paint work’s 塗装工事に関する blog

建築塗装をはじめとした 色々な塗装工事についてのブログです

work 66 木の塗装 室内の木枠 ステイン補修塗装

木部のステイン補修塗装

リフォームや改築などでよくあるのが、補修塗装です。既存の一部を残して傷んでしまった部位などを新しく作り替えし、新しく作り替えた部分を 既存の色に合わせて塗装する事です。

全てを新しくすると、費用もかかってしまいますので、費用を掛ける所はかけ、抑える所はおさえる必要がある場合も多いです。

以前に書いた記事の冒頭の部分で白木に補修塗装をしている事柄を書いています。

paintwork.hatenablog.com

そのような「補修塗装」は色々な部位に対してありますが、今回は、室内の木枠を例にとって、ステインの補修塗装について書いてみたいと思います。

ステインとは

塗装の場合、一般的には木材などの、塗料を染み込ませる事の出来る材料に「材料の表面に造膜しない塗料など」を「染み込ませて着色」する施工法の事をいいます。

一般にステインと言うと、「オイルステイン」という言葉を思い浮かべる方も多いかと思いますが、ステインは大きく分けると、

・オイルステイン

・水性ステイン

と、2種類に分ける事ができ、油性(オイルステイン)か、水性(水性ステイン)かの違いだけですので、オイルステインは「ステイン」カテゴリー内の一つという事になります。

ステインの目的は木目などを活かした着色にあるので、なにも塗装しないよりは、油性のオイルステインなどは、水をはじいたりする効果が少しはあるかもしれませんが、基本的には木材を保護する効果などはありません。

よく、「木材保護塗料」と混同されがちですが、全く違うものです。

paintwork.hatenablog.com

ですので、極端な話絵の具やペンキなど、木材に染み込ませる事が出来る粘度に薄めて塗ればステインと言う事です。

ステイン目的の塗料や材料など、色々な商品が販売されていますが、色味や、染み込み方が少し違うだけで どれも似たような物です。

作業も比較的簡単なので、DIY向きの施工法でもありますが、木材の種類や木材の表面の加工の仕上げ方で、塗料の色ムラや木材の表面が粗れたりと、難しい面もあります。

ステインを塗った後の仕上げ

ステイン材を塗った後に仕上げを行う場合は、大まかにわけて4種類の仕上げ方があります。

そのまま仕上げ

文字通り、ステイン材を塗ってからなにも行わずに乾燥させます。 

拭き取り仕上げ

ステイン材を塗ってから、ウエスなどで拭き上げて仕上げます。この拭き取りという作業は、単に表面のステイン材を拭き取るだけではなく、拭き取りながらステイン材を 刷り込んだり伸ばしたりする意味もあります。

塗料の塗り継ぎなどや仕上げがいまいち上手くいかない場合などは、拭き取り作業をすることで、仕上がりが良くなる場合があります。 以前に書いた記事で、 

paintwork.hatenablog.com

染色という木目を活かす点ではステイン塗りに近い施工法がありますが、ステイン 材を拭き取りながら、同時にウエスについたステイン材で、着色の薄いところは濃く、濃い所は拭き取って薄くするなどの、染色法で使うテクニックを使い全体的な色ムラなどをなくす作業も出来ます。

ワックスやオイルフィニッシュ

ワトコオイルなどのオイルフィニッシュ材や、 

paintwork.hatenablog.com

ブライワックスやビンテージワックスなどに代表されるワックス材など、ステイン材を塗った上に塗り、仕上げるやり方です。施工法も比較的簡単なのでDIY向きですが、時間の経過と共に塗り直しやメンテナンスを行わなければならないので、小物や家具製品などのデザインを重視した物以外には、あまり向いていません。 

クリヤー仕上げ

以前は、作業者の知識と技術で仕上がりに非常にバラつきのあった施工法です。

使用する材料の知識、塗装法の技術共に無いと、残念な仕上がりになってしまいます。以前は、溶剤塗料一択でしたが、近年では水性塗料なども良製品が出ていて 、施工時の選択の幅が広がりました。 

今回ステインを塗る木枠 

ドア枠と敷居

今回、ステインを塗る部位は「ドア枠」です。 一般的なドア枠の場合は、「三方枠」と呼ばれる、三辺の枠と、敷居部分で構成されています。バリアフリーなどの場合は敷居が無い場合もあります。 

f:id:Paintwork:20180525132714j:plain

 

今回はこの三方枠の縦の1辺の枠と敷居にステインを塗ります。既存の枠は「トガ」という木材だと思うのですが、新しく作り替えた枠は「集成材(木の種類はわかりません)」で、木の材質や木目が全く違います。

敷居はヒノキです。既存の木枠、新しい木枠、敷居と木の種類や木目が違うので、同じ色を塗っても、元々の木の色味や木目模様、塗料の吸い込みが違うので違った色に見えてしまいますので合いません。

まずい状況です。

「トガ」と書いていますが、本来は「栂(ツガ)」というそうですが、私の地域ではトガと言っています。

既存の仕上げ 

既存の仕上げは「ステインを塗ってそのまま」 のようです。ステインの材料も油性などではなく、水性のようです。

塗装前 

部分的にやり替えているので、どうしても隙間が出来てしまいます。枠を取り付けする際に隙間を埋めるために、大工さんがコーキング処理をしているのですが、もう少し綺麗に見えるように、コーキングを少し増し打ちしたいと思います。 

         f:id:Paintwork:20180525144821j:plain

f:id:Paintwork:20180525143216j:plain

下準備とマスキング

下準備として、コーキングを少し増し打ちして見た目を整えたいと思います。それから必要な部分にマスキングテープで養生を行います。見た目だけの修正なので水性のコーキング材を使用します。

