paint work’s 塗装工事に関する blog

建築塗装をはじめとした 色々な塗装工事についてのブログです

work 65 屋根の塗装 塗装してはいけないコロニアル!?

塗装できないコロニアル!?

コロニアルの塗装について記事を書きました。

コロニアルとはケイミュー株式会社の商品名ですが、スレート屋根材の一般名称として広まっていますのでここではスレート屋根材の一般名称としてコロニアルと表現しています。

 

paintwork.hatenablog.com

私はこの記事内でコロニアルの塗装については、必要だという方向で書いています。この記事を書いた事で、全てのコロニアル(スレート屋根)に対してではなく、一部、この記事を当てはめる事は出来ないスレート屋根材がありますので、この記事の対となる記事を書きます。

あくまでも塗装記事ですので、詳しい数字や経緯などは書きませんが、重要な部分だけをかいつまんで書きたいと思います。 

それから最初にお断りしておきますが、この記事はスレート屋根材のメーカーや商品に対して誹謗中傷する物ではありません。あくまでも実際に起こった事例を元に「スレート屋根材への塗り替え塗装」などについての記事です。

 

以前のコロニアル

2006年(平成18年)9月1日に、石綿アスベスト)製品の、

・製造

・輸入

・譲渡

・提供

・使用

が法強化によって禁止されました。それ以前のスレート屋根材には石綿アスベスト)が使用されている可能性があります。製造販売が、法改正の前になりますが、この法改正に先がけて、ノンアスベストのスレート屋根材は開発販売されていました。

石綿アスベスト

私たちの年代ではどなたでも知っている、理科の実験などに使った事があるなど、耐久性や耐熱性、耐薬品性などに優れていて、しかも安価な資材です。安価で耐久性のある資材として、建築業の世界でも使用されていました。

1970年代から、石綿アスベスト)が健康被害がある物質として判明し、多くのニュースなどにも取り上げられたので、多くの人は、石綿アスベスト)は有害だと認識されているかと思います。

石綿アスベスト)を使用してはいけないと、法律で線引きされたので、現在では使用していませんが、線引きされる以前に建てた家などは、石綿アスベスト)を使用した資材が使われている可能性があることになります。

その可能性の1つが、スレート屋根材です。コロニアルやカラーベストなどのスレート屋根材は、以前は石綿アスベスト)が使用されていました。 

ノンアスベスト初期

現在のスレート屋根材には、もちろん石綿アスベスト)は使用されていません。ですが、石綿アスベスト)から、ノンアスベストの 切り替わりの初期に開発製造された スレート屋根材では多くの製品に問題が起きました。

具体的な問題点は、

・施工後10年前後で屋根材がボロボロになる

・割れやクラックが異常に多い

 などです。

製造メーカーや材料名などは各々下に書いていきますので、とりあえず、1990年(平成2年)から、2001年(平成13年)までに開発販売され、2008年(平成20年)までに販売が中止された、スレート屋根材に集中して問題が起きています。

つまり、1990年(平成2年)から、2008年(平成20年)までに、新築や改築などでスレート屋根を採用した家の方は、どの屋根材を使用しているのか確認した方がいいです。図面などに使用商品名などが記載されていると思います。  

問題の起きたスレート屋根

ここからは、個別にメーカーや販売時期、どんな症状なのか説明したいと思いますが、私は画像を所持していないので、私が書いた絵のような図で、説明したいと思います。気になる方は、商品名などのキーワードなどで「検索」頂ければ、多くの画像や記事がありますので、どんな症状なのか理解いただけると思います。ここではメーカーと商品名を記載させていただきますが、メーカーや商品を誹謗中傷するものではなく、塗装を行う(塗り替え)という観点から記事を書いています。 

セキスイかわらU 

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メーカー:積水屋根システム株式会社

商品名:セキスイかわらU

販売時期:1990年(平成2年) ~ 2007年(平成19年)

症状: 塗装表面の剥がれ、屋根材の割れ

私的備考:    

この屋根材は昔からあり、アスベストを含有していた時よりあります。私も塗装の経験がありますが、上塗りに水性塗料を使用していて、溶剤塗料を塗ると塗装が溶けてしまうので、水性塗料を塗った記憶があります。ノンアスベスト製品では、塗装表面が剥がれると基材そのものがボロボロになり、クラックなども発生し、基本的には塗装は向いていない屋根材だと感じました。

