paint work’s 塗装工事に関する blog

建築塗装をはじめとした 色々な塗装工事についてのブログです

work 79 DIY 缶スプレーで車のバンパー補修塗装

前置き

今回は「私の作業車」を例にとってホームセンターで購入した、「缶スプレー」を使用して、自動車のバンパーの補修塗装を行ってみようと思います。

基本的にはボディもバンパーも同じ作業の流れになりますが、自動車のボディとバンパーでは違うところがあります。

特殊な例を除いて、ボディは「鉄板製」バンパーは「樹脂製」が一般的です。

ですので、鉄製には鉄製用の、樹脂製には樹脂製用の材料があります。簡単にいうと、樹脂製は柔らかいので硬くなる通常の塗料や材料では、動きに追従できないので、塗料や材料が剥がれたり、割れたりする可能性があります。

ですのでプロの方はそれぞれ塗装物に適した塗料や材料を使用します。業務用と一般用では材料も価格も違いますので限界もありますね。

キズ補修やタッチアップについて

本題に入る前に自動車のキズ補修やタッチアップについても少しだけ書いてみようと思います。キズの補修やタッチアップのやり方は  少しメディアで検索するだけで、星の数ほどヒットします。やり方は色々あって千差万別ですが、基本的な考え方は皆同じで一つです。

例えば、ドアやフェンダーなどに飛び石が当たってキズが入ってしまったり、乗り降りの際に、ドアの角をぶつけて塗料が剥げたりしたとします。プロに塗装を出すまでもないけれど少し気になるキズが出来てしまった時に応急処置をするという意味合いでキズ補修やタッチアップを行うと思います。あくまでも「応急処置」ですので、過度な期待は意味のない事です。

ですが、補修やタッチアップを行う人の熟練度でかなりの差がでます。知識とノウハウがある人が行えば「やり方と出来栄え」が違います。考え方としては、キズの部分は塗装が剥げた状態で、剥げた塗料の厚み分だけ凹んでいます。もしかすると鉄板も凹んでいるかもしれません。

タッチアップなので筆の付いた塗料など(タッチアップペン)や、用意した塗料を筆などで塗るのが一般的です。凹んだ部分に筆などで塗料を付け、塗料でパテの代わりと同時に仕上げを行うという事が基本的な考え方になります。

筆で塗料を塗るのですから、スプレーみたいに均一にはなりません。ですので、何回も「塗料を盛って」盛り上がった部分を削ります。これが基本的な考え方です。

盛り上がった部分を削る際に、キズのついていない所まで削らない事や、最終的にはコンパウンドなどで磨く事まで一つ一つに作業する人の熟練度が問われます。

タッチアップの流れ

1)キズの入っている場所の清掃

2)キズの周り(広範囲)にコンパウンド(目の細かい物)で磨く(汚れ落とし)

3)綺麗な塗膜よりも盛り上がるまで塗料塗り。

4)盛り上がった塗料を綺麗な塗料面と均一に近づける(削り)

4)細かい目のコンパウンドなどで磨いて仕上げる。

これが基本的な考え方で作業する人の熟練度で、やり方や道具などが変わります。

タッチアップの注意点

私の作業車もそうなのですが(私の作業車はシルバー色)、メタリックやパールなどの 「光輝性顔料塗料」は、クリアー塗料による上塗りが必要な塗料です。

ですので、ソリッドカラー(単色塗料)よりも難易度が上がってしまいます。クリアー塗料を塗らないと艶が違うため雰囲気が大きく変わってしまいます。そもそもが、メタリックやパールなどの塗料は、クリアーを塗る前に、サンドペーパーなどで研ぐことは出来ないので難易度が上がってしまうという事につながります。

ですが、小さなキズの場合はクリアー塗料は塗らなくてもいい場合が多いですし、キズが下地(鉄板)まで到達していない場合は、「クリアー色」で 補修出来る場合もあります。

