paint work’s 塗装工事に関する blog

建築塗装をはじめとした 色々な塗装工事についてのブログです

work 71 DIY 100均のお椀がカシュー塗料で 高級漆塗りに変身?

前置き

今回は「カシュー塗料」という漆塗料を紹介したいと思います。DIY向けの記事なので「塗装のサンプル」として、100円ショップのお椀を題材にしてみました。

食品衛生法

今回の題材は「お椀」という「食器」を題材にしていますが、メーカーである、「カシュー株式会社」に問い合わせしてしてみた所、「食品衛生法」に適合していないので、「塗らないでください」との事です。ついでに言いますと、「F☆☆☆☆(エフフォースター)」にも適合していないそうです。

F☆☆☆☆(エフフォースター)

F☆☆☆☆(エフフォースター)については、「一般社団法人 日本塗料工業会」のHPにて詳しく記載されています。

JPMA: 規制について−ホルムアルデヒド自主管理

参考元:(一般社団法人 日本塗料工業会)

 

※注:F☆☆☆☆の表示がされているからと言って、化学物質過敏症の方でも問題なく使用できるという意味ではないです。

食器類への塗装

上の2点(食品衛生法・F☆☆☆☆)の事から、食器などの直接口につけて頻繁に使う様な、お箸やお椀、カップなどには塗装しないでくださいとの事です。(メーカー回答)

漆塗り

漆塗りの美しさは皆さんご存知の通り。日本の伝統工芸には外せない仕上げ法で色々な塗り方や仕上げ方があり、製品の美しさは漆塗り独特のものです。

しかしながら、原料となる漆の生産量は塗料としてみると足りていないみたいで、

輸入品なども使用されているそうですが、それでも足りていないそうです。それ故にどうしても、いい意味でも悪い意味でも高級感がありすぎて、普段使いの物にするには手が出せないという方もいると思います。

漆塗りの特徴としては、湿気(水分)がないと乾燥しないそうです。室(ムロ)や風呂(フロ)と呼ばれる収納庫や乾燥室で、湿度 75%~85% 温度 20℃~30℃くらいで温度と湿度を一定に保つ乾燥場所が必要になるそうです。

もちろん私はただのペンキ屋ですので、漆塗りは行った事はありません。

カシュー塗料とは

よく「人工漆」とか「漆のニセモノ」とか漆と比べて、あまりよくない言い方をする方がいますが、歴とした漆系塗料でカシューナッツ(漆科)の殻から取れるオイルが原料です。一般の塗料とは違う、独特の塗膜感や艶感があります。漆系塗料ですので、漆の塗装法なども再現できます。

限られた生産量の漆は値上がり傾向にあり、それに対して、一定量の安定した供給が出来るカシュー塗料は漆産業にとっては大事な役割を果たしているそうです。

塗装法など

カシュー塗料は、「刷毛塗り」「スプレー塗装」どちらでも出来ます。

塗ってからそのまま何もしない仕上げの「花塗り」

塗った後に磨きなどを行う「呂色仕上げ」

塗った後に摺り込みなどを行う「摺り漆塗り」

その他にも色々な「変わり塗り」などの、多彩な塗装法があります。

カシュー株式会社」のHPにて塗装法や色見本などが確認できます。色見本や塗装法などはページ下の方にPDFとして載せられています。

www.cashew.co.jp

(参考元:カシュー株式会社)

また、実際の塗装にあたっては、「摺り漆塗り」などに使用した、塗料の染み込んだウエスをごみ袋などに入れると、酸化の熱がこもり発煙、発火することがありますので、直ちに焼却するか、水バケツなどに漬け込んでから捨てるようにしてください。詳しくは「カシュー塗装法」 をよく読んでから塗装してください。

題材に100円ショップのお椀

今回の題材は「100円ショップのお椀」です。食器の使用目的として塗装してはいけませんが、サンプルとしてわかりやすい「お椀」を選んでいます。

DIYで塗装を行いますので、「スプレー塗装」や「変わり塗り」などは行わず、手軽な「刷毛塗り」で行いたいと思います。塗装後に磨き作業などを行わない「花塗り」です。簡単に言えば、塗料を塗ってそのままで仕上げとなります。DIY向きです。

プラスチック製ですので、透明(透明にも色が着いていますが)などは使わず、今回は「外側」を「黒色」に塗り、「縁と内側」を諸事情により、「朱赤と黒を混ぜた色」を使用して塗ります。実は黒と朱赤しか持っていなかったので。

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やり方の流れ

では実際にやってみたいと思います。すでに完成されている商品なので、これから塗装するためにサンドペーパーなどで細かなキズを入れて足付けをします。サンドペーパーは400番以上の番手なら何でもいいと思います。画像ではスポンジペーパーを使用しています。