パミール

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メーカー:ニチハ株式会社

商品名:パミール

販売時期:1996年(平成8年) ~2008年(平成20年)

症状:層間剥離、屋根材の割れ、止め釘の錆

私的備考:

ノンアスベスト初期のスレート屋根材で、問題が一番騒がれた商品のイメージがあります。施工後10年前後で屋根材が層間剥離という、ミルフィーユ状の剥げ方をして、ボロボロの見かけになる上に、止め釘の頭が錆びて落ち、割れたり外れたりした屋根材が落下するなどの、危険性なども問題視されました。TV番組で取り上げられたりして、悪い意味で知名度が上がってしまいました。

塗装に関しては、基材自体が層間剥離するので、いくら見た目を改善して塗装しても、その後に結局同じことになります。この屋根材に関しては、塗装しても意味は無いかと思います。以前、浸透性のシーラーで基材ごとガチガチに固めれば、症状を抑える事が出来るのではないかなと考えましたが、旧塗膜が残っている部分もあるため、無理かと思い直しました。 

レサス・シルバス

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メーカー:松下電工株式会社 

商品名:レサス

商品名:シルバス

販売時期:1999年(平成11年) ~2006年(平成18年)

症状:クラック、屋根材の割れ、反り

私的備考:

レサスは2006年(平成18年)、レサスの高級版のシルバスは、2003年(平成15年)に販売中止になっています。自然に発生するクラックが多く、人が屋根に上がれば非常に割れやすいです。強度が弱いからだと思いますが、重なり部で見えない(目視出来ない)部分も、割れている場合がありますので、これもまた 塗装しても意味は無いかと思います。

アーバーニーグラッサ

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メーカー:クボタ株式会社

商品名:アーバニーグラッサ

販売時期:2001年(平成13年) ~ 2005年(平成17年)

症状:屋根材の割れ、クラック

私的備考:

ノンアスベスト以前は、アーバーニーの商品名で以前からある商品です。元々、塗装などは難しい部類の屋根材でしたが、アーバーニーグラッサになってからはクラックや割れが、顕著に表れるようになったみたいです。

他の屋根材にみられるような、塗装できない状況ではなく、状況的には、補修して塗装できそうなのですが、屋根の形状(デザイン)自体が、塗装にはあまり向いていません。アーバーニーグラッサになってからは、鱗デザインの一枚丸ごと割れたりしている場合がありますので、「補修して塗装」は考えない方がいいと思います。

コロニアルneo

メーカー:クボタ株式会社(ケイミュー株式会社)

商品名:コロニアルneo

販売時期:2001年(平成13年) ~ 現在は生産中止

症状:屋根材の割れ、クラック

私的備考:

アーバニーグラッサと同じ年の4月から販売開始しています。(アーバニーグラッサは12月)上にあげたスレート屋根材の中では、一番長く生産されたと思います。あまり騒がれるような問題は、少なかったように思います。ですが、やはり強度不足のようで、割れや、クラックなど問題は発生しているようです。

不具合が起きてから起こったこと

セキスイかわらUの積水屋根システム株式会社は屋根瓦の販売を、2013年(平成25年)に撤退しています。

レサス・シルバスの松下電工株式会社と、アーバニーグラッサ、コロニアルneoのクボタ株式会社は合併し、ケイミュー株式会社になりました。

パミールのニチハ株式会社は、金属屋根製造会社のチューオー株式会社を、吸収合併して、現在は金属屋根を中心に取り扱っています。

最後に

塗装においては塗料などですが、どんなものでも、新しいものが出てきたときに、大なり小なり問題が起きるときがあります。この、スレート屋根材の問題はある意味、屋根材だけの問題ではないと思います。

メーカーもリコールなどはだしていませんが、施工期によってはメーカーと相談などが出来るみたいです。上で紹介したスレート屋根材は現在は販売されていませんが、現在ではよりよい商品へと改良されていると思います。

上の例で挙げたような問題点は、屋根材の材質自体の問題なので、塗装などでは解決できません。

また、アスベストを含有した屋根材を使用した家もまだ沢山残っています。葺き替えなどは撤去や廃棄、運搬費などに一般的な解体費よりも、高い費用がかかるそうで、それらが必要のないカバー工法などを選ぶ方が多いそうです。

今回はこの辺で。