 缶スプレーなどでタッチアップを行うのはオススメできません。後述する「スプレーダスト」 が出来る為です。それからタッチアップする面が広範囲になってしまうためです。缶スプレーではなく、タッチアップペンを吹付出来るようにした商品などもあるようで、それに合わせたぼかし剤などもあるみたいです。

今回の補修塗装で使用した缶スプレーのメーカーで参考になる動画がありましたので リンクを貼らせて頂きます。スプレーダストを消す「ぼかし剤」について理解できます。

www.youtube.com

出典元:soft99tv

私的感想

この様にスプレーをしてタッチアップを行った場合は、塗料で凹みを埋める事は出来ないので「パテ」などを使用して、凹みを埋める作業が必要になります。もしくは、キズを平らになるまで研磨(この場合は広範囲になってしまいます)しなければなりません。小さな傷のタッチアップが目的なのに、塗装する範囲が広くなってしまいます。

キズに「パテ」を塗りつける場合は、パテ面が塗料をよく吸い込んでしまう為に、「吸い込み止め」として「サフェーサー」など塗る必要も出てきます。サフェーサーを使用せずに「上塗り」だけで塗料の吸い込みを止めようとすると、何回も何回も「上塗り」を塗らなければならなくなります。そして「パテ」と「元々の塗料」の境目をわからなくするために、結局はサンディング作業が必要になります。 

参考動画

今回の補修塗装で使用した缶スプレーのメーカーでタッチペンを使用したタッチアップ作業の参考になる動画がありましたので、リンクを貼らせて頂きます。作業する人によっては改善点などもあるとは思いますが、(私の場合はコンパウンドで手磨きする際には柔らかいウエスを使用する等々)基本的な考え方を理解するにはとてもいい動画だと思います。

www.youtube.com

出典元: soft99tv

用意した物 

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私の場合

今回私がホームセンターで用意した材料は、その他の物は自前である程度は所持している物と、自身の車なので材料を省いている物もあり、缶スプレーのみです。

① シリコンオフ(ミニタイプ) 缶スプレー 1本

② サフェーサー(プラサフ)  缶スプレー 1本

③ シルバー色(車体色)    缶スプレー 1本

④ クリアー色         缶スプレー 1本

で、全部で4千円弱でした。(全てソフト99製) 

 

一から揃える場合 

① マスキング用新聞紙         適当

② マスキングテープ          適当本

③ 樹脂用パテもしくはバンパー用パテ  1 

④ パテ用ヘラ             1

⑤ サンドペーパー320番手(パテ砥用)1枚

⑥ 耐水サンドペーパー400番手    1枚

⑦ 耐水サンドペーパー600番手    1枚

⑧ あて板(あてゴム)         1個

⑨ 細かい目のコンパウンド       1

⑩ コンパウンド用ウエス        適当 

⑪ シリコンオフ            1本

⑫ シリコンオフ用ウエス        適当

⑬ バンパープライマー         1本

⑭ サフェーサー(プラサフ)      1本

⑮ 車体色               1本

⑯ クリアー色             1本

⑰ ぼかし剤もしくは仕上げ剤      1本

 

正確な金額は調べていないので解りませんが、全て揃えて1万円前後くらいでしょうか。耐水ペーパーなどは800番手、1000番手、1500番手と車体色を塗る前に順を追って目消しを行えばより綺麗な仕上がりになると思いますが、今回私は、600番手でサフェーサーの研磨を終了しています。

今回私が使用しなかった物として「バンパー用プライマー」があります。「ミッチャクロン」などでも代用できますが、基本的に今回使用するサフェーサー(プラサフ)や車体色、クリアーなど、「樹脂製用ではない(缶スプレー)」な事と、樹脂の上(素地)に塗装するわけではない(旧塗膜やパテの上)ので適当に省きました。気にされる方は必要だと思います。

仕上げのクリアー色ですが、「2液型のウレタンクリアー」の方が、仕上がりはいいのですが、今回購入したクリアー色の「倍以上の価格」でしたので、今回は普通のクリアー色を使用しました。仕上がりを気にされる方は「2液型のウレタンクリアー」の方がいいと思います。