画像のスポンジペーパーは3Mというメーカーの「FINE(#240-#320)」ですが、使い古しの為ヤスリ目が細かくなっています。

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先に外側の黒から塗ってみます。縁をマスキングしました。画像のマスキングテープの幅は6ミリの物ですが、何ミリの物でも大丈夫です。幅の狭いマスキングテープの方が、アールになっている部分には貼りやすいです。

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1液型の「カシュー塗料」です。色は黒です。内容量は「80ml」の物です。このままでは粘度が高く塗れないので、専用のうすめ液が必要になります。塗料を塗る時は「紙コップ」などに塗料を適量入れて、「うすめ液」で希釈して塗りやすくしてから塗るといいです。塗り終わった塗料は戻してもいいです。

amazonに専用のうすめ液がなかったのとこちらの方がお安いのでペイントうすめ液のリンクも貼っておきます

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100円ショップで購入した筆と、ホームセンターで150円で購入した刷毛です。新品の筆や刷毛は毛が抜けるので、使用する前に毛が抜けなくなるまで良くもみほぐして使用します。

カシュ―を塗るための専用刷毛もありますし、数万円する漆を塗る専用刷毛などもありますが私的には必要ないです。

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諸事情により何故か外になっていますが、1回目のカシュー塗料塗りです。下地の茶色が透けて見えたり、細かなゴミなども付着していますが、これから塗り重ねを行いますし、細かなゴミはサンドペーパーで水砥ぎするので問題ありません。塗ってから次の工程に行くまでに1日(次の日)まで乾燥させます。

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600番の耐水サンドペーパーを使用して水砥ぎし、付着した細かなゴミなどを落とした後に、2回目のカシュー塗料を塗って、600番の耐水ペーパーで水砥ぎしました。

リンクは#800-#1000番のスポンジペーパーですが、こちらだと空砥ぎや水砥ぎのどちらでもいいです。

今回は、耐水ペーパーの番手は600番を使用しましたが、800番くらいの物の方が望ましいかと思います。塗りの工程を行う毎に縁にマスキングした箇所はマスキングし直しています。カシュー塗料は独特の臭気がありますので、室内で作業する時は換気を良くしたり、マスクを着用した方がいいです。

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1液型のカシュー塗料は一般の塗料と比べて乾燥が遅いのと、(乾燥の早い2液型もありますがDIY向きではないです。)お椀を塗る時に一般の方でも塗りやすくするために少し工夫をしました。

ペットボトルに水を入れ、塗るための台座にしています。次に、塗る時に動かないように お椀の内側とペットボトルの蓋を、少し厚めの両面テープで固定しています。

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1液型のカシュー塗料は乾燥が遅いので、塗装した後にゴミなどが付着しないように、ゴミ箱などを被せてゴミが付着するのを一時的に防止します。スッポリ被せてしまうと乾燥も遅くなるので、今回はマスキングテープを置いて隙間を作りました。

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外側完成 

ペーパー砥ぎ → 1回目塗り → 1日乾燥後耐水ペーパー砥ぎ → 2回目塗り →   →1日乾燥後耐水ペーパー砥ぎ → 3回目塗り(仕上げ塗り)の工程で「外側の黒色」が完成しました。

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縁と内側

外側を十分に乾燥させたら、外側を塗った時のようにマスキングテープで縁をマスキングしてから外側と同じ工程で縁と内側も「朱赤と黒を混ぜた色」で塗ります。

今回は外側を先に塗りましたが、外側を塗るために工夫などをしましたので、先に内側を塗ってしまうとこの様な工夫でキズなどがついても困ってしまいますので、先に外側を塗りました。

内側を塗る時は外の黒色に色が付かないように縁にテープを張った後、新聞紙などで包むようにマスキングするといいかもしれません。内側を塗る時は底などを持って塗れますので、先に外側を塗りました。

完成

外側、内側ともに塗り終わり 乾燥を十分にさせて完了です。頑張って塗ってみましたが、どうでしょうか?。「塗らない方がよかった」という、悲しすぎる感想は無しにしてください。

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最後に

カシュー塗料には一般の塗料にはない、漆塗料独特の艶や、風合いがあります。今回はプラスチック製の素材でしたので、「黒色」を塗りましたが、木製の素材などでは、木の風合いを活かした塗り方なども出来ます。

塗料の臭気対策や後始末などを きちんと行えば、DIYで「漆塗り」が体験できます。塗料も少量から販売されていますし、道具も刷毛とサンドペーパーだけで行えます。

また、注意する点としては「色」によって乾燥時間が違います。今回使用した「黒」と「朱赤」では黒に比べて朱赤の方が乾燥が遅く、自然乾燥で2~3倍以上の乾燥時間がかかりました。

 

今回はこの辺で。