画像は水性のコーキング材とマスキングテープです。

f:id:Paintwork:20180525150349j:plain

 

マスキングテープで養生を行い、気になる部分を増し打ちしました。ヘラや指などでコーキングを抑えながらならします。

f:id:Paintwork:20180525160853j:plain f:id:Paintwork:20180525160932j:plain 

 

今回の様に壁がクロスやコーキング材などで仕上がっている場合は、マスキングテープなどで養生しても、粘度の薄いステイン材などの塗料は、塗料の滲みなどがでてしまい、クロスなどが汚れてしまいますので、汚れてはいけない所は、逆にマスキングなどをせずに、なぞりながら塗る「ダメ込み」という、「フリーハンド」で刷毛塗りします。

ですので、今回の場合は特に養生は必要ありませんが、作業を効率よく行うために最低限の養生は行います。f:id:Paintwork:20180525162912j:plain

 

養生(マスキング)を行うときには用途によって、色々な種類のテープや紙、ビニールなどがありますが、室内の塗装では「紙テープ(マスキングテープ)」を主に使用します。

塗装用のマスキングテープは主に紙製で、マスキングテープとよんだり、そのまま紙テープとよんだりしますが、このマスキングテープにも「様々な種類やサイズ」が存在し、用途も色々あります。

私が他の記事などの画像などでも使用している、この青いマスキングテープは 、シーリング用の24mm幅のテープです。一般的には、もう一つサイズの小さい、18mm幅のテープで、シーリング用ではない、塗装用のテープを使われている方が殆どです。機会があればその事についても書いてみたいと思います。

紙テープ(マスキングテープ)で養生する際に、角などを貼る時もテープを切らずに、

出来るだけ1本のテープにすることも大事なのですが、テープを綺麗に切って貼ることも必要な時があります。

ハサミやカッターナイフなどを使えば綺麗な切り口でまっすぐに切れますが、ヘラなどを使用すると便利に切れる場合もあります。 

上の画像でのマスキングはこの動画の様にして行っています。動画では素人の方が見てもわかるように「ゆっくりめ」に行っています。 

youtu.be

材料と調色

今回使用する材料は、大阪ガスケミカル株式会社の水性のキシラデコール、「キシラデコールインテリアファイン」という材料です。今回は、既存の枠に色を合わせなくてはいけない為、ベースとなるステイン材に水性キシラデコールを使用し、調色を行うために、水性の調色用着色材を使用します。

f:id:Paintwork:20180525172330j:plain

外部用のキシラデコールなどは「木材保護塗料」なので、調色を行うには同じ材料同士でしか調色は出来ません。

内部用のキシラデコールは着色用ステイン材ですので、メーカーの「大阪ガスケミカル株式会社」の方にお伺いした所、「当社では着色材を使用しての調色は行っていないので、わかりません。」 と、返されたので、「ダメですか?」としつこくお伺いした所、「ダメという事ではなく、行っていないのでわかりません。」というお返事を頂きました。

「キシラデコールインテリアファイン」は手垢などの汚れ止め効果があります。また日焼け抑制効果もあります調色用着色剤を使用した場合、効果が落ちるかもしれません。当然、メーカーは推奨していません。

基本的には同じメーカーの商品同士で使用する、調色するのが理想的なのですが、今回のように、わずか2mくらいの長さの枠を塗るために、数々の商品が必要になれば、材料費だけでも高額になってしまいます。このお宅は外壁などの塗装工事をさせて頂いたので、この様なちょっとした付帯仕事は、サービスなのでなおの事です。

以前から試してみて問題がなさそうだったので、確認の為にメーカーさんにお聞きしました。

もちろん、本当にダメな場合もあります。例えば、時間の経過と共に「変色」や「黄変」などが、起こったりする場合などもありますし、外部用のキシラデコールなどは、本来の性能が発揮できなくなります。

刷毛など 

ステインを塗るためには刷毛などが必要ですが、私の場合はホームセンターで買ってきた、「5本セットで498円」の刷毛と、100円ショップで購入した「画筆」を使用します。もちろん、業務用の刷毛も所持はしていますが、これで十分な感じです。DIYなどには特に向いていますので、オススメです。

5本で498円と、とってもお得な刷毛セットです。1本100円弱です。

f:id:Paintwork:20180525182828j:plain

f:id:Paintwork:20180525183037j:plain

塗装1回目 

自身で調色した水性キシラデコールを1回塗りし、乾燥後にサンドペーパーを軽くかけました。「集成材特有の木目柄」と「集成材特有の塗料の吸い込みムラ」が出ています。このことから、拭き上げによる仕上げを行うと、「集成材特有の木目柄」が出てきてしまうので、拭き上げは無しで仕上げようと思います。 

          f:id:Paintwork:20180525184436j:plain

塗装2回目

2回目塗りたてです。塗りたてなので少し艶が出ている事と、色味が濃いめになっていますが、塗料の吸い込みがあるので、乾燥するにつれて艶も引き、落ち着いていきます。2枚の写真の色は同じ色なのですが、カメラの関係か、光の関係かわかりませんが、上半分が写っている方が 色が濃く見えます。実際は写真ほど濃くはないです。

f:id:Paintwork:20180525185415j:plain f:id:Paintwork:20180525190131j:plain    

乾燥中

完了後の写真を撮るのをなぜか忘れてしまいました。画像はここまでです。

これはまだ半乾燥くらいですが、だんだん色味があってきました。完全に乾燥した時になんとかOKラインでしたのでよかったのですが、これ以上色味が合わない場合は、既存部を薄めたステイン材で軽く塗れば何とかなります。 

          f:id:Paintwork:20180525192038j:plain

 

今回はこの辺で。