「ぼかし剤」や「仕上げ剤」と呼ばれる物も購入していません。本来、補修塗装の場合は「エアーダスト」と呼ばれる、塗料の霧でホコリが付いたように見える状態が出来てしまいます。その状態を目立たなくするためや、塗装のつなぎ目(色をぼかす)などをなじませるための物で「ぼかし剤や仕上剤」と呼ばれる材料があるのですが、今回私は使用しません。

上でも少し動画などを紹介しましたが、今回の補修塗装で使用した缶スプレーのメーカーで参考になる動画がありましたので リンクを貼らせて頂きます。

「ぼかし剤」についてわかりやすい動画です、今回の私の状態も似ています。マスキングなど諸々私のやり方とは違いますが、基本的な考え方は同じです。

www.youtube.com

出典元:soft99tv

ぼかし剤の注意点

ぼかし剤はエアーダストを消してくれるのと、新しく吹いた塗料をなじませてくれるので補修した部分との境目を、わかりづらくしてくれます。そのままだと問題ないのですが、知らずにその部分を「コンパウンド」や、市販の「水アカ落とし」などで磨いてしまうと、境目がハッキリと浮き出てくることがあります。これは修理工場などに依頼して補修塗装した場合なども同様になる場合があります。

樹脂バンバーと鉄板の最大の違い

作業を行う前に知っておかなければならない事があります。自動車の部品(ボディ)は主に鉄板で出来ていますので、鉄板の表面はツルツルです。

昔は樹脂製バンパーというと、ウレタン樹脂バンバーでしたが、近年は、PP(ポリプロピレン)樹脂製が多い(昔もPP製はありましたが)です。このPPバンパーはどういう訳かはわかりませんが、大体は表面がブツブツです。(例外もあります)

ポリプロピレンについてはwikiをご覧ください。

ja.wikipedia.org

出典:ポリプロピレン - Wikipedia

素材がどうであれ、ツルツルの表面なら問題ありませんが、 ここで問題なのは「表面がブツブツ」の物も多いという事です。例えば、擦り傷や抉れ傷などが入ってしまうと、直す方法は「パテ」などの「埋める補修材」を使用して「埋める」事になりますが、ヘラなどを使用してパテを埋めると、パテの表面は「平」になります。

サンドペーパーなどで表面を削り、下塗りなどを塗ってはまた表面を削り。そうすると、「パテを行った所」や「サンドペーパーで削った所」だけが平になってしまいます。キズの入っていない所の表面はブツブツで直した箇所はツルツルになってしまいます。

つまり、どんなに頑張っても塗装後にこの差がわかってしまい、同じようにはなりません。熟練度の高い人が作業すれば目立たなくはなるかもしれませんが、どうしようもない部分なのです。ですので「差」が気になる方はキズの入っていない綺麗な中古品を購入して塗装するか、新品に交換した方がいいと思います。幸いPP製のバンパーなどはコストが低めに設定されているようです。

PPバンパーのブツブツ

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補修塗装

では、PP製以外の「鉄板」で出来たパーツの場合はどうなのか。例えば、ドアやボンネットなどは「鉄板製」なのでツルツルですが、そのようなパーツにキズや凹みが出来て補修塗装する場合にも問題はあります。

基本は新車時の焼き付け塗装がベースだとします。新車時の塗装はとても綺麗で光沢はありますが、基本的には「なみなみ模様(ラウンドといいます)」です、鏡面ではありません。塗装というのは例外もありますが、基本的には塗装に用いた器具や道具の模様が発生します。刷毛塗り、ローラー塗り、スプレー塗りなど、使用した器具や道具の模様が出来ます。

