paint work’s 塗装工事に関する blog

建築塗装をはじめとした 色々な塗装工事についてのブログです

work44 室内の塗装 階段の塗装

木製階段の塗装

今回は室内の塗装の1つ「木製階段の塗装」について書いてみたいと思います。

 

 

 住宅に使われる「階段」は主に木製が多く(木製以外の物もあります)、デザインも木の種類もさまざまですが、木製の場合は「木目を活かす」仕上げが多いです。現在では「新建材」が使用されるようになり塗装する事も少なくなりました。「集成材は新建材」なのですが、材質の性質上塗装する場合が多いです。

数十年前までは、「新築時」は内部に使われている「木」の部分は「和室」を除き、塗装を行っていましたが、「新建材」が使われるようになってからは段々と内部での塗装を行う事が減っていき、現在では塗装する事が殆どなくなりました。

リフォームや増改築などでは、「一部を」大工さんが造作した木部などを、既存の塗装や、新建材などに「色を合わせて」塗装するくらいです。

この写真は新建材の三方枠に色を合わせて、敷居部分を「着色クリアー仕上げ」をしています。

f:id:Paintwork:20150528014405j:plain

塗装屋と言っても色々な種別があります。

「木工塗装作業」、「建築塗装作業」、「金属塗装作業」、「噴霧塗装作業」、「鋼橋塗装作業」などと「資格」も分かれているように、そのそれぞれが、「まったく別業種」と言うくらい作業内容も分かれています。

料理で例えるなら、「和食料理」や「中華料理」、「フランス料理」など、同じ料理を作る職でありながら、職種が違うみたいな感じですね。

作られた色(ペンキ)を塗りつぶし(木目が消える塗り方)や、ベタ塗りなどは、塗装屋なら誰でも出来ると思います。

ですが、「木目を活かす仕上げ」は、家具塗装の分野である「木工塗装」の範囲に大部分が属していますので、外部の仕事がメインになる塗装屋などは、「やった事がない、やり方、仕上げ方がわからない」人も多いのではないでしょうか。

現在では、昔と違い使用する材料も施工法も多岐に渡っているので、同じ透明仕上げでも昔のように「ニス」などは使いませんし。かと言って、「家具専門(木工塗装)」の塗装屋の場合でも、住宅塗装の知識やノウハウが皆無なので、上手くこなせないと思います。

そのような仕事自体も昔に比べて極端に減っていますので、若手の人など、技術やノウハウを習得する機会も減っているのが寂しい限りですし、仕事があればあったで、いきなり難度の高い仕事なのでそういう面でも難しい事柄です。

f:id:Paintwork:20180427210708j:plain

新建材と塗装の仕上がりの差

木目を生かす塗装仕上げに関しては、「家具」なら木工さん、「住宅」なら大工さんの「腕」が、その仕上がりに影響します。

わずかな隙間があってもパテなどでごまかしが出来ませんし、木工ボンドの付着があれば、木に吸い込ませる着色なども色が付きません。塗装屋だけではどうにもならない部分もありますが、そのような事態であっても、「仕事を納める(完了させる)」、ノウハウなども求められます。

新建材の普及に関しては、大工さんの作業効率や、塗装作業についても住宅塗装の技術だけでなく、木工塗装の技術も必要ですので、限られた業者しか上手い施工は難しくなります。新建材の場合だと、見た目や費用(塗装と照らし合わせて)に関して、一定の均一化がはかれますので、費用対効果が高いからだと思います。

一塗装屋としては、シール(新建材)に負けるのはちょっと悔しい面もありますので、作業する以上は シールでは出来ない仕上がりを目指さなくてはなりません。かといって、シールの仕上がりを塗装で再現するのも難しいですが・・。

新建材については少しですが過去記事で触れています。 paintwork.hatenablog.com 

実際の工程(刷毛塗り)

ここからが今回の本題になります。階段の塗装です。今回はクリヤー仕上げです。

写真はまだ何も作業していない、着工前です。木材の種類は「タモ」という木材で「集成材」になります。

作業方法としては、他職業全ての作業が終わり、美装も終わった状態ですので、オール刷毛塗りで行います。

お客様のご希望と致しまして、床材(無垢フローリングにクリヤー塗装仕上げです)の色味と合わせて欲しいとの事です。サンプルを提出してOKを頂きましたので作業開始です。

f:id:Paintwork:20150528015028j:plain

            f:id:Paintwork:20180427211105j:plain

f:id:Paintwork:20180427211601j:plain

今回は細かい説明をしても分かりづらいと思いますので、「流れ的に」 紹介したいと思います。今回は着色や染色などは行わず、クリヤー仕上げにて、床材の色味とあわせます。塗り方や塗料の厚みによっても色味が変わるので状況を確認しながら作業を進めていきます。

ペーパーでの研磨や清掃脱脂など行い、下塗り材を塗るわけですがこの下塗り材の仕上げ方や下地作りで上塗りの仕上がりが決まってしまいます。写真では分かりづらいかもしれませんが下塗りを塗った状態です。

f:id:Paintwork:20180525201313j:plain

f:id:Paintwork:20180525201801j:plain

f:id:Paintwork:20180427212022j:plain

次に下塗りをペーパー研磨していきます。写真の様に白っぽくなっている部分が下塗りをペーパー研磨した箇所です。    

       f:id:Paintwork:20180525201429j:plain     

 

全体をペーパーで研磨した後は再度 清掃作業や、養生のやり直しを行い 上塗り時にホコリやゴミが付着しないように作業環境を整えます。下塗り開始時より、私以外入室禁止にしています。

上塗りが完了したら普通は「完了」となるのですが、階段や手すりの場合は、「人が触れる場所」なので、最後の仕上げが必要になります。密室で私一人で作業していると言っても、所詮「現場作業」なんですね。

目に見えないホコリなどが、塗料の乾燥中にわずかですが付着してしまいます。「手触りや肌触り」などを考えると 付着したホコリなどを取り除く必要があります。上塗り塗膜にキズをつけないほどのスポンジペーパーなどを自作し、(私はペーパー同士をこすり合わせ作ります)手触りを確認しながら慎重に付着したホコリなどを取り除いて行きます。仕上げの艶の種類(艶ありや半艶)などによっては、コンパウンドを使用して磨き作業も行ったりします。

この辺が「仕上げのノウハウ」なんですね。言われれば「あ~。」ってなるのですが、言われないと「気づかない、気づけない」部分なんですね。

完了

上に挙げた作業などを行い 作業完了です。刷毛塗りでもこのような仕上げが出来ます。仕上げの艶は半艶になります。画像によっては色味が違って見えますが、カメラのせいだと思います。

2階部のフローリングはまた「別の種類の木で別の色」なので、階段や手すりの色味とは違います。塗装完了後に手すり部の空間には「着工前写真の様に」、アクリル板(保護シートが付いていますので分かりづらいですが)を大工さんが取り付けします。

f:id:Paintwork:20150528030454j:plain

f:id:Paintwork:20180427212329j:plain

f:id:Paintwork:20180525203319j:plain

 

◎フローリング材と木の種類が違うので完全に合わせる事は出来ませんが、色味もなんとかOKラインで合ってくれました。

f:id:Paintwork:20150528031647j:plain

 

今回はこの辺で。