積もりが作成されていると思います。

大きな流れとしても「相場」としての「金額」が先に来て、「金額に合わせた作業内容」になっているかとも思います。それ以下、それ以上の作業を求めるなら「相談」と言う事になると思います。

「付帯工事」に関しては、実は「キチンと工事」をすれば、思った以上に費用がかかります。「外壁」 や 「屋根」 などと言ったメインの部分よりも、「塗装の寿命も短い」物が殆どです。ですので、「どのような作業内容で」、「どのような材料で」行うのかによって、仕上がりや、耐久年数、費用などバラバラです。私的にはむしろ、外壁や屋根などよりも「検討」や「相談」する必要があると思っています。

今回は 雨戸の塗装」について書いていますので、雨戸を「例」に取ってみますと、

一戸建ての家の場合、一般的な雨戸の数は「10枚から20枚」くらいです。

シャッターなどを多用している家の場合は、もっと少ないですし、大きな家ではもっと多い場合もあります。デザイン性を重視した家などでは あまり雨戸を採用していないみたいです。

ネットで調べた相場的には、雨戸1枚の塗装で、雨戸の形状や大きさによっても違いますが、「3000円~6000円」くらいでしょうか。

工程の内訳的には、

・ケレン作業(旧塗膜剥がれや錆落し作業)

・錆止め塗り

・上塗り(1回塗りや2回塗りなど)

などに分かれますが、大きく分かれるのは、「傷み具合によってケレン作業に掛かる手間が違う」と言う事です。

ケレン作業については、

work22 アルミサッシの塗装や腐食その②で、詳しく書いています。

基本的には住宅のケレン作業は「3種」、「4種」が一般的ですが、傷み具合によって「作業にかかる手間」が変わります。「手間がかかれば」、それだけ費用も高くなると言う事です。

逆に傷んでいない物を塗るのはケレン作業や下地処理などが、簡単に行えるので「費用を安く」出来ます。これは雨戸だけの事ではなく、外壁なども含めて全ての塗装作業に言えます。ですので、「いずれは塗り替えをするだろう」と考えている方は、「家や塗装物」が、「傷む前に塗装」した方が、費用をおさえることが出来ます。

既存の塗膜(旧塗膜)を全て研ぎ落とし、下地を出してから、新たに塗装するのがベストなのは「私がいつも書いている」事なのですが、それを行うと、1枚あたりの費用も、「3000円~6000円」では到底出来ない金額になります。

雨戸の枚数が多い場合だと、「外壁や屋根」などに匹敵する「金額」になってしまいます。仮に1枚「30,000円」掛かったとすると、「20枚」で 「60万」も掛かる事になります。これは「雨戸」だけではなく、「外壁」や「屋根」なども含めて、すべての塗装工事に関して同じ事が言えます。もちろん、その他の「付帯工事」についてもです。

ですので、「予算に合った相談」や「妥協」なども必要になってきますので、品質を一定化する為にも、「ケレン等級」などの規格があるのだと思います。

ですが、このような「規格」など お客様が知っているはずも無く、また、業者もあまり説明や相談などしないため、工事完了後にトラブルが発生する場合もあります。(知っていても自分(業者)にとって当たり前な為、説明不足になりやすい場合や、元々無知な業者もいます。)

お互いが「納得して工事が完了」するためには説明や相談は大事だと思っています。

一口に雨戸と言っても種類は沢山ありますが、見た目的に一般的な物として、

・ガラリタイプ

・エンボス平面タイプ

・シャッタータイプ

の、3種類が主だと思います。

また、素材に関しては、

・鋼板(スチール)

・アルミ

の2種類が主に使われている素材になります。一部、例外として「木製」などもあります、数十年前は「木の枠にベニヤを張った」、「木製雨戸」も沢山ありましたが、現在では、殆ど見かける事もなく、現在の「木製雨戸」は意匠性のある高級志向の部類になったような気がします。

大抵の場合、木製以外の雨戸では「枠」はアルミサッシと同じもので出来ています。つまり「雨戸板(板になる部分の素材やデザインはさまざまですが)」を、アルミサッシ枠で囲んでいる形になります。ですので、基本的には「枠」の部分はアルミサッシですので「塗装しません。」 し、(アルミサッシの塗装については別記事参照お願いします。)アルミ製の雨戸も塗装は例外を除きお断りする場合が多いです。

また、「シャッタータイプ」の雨戸の場合は、私の場合は、傷み具合などの状況を見て判断する場合が多いですが、「シャッターボックス(シャッター巻上げ時に格納する為のBOX)」は塗りますが、「シャッター」は基本的には塗装しません。

塗装の厚みや、塗料で「可動部」を固めてしまったりなどの原因で、「動作不良」などの原因になりやすいからです。勿論、状況を判断し塗装する場合もあります。

ここからが本題となりますが、今回は、一般的な雨戸、「ガラリタイプ」の塗り替えを例に挙げて説明したいと思います。今回の塗装工事は「雨戸のみ」の依頼です。「相談の結果」、以下の工事内容となりました。

仕様

・手作業でのケレン作業

・エポキシ樹脂錆止め塗料塗り(下塗り)

・弱溶剤2液型ウレタン塗料2回塗り(中塗り・上塗り)

を行います。塗料を塗る時の施工法として、

・刷毛塗り

・吹きつけ

などの方法がありますが、刷毛塗り、吹きつけ共に「一長一短」がありますが、今回は「刷毛塗り」で行います。

ケレン作業

まずは、作業場を確保し、設置されている雨戸をはずし、作業しやすいように一箇所に集めました。この雨戸は10年ほど前に、外壁の塗り替え工事を行った際に付帯工事として塗られていました。錆も沢山あり、塗膜も浮きや剥がれなど沢山あります。

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アップ。

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ケレン作業中です。ナイロンタワシやサンドペーパーなどを使用し、錆や旧塗膜の浮きや剥がれなどを落としていきます。写真をみれば分かると思いますが、前回の塗装時に「錆止め塗料」を塗った形跡がありません。

「プライマー(下塗り密着剤)」は透明な物が多いので塗ったかどうかの判断は出来ませんが、私の経験上、塗っていないように見えます。つまり、下塗りなどは無しで上塗りを塗ったように見えます。

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14枚の雨戸のケレンを行いました。削り落とした「カス」がこれだけでました。

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錆止め塗り

ケレン作業が終了したら、ブロワと言う「風をだす電動工具」で残ったゴミを吹き飛ばし(エアブローと言います)、シンナーで「拭き清掃+脱脂」を行ってから、刷毛塗りでエポキシ錆止めを塗りました。

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上塗り

錆止め乾燥後に、刷毛塗りで2液型弱溶剤ウレタンを中塗りし、乾燥後、上塗りとして同じ物(色)を塗りました。

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完成

上塗り乾燥後、元の場所に取り付けし、完了です。

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今回はこのへんで。