「鏡面」については私の過去記事でいくつか書いていますのでここでは省きますが、補修塗装した面は削ったり磨いたりするので鏡面になりがちです。

補修塗装の場合は「部分的な塗装」になりますので、キズや凹みを直して塗装するとキズの入っていない部分の「肌」と、補修塗装した塗装面の「肌」に違いが出てしまいます。

この「差」をわかりづらくするためには補修塗装の「肌」を、新車塗装の「肌」に合わせる必要があり、なんでもかんでも磨いて光らせればいいという物でもないのです。磨くという事は「なみなみ模様」が無くなってしまう事なので、磨かないと光沢の出ないような材料を使用するのは疑問に思います。(塗装時のホコリ付着などを除去する為の最低限の磨きは必要な場合もありますが)これはコストの面でも色々とありますので一概には言えない事なのですが。

例えば、ドアのキズを塗装する場合、小さな傷でその傷だけを直す場合は そのドア内での肌の違いが出来ますし、ドア一枚全部を塗った場合は、その周りのパーツ(フェンダーや前・後ドア)との塗装の肌のバランスが大事になります。補修塗装では色が合っているや合っていないという話題になりがちですが、塗装の肌の違いでも色が変わって見えてしまいます。

作業の流れ

ここからは順を追って、私の作業車に缶スプレーを使用して補修塗装作業を行います。私は塗装器具などを所持していますので、この様な缶スプレーを使用しての作業は必要無いのですが、「DIY」として、作業を行う場合を想定して作業を行ってみました。

自動車の塗装の場合は屋内で行うのが普通です。ましてはバンパーなどの決して大きくはないパーツの場合は取り外してバンパー全部を塗装すると思います。ですが、一般的にDIYで塗装する場合は屋内での作業は無理な方の方が多いのではないかと思い、全て屋外での作業を行っています。

補修する箇所

今回補修する箇所は「リアバンパー」です。真後ろ面ではなく横面からコーナーにかけて、ブロックで出来た花壇に当ててしまい抉れたり、擦り傷などが付いています。この箇所をバンバー全体を塗らずに、補修塗装で行います。

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アップ

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エポキシパテ付け

擦り傷や抉れている部分をサンドペーパーの320番を使用して、サンディングを行いました。その後、「シリコンオフ」を使用して脱脂。エポキシパテは樹脂にも密着するので使用しましたが、本来は塗装面をもう少し広範囲にサンディングして下地(樹脂)が出た部分だけにパテを付ける方がいいです。画像では塗膜にもパテが付いているので本来は行わない方がいいですが、作業車なのでその辺は適当に行いました。本来の施工法は、紙やすりでサンディング→シリコンオフで脱脂→バンパープライマー→パテ付け となります。パテを付ける際はヘラの外側を軽く擦り取るように行えば、塗装面とパテとの段違いをなだらかにするサンディングの際に楽です。

     

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パテのサンディング 

サンディングの際には「あて板(あてゴム)」が必ず必要です。画像のあて板(あてゴム)は100円ショップ製で100円で購入した物です。「盛ったパテ」をサンディングする際に「平らに研磨」するのに必要です。使用するあて板(あてゴム)は補修した面積に合う「大きさ」の物が必要です。例えば、広い面積を研磨する時に手のひらサイズの小さな物ですと、平らに研磨する事は出来ません。むしろ凸凹になるかもしれません。画像の「サンドペーパー」は320番手の「空研ぎ用」ですが、エポキシパテは少し研ぎづらいので「水研ぎ」します。空研ぎ用なのは耐水ペーパーが無かっただけで他意はないです。

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パテ研ぎの目安

下の画像の様にパテと既存の塗装の間が光っている場合は、段違いが取れていないという事になります。塗膜の上にパテが付いているので、完全に平行にするのは出来ませんが、この状態ではもう少しサンディングする必要があります。

段違いの縁の事を「エッジ」と言いますが、エッジが緩やかに広くなるようにサンディングする事で段違いを目立たなくする事が肝になってきます。エッジを広くとる事で段違いは目立たなくなりますが、その分広範囲になってしまいます。

車の塗装ではサンディングする際に、「上塗り層」、「中塗り層」、「下塗り層」を、なだらかに出して下地の鉄板を出す研磨のやり方を「フェザーエッジ」といって、一見、「地層」みたいに見えます。

板金パテなどは、鉄にしか密着しないので、下地の鉄板をパテを塗る範囲よりも広範囲に「むき出し」にしてパテを盛り付け、その外周を「サフェーサー」で覆い隠して表面をなだらかにする方法を行います。ですので「フェザーエッジ」は下地作りの肝になります。この画像ではあまり行ってはいけないのですが(パテが塗膜にかぶっている)、「逆フェザーエッジ」が目標になります。

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追いパテ

パテを一通りサンディングしましたが、まだキズや凹みがある場合は、2回目のパテが必要になります。スポット的に悪い部分だけ2回目のパテを行いました。画像の場合ではコーナーの擦り傷の部分と、タイヤに近い縁の部分です。

初めからパテを2回行ってからのサンディングでも良かったのですが、上で書いたようにエポキシパテはサンディングし辛いので、この様に行いました。2回目に行ったパテは画像では黄色っぽい部分で、エポキシパテではありません。なぜかその時に見当たらなかったので、たまたまあった「ポリパテ」を使用しました。本来はダメなやり方です。ポリパテは樹脂にはうまく密着しないので。これも自身の作業車なので適当です。

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下塗り準備

パテ研ぎが「ある程度」終了したので下塗り(サフェーサー)の準備に取り掛かります。塗装やパテなど何かを塗りつける前には「シリコンオフ」で脱脂します。車の場合は洗車時のワックス成分などが残っている場合が多いので、脱脂は必須になります。私の車は過去記事でも書きましたが、洗車を行った事はないので問題ないのですが、外から飛散した成分や汚れを落とすために、例外なく脱脂しなければなりません。他の物でも代用できますが、そんなに高額な物ではありませんので、「シリコンオフ」を使用しました。

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下塗りサフェーサー(プラサフ) 

本来、「サフェーサー」という材料と、「プライマー」という材料があります。「サフェーサー」は「中塗り剤」で基本的にはある程度の厚みが付いてサンディングを行い下地を整える為の材料です。簡単に言うと「液体のパテ」です。

「プライマー」は 「下塗り剤」で、金属などに塗料が密着しやすくなるために作られた材料です。ですので、「地金」にプライマーを塗り、その後に「サフェーサー」を塗るのが手順となります。

「プラサフ」は「プライマーサフェーサー」の略で、プライマーとサフェーサーの機能を合わせた材料です。2つの機能を併せ持った材料ですので、作業短縮に役立つ材料です。

車の塗装だけではなく、「下地作りにはプラサフ」という感じで、プラサフは大きく浸透していますが、勘違いしてはいけない部分として、プラサフは「金属地金」にしか密着性は期待できません。

つまり、樹脂面やプラスチック、旧塗料塗膜の上には、それぞれ専用の「プライマー」が必要になります。専用のプライマーを塗ってから、次に塗る塗料(サフェーサー)の密着をよくしなければなりません。

パテの上は「塗料の吸い込み」がありますので余り気にしなくてもいいですが、本来は「地金面」意外に直接プラサフを塗るものではないです。ですので、プラサフが密着しやすくするために、足付けと言って、サンドペーパーで広範囲にサンディングを行います。

今回は自身のDIYとして行っていますので、そんなのはお構いなしで直接プラサフを塗っていますが、既存の塗装面はサンディングを行い塗料の足付けは行っています。

画像は軽く「パラパラプシュー」な感じで軽く1回足付けしています。いきなり厚く付けると「塗料の垂れ」につながります。缶スプレーのプラサフを使用した私の感想としては、車用の缶スプレーだけあり、スプレーの霧が普通の缶スプレーより細かく感じました。

しかし、万人向けなのか吐出量が少なめです。エアー圧も缶スプレーなのであまり希望道理とはいきません。下塗りですし研ぎも行うので、もっと「ドバー」っと出てくれるとよかったです。ちなみにこの状態から3回くらい吹き付けました。

私の感想とは別に「客観的に」判断すると、霧の目も細かいし仕上がり的には十分なレベルだと思います。マスキングに関しては、下塗り(下地を整えるのが目的)なので、上塗りなどのマスキングとは違う場所(バンパーにあるライン)で縁切りしています。この辺は塗装物の形状や範囲などで適当に決めてます。車体色を塗る段階の画像でどこでマスキングしたのかわかると思います。

この缶スプレーのプラサフの種類は「アクリル樹脂」ですが、他の塗料と同じく、「ラッカー」や「ウレタン」などの種類のサフェーサーがあります。

上塗りの色に合わせてグレー色かホワイト色のプラサフを使い分けるといいと思います。

 

1回目

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2回目

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3回目

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スプレーダスト

スプレー塗装での宿命としてスプレーダストという物があります。単品の物を全体的に塗装する場合は問題ありませんが、広範囲な物や部分的に塗装を行う場合に白っぽいホコリのような物が付着します。もちろん作業する人の熟練度で左右するのですが、これもまたどうしょうもない事柄の一つです。これを消すために「ぼかし剤」という材料がありますが、今回私は使用していません。

塗装する箇所にもよりますが、「なくても大丈夫だろう」的な感じです。画像で囲っている範囲は正確にはスプレーダストではありませんが、塗装のつなぎ目(塗装を止めている所)で発生しやすいです。

他にも「車の全塗装」などを行う場合など、手順を理解し、熟練度がなければ「スプレーダストまみれ」になる可能性もあります。

画像で囲んだ箇所はパテをプラサフで覆いかぶせた端になりますが、この様に段々と覆いかぶせる事で緩やかな段違いにしていきます。基本的には「補修塗装」ではぼかし剤は必要です。

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プラサフサンディング 

プラサフを3回吹き付けしたので、サンディングが行えるくらいの厚みがつきました。下塗り初回の研磨なので400番程度の番手で空研ぎで構わないのですが、わりと綺麗な霧だったので、もう少し目の細かい600番手の耐水ペーパーでサンディングしました。この際も「あて板(あてゴム)」は必須です。

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サンディング後

プラサフのサンディング後は画像の様になりました。プラサフの目的は「下地作り」なので下地が綺麗に出来上がるまではプラサフを何回も吹付してはサンディングして

十分に下地を綺麗にする事が目的です。画像ではプラサフ中央に丸い跡が出来ていますが、サンディングでプラサフが削れてパテが見えている状態です。平らなあて板を使用してサンディングしていますので、その部分だけ削れたという事は凸になっていたという事です。

車体色(上塗り)を塗装する下地として、パテが露出してしまうと「塗料の吸い込みの差」が起きてしまい、上塗りを綺麗に仕上げる事ができなくなります。ですので全体をプラサフで「覆いかぶせて仕上げる」必要があります。

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プラサフの仕上げ 

パテやサフェーサーを研磨する目的は、「平らにする、歪を取る」という物ですので、プラサフの仕上にかんしても平たい面には必ず、あて板を使用しなければいけません。あて板を使用せずに手のみで研磨すると歪がでてしまうと思います。もちろん、隅の方や箇所によってはあて板を使用せずに行う場合もあります。

上の画像の状態でほぼ下地は出来ていたので、上の画像の状態から3回ほどプラサフを吹付し、耐水ペーパーの600番手で水研ぎをして仕上げました。上の状態の時に巣穴などがあれば再度パテを行います。

今回はこれで下地作り(プラサフ)は終了ですが、本来はもう少しサンディングを行った方がいいです。

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コンパウンドで周囲の汚れ落とし

プラサフでの下地作り作業が終了しましたので、次に車体色(上塗り)を塗装するための準備を行います。塗装する範囲の外周囲コンパウンドで磨きます (プラサフの外側)。理由は上で紹介した参考動画で説明していますので省略します。

私の場合は「手磨き」する時は「柔らかいウエス」を使用します。使用するコンパウンドは市販品や水アカ落としなどでもいいですが、私の場合は「3M」のコンパウンドを愛用していますのでそれを使用します。コンパウンドで磨いた後は「シリコンオフ」を使用して塗装する面やその外周を念入りに脱脂します。

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車体色塗り

マスキングも終了し、いよいよ車体色塗りです。本来、マスキングは塗装する場所以外「車全体を隠す」つもりで行った方がいいです(私の場合は少ししか行っていませんが。。)

この車体色はシルバー色なので上塗りとしてクリアー色を塗らなければいけません。シルバー色はメタリックのムラなどが起きないように気を付けて塗る必要があります。厚みをつけて塗装する必要はないので、メタルのムラに気を付けながらパラパラと塗っていきます。この辺は実際にやってみないとわからない所でもあります。 

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1回目

補修塗装なので本来は車体色を塗る前にも「ぼかし剤」を使用する場面なのですが、今回はぼかし剤は使用しないので車体色を塗っていきます。

最初は足付けを良くするために「パラパラシュー」って感じで1回目です。車体色(シルバー色)なので最終的にクリヤー色を塗るので車体色は厚みを付ける必要はなく、シルバー色の色ムラなどがでないように軽く色付けをしていきます。屋外での作業なので「風」に注意しながら作業しました。缶スプレーは特に風に弱いです。

テールランプに青いマスキングテープでマスキングしている所に付いている白っぽいホコリのようなもの物がスプレーダストです。

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4回目

この色の場合シルバー色なのでメタルムラ(色ムラ)が出ないように気を付けながら吹付を行いましたが、缶スプレーなのであまり色付きがよくなかったので4回も吹付しました。これで車体色の吹付は終了となります。

次でいよいよ最終段階の「クリアー色」を塗装します。

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隠ぺい性

クリアー色を塗る前に「塗料の隠ぺい性」について少し書いてみます。「隠ぺい性」とは文字通り「下地を覆い隠してしまう」性能の事で、車体色(上塗り)塗料にはとても重要な事柄です。下地の色(今回はプラサフのグレー色)を、上塗りが覆い隠すことが出来るかどうかの事です。

塗料の色は使われている「顔料」によって「硬さ」や「隠ぺい力」が違います。例えば、「赤」や「黄色」などは「隠ぺい性」が低いため、下地の色によっては覆い隠すことが出来ません。

グレーや黒などの上に鮮やかな赤や黄色を塗装しても下地の色が透けてしまい、いつまでたっても(何回塗っても)下地の色が透けてしまいます。(塗料メーカーや材料の種類によっては色の留まりが良い物もあります。)が、一般的には色の隠ぺい性はよくありません。

そこで赤ならピンク系、黄色ならレモン色などの「白で濁した」色を使用して、上塗り前の下塗りとして塗ったりします。また、バインダーといって上塗りの色にそれぞれ合わせた塗料のとまりが良くなる下塗り剤もあります。

高級な塗料ならばその辺もクリア出来ている塗料もありますが、缶スプレーなどでいきなりグレーの下地に赤や黄色を塗っても、下地が透けて見えてうまくいかない場合もあるかと思います。

そのような場合は今回私が使用したグレー色のプラサフではなく、白色のプラサフを使用するのがいいと思います。既製品の缶スプレーなのでそれくらいしか選択肢がないのですが。車の色は鮮やかな色も多いですし、色々な色が使われていますので知識として。

クリアー塗り(仕上げ)

車体色(シルバー色)が乾燥したので、いよいよクリアー色を塗って仕上げていきます。今回はクリアー色を通常のクリアー(アクリル)を使用しますが、仕上がりのよさでは「2液混合型のウレタンクリアー」の方がいいです。「艶」、「耐久性」、「肉持ち感」が違います。

私の別の記事でも書いていますが、缶スプレーの「2液混合型のウレタンクリアー」は、一回使い切りタイプですので、硬化剤を混ぜてしまったら当日に使い切らないとダメになってしまいます。

画像の状態はクリアー色塗装前です。

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今回使用したクリア―は普通の1液性の物ですが、耐久性や肉厚感などの優れた「2液型のウレタンクリアー」もあります。

 

3回目

サフェーサーや車体色の時と同じく、最初の1回目は、足付けをよくするために「パラパラシュー」という感じで吹き、2回目、3回目と吹付しました。コンパウンドでの磨きは行わないつもりなのでこの後の4回目で厚みを付けて仕上げます。

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完成

仕上げの4回目を塗って完了です。コンパウンドでの磨きは行いません。

 

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アップ 

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今回は磨き作業は行いませんが、磨き作業を行う場合はコンパウンドが必要になります。カー用品のものならどれでもいいと思います。

最後に

今回使用した缶スプレーの感想としては、私が思っていた以上に「使えるレベル」でした。流石に車用だけあって一般の缶スプレーよりもよく感じました。もちろん缶スプレーなので限界はありますが。

「補修塗装」の場合は塗料を塗る事よりも「下地作り」の方が難しいです。凹んだ面を平らにするためにパテやサフェーサーなどを塗りつけて研磨するので、平らにするのは経験が必要ですし、歪が確認できる「目」も必要になります。

ただ塗ればいいという物でもなくて、塗らない所との違和感などもあります。これはどうしようもない道具の差でもありますが、元々塗装(新車時)してある面に使用した道具(スプレーガン)と、缶スプレーでは口径ノズルの大きさや吐出量、エア圧の違いからくる、「肌」の違いがあります。

缶スプレーは何もせずに吹き付ける事が出来るので手軽ですが、逆に言えば「何も出来ない」ので、「肌」を近づけるには、塗る人の熟練度も必要になってきます。

 

新車みたいな新しい車を購入して、キズが入ってしまったら、個人で缶スプレーを使用してDIYで修理を行おうとは思わないと思います。

 

ある程度年数の経った車で板金塗装に出すのも勿体ないけど、キズが目立つのもなんだか。という場合に行う感じですかね。

 

タッチアップ程度のキズでもエッジを切って、サフェーサーから綺麗に下地作りを行うと、仕上げに2液型のウレタンクリアーの缶スプレーを使用すれば、その他のパーツ(ドアやフェンダー、ボンネットやルーフ)など、知識と技術があれば実用レベルで(見た目だけは)仕上げられると思います。材料代が高くなってしまうのと、缶の塗料なのでプロが使用する材料よりも耐久性はおちますが。私的にはそこまでして修理してもあまり意味はないように思います。達成感は得られるかもしれませんが。

 

価格に幅がありますので何とも言えませんが、バンパーやドアなどの補修塗装を修理にだすと、1万円くらいから3万円くらいでしょうか。

 

DIYで一から材料などをそろえて1万円くらい。

 

私の場合は3,890円でした。

購入した塗料のメーカーについては意図はなく、訪れたホームセンターにはそれしか売っていなかったからです。

 

ちなみにヤフオクで同じ型のバンバーで割と程度のいい中古が7,000円程度で出品されていました。

 

私の本業である建築の塗装でも同じことが言えるのですが、個人でホームセンターなどの材料を使用していた場合、プロが作業を行う時にとても大変です。材料が市販品と業務用では全く違うからです。

 

あまり知識のない素人の方やネットなどの記事を鵜呑みにして、DIYで作業を行い「失敗」して、結果プロに頼む事はよくある事みたいですが、その時はプロの行う作業の「手間」が余計にかかるので、何も行わないでお願いする場合よりも高額になる事が多いです。

 

でも、

DIYを楽しいと思える人は、小さなキズなどは自身で直すのもありだとは思います。

 

今回はこの辺で。

 

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