paint work’s 塗装工事に関する blog

建築塗装をはじめとした 色々な塗装工事についてのブログです

work85 塀の塗装その①

前置き

今回は塀の塗装について書いてみたいと思います。

一口に塀と言っても、色々な素材で出来ていますので一緒くたには出来ませんが、今回は「コンクリートブロック」で出来た塀の塗装について「一例」を、書いてみたいと思います。

 

コンクリートブロック

住宅の塀などに使用されるコンクリートブロックは「建築用コンクリートブロック」と言います。一般的には「塗装or塗り壁」などを前提に塀を作るための「素材の1つ」になります。

コンクリートブロックそのままの塀でも問題はありませんが、他の「化粧ブロック」などよりも劣化や汚れが早い事と、見た目がチープになりがちなので「塗装or塗り壁」などを行う事が多いです。

よくあるのが、家の正面の塀や門柱などが「塗装or塗り壁」、その周りは低く積んだブロックや化粧ブロックの上に「フェンス」というのが多いです。

アク

ブロックなどのコンクリートやセメントで出来たものに塗装する場合で、全てにおいて言えるのですが、出来上がったもの(この場合は塀の下地です)をよく乾燥させなければ時間の経過とともにトラブルが発生します。ブロックとブロックのつなぎ目にモルタルを詰める(目地)のですが、そこが良く乾燥していなければアクが出てきます。そのアクが塗膜を押し上げて表面に現れ、塗装の剥がれや見た目の悪さなどのトラブルになります。

アク自体はコンクリートやセメント、モルタルなどで出来たものなら何でも起きる現象なので、ブロック自体からも発生します。塀では、ブロック積み→モルタルで下地→塗装or塗り壁orタイル張りなどの流れなので、モルタル下地の段階でよく乾燥させる事が後のトラブル回避につながります。

目地から白い汚れが出てきてこびりつく、「タイル張り」などの仕上ではよく見る現象です。発生する原因や解決法などは長くなるのでここでは割愛します。

私は料理の灰汁に例えて「アク」と言っていますが、正式には「エフロ(エフロレッセンス)」と言います。

エフロ

下の画像は塀ではありませんが、エフロの画像でわかりやすいのがありましたので載せます。画像は鉄骨階段なのですが、数年前に「塗装前」として写真を撮った時の画像です。この後に塗装しています。階段の「天場や蹴込み」部の目地から水分が中に浸透して、裏側の鉄骨部から「錆やエフロ」が発生しています。私の経験上では、この手の鉄骨階段は裏側の鉄骨に錆が発生する場合が多いです。

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表側

タイル目地からエフロが発生していますし、錆汚れまで発生しています、裏側の鉄骨からの錆でしょか。

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塀の仕上げ

塗装仕上げ

基本的にはブロックを積み上げて直に塗装という事はありません。モルタルなどで下地を作り表面を均一化します。

そこから塗装というながれにまりますが、そのままのべた塗りだとのっぺりした感じになり見栄えがよくありません。ですので吹付やローラー模様塗りなどで模様(テクスチャー)を付けます。材料や施工の種類などは過去記事で書いていますのでそちらを参照お願いします。

塗り壁仕上げ

主にコテなどを使用して仕上げる施工法と材料です。主に左官屋さんが行う分野になりますが、塗装屋でも施工出来る業者もあります。模様(テクスチャー)によってはコテを使用せずに吹付などで仕上げたりもします。私が使用した事のある塗り壁材は、アイカ工業のジョリパット、フッコーのマヂックコート、エスケー化研のベルアートなどです。

その他

その他の仕上げでは「タイル張り」などがあります。

塀の塗装トラブル

塗装での塀の仕上は外壁と同じく色々な仕上げがありますが、近年では「塀の塗装」は行わず、「化粧ブロック」や「塗り壁材」、「タイル張り」などを使用した塀が多いです。

実は、塀の塗装については私の経験上「家の外壁よりもトラブルが多い」です。

これに関しては私の過去記事でも書いていますのでそちら参照でお願いします。 

paintwork.hatenablog.com

コンクリートブロックの塗装や塗り壁までの簡単な順序としては、

・ブロックを積む

モルタルなどで下地を作る(ここまではブロック屋さんか左官屋さん担当)

・出来た下地の上に塗装or塗り壁(ここからは左官屋さんか塗装屋担当)

・完成

という流れになります。

近年流行の「塗り壁仕上げ」ですが、材料やデザイン性からくる、「割と汚れやすい」物が多いです。そのため、汚れがひどくなった場合はその上から塗装する場合が多いです。

塗装or塗り壁仕上げした塀

塗装仕げでも塗り壁仕上げでも、経年劣化や汚れは必ずおこります。そこで、綺麗にするためには塗装を行う事になるのですが(塗り壁の場合は再度塗り壁という選択肢もありますが、塗装する事で綺麗に出来るのでコストの面で塗装を選択する場合が多いです)、塀の塗装は家の外壁よりもトラブルが起こりやすくデリケートです。

既に行っている仕上げに合わせて材料を選択したり、知識と技術のある業者が施工を行わないと直ぐにトラブルが起きてしまいます。

今回の塀

今回塗装する塀は、リシンで塗装されています。(リシンについては 過去記事参照)

paintwork.hatenablog.com

で、笠木と巾木を塗装しています。(笠木と巾木についても過去記事参照) paintwork.hatenablog.com

今回塗装する塀の現状は、広い面はリシンで塗装されていて、笠木と巾木は水性艶あり塗料で塗装されています。道路側、家側と内外両面塗装されています。

今回の仕様

リシン面

リシン面には「超低汚染型ナノ塗料(水性)」という親水性の汚れが付きにくく、汚れが付着してしまっても雨などで汚れが流れて落ちる(セルフクリーニング)塗料を上塗りに塗ります。

笠木と巾木

笠木と巾木については、私的には塗装したくない部位なのですが、すでに塗装されている(水性塗料で塗られています)ので塗らないわけにはいきません。現状ではトラブルによる塗料の浮きや剥がれなどが無いので、水性のUVカット効果のあるシリコン塗料を塗ります。(水性塗料の上には溶剤塗料が塗れないため)

高圧洗浄

リシン塗装の場合は骨材が入っていますので、骨材に汚れやコケ・藻などが付着しやすいです。特に交通量の多い道路に面している場合は汚れ、植木などが側に多くあるとコケや藻などが多く付着しやすいです。

今回は汚れが割と落ちてくれていますが、高圧洗浄を行っても落ちにくい汚れもあります。

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アク汚れ(エフロ)ではないですが、縦・横と「ブロックの形」がハッキリとわかる汚れがついています。原因は長くなってしまうので割愛しますが、ブロックの継ぎ目はヘアークラックなども入りやすいです。

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シーラー塗り

今回は、リシン面には「超低汚染型ナノ塗料(水性)」という親水性の汚れが付きにくく、汚れが付着してしまっても雨などで汚れが流れて落ちる(セルフクリーニング)塗料を上塗りに塗るので「専用のシーラー」を下塗りとして塗ります。

画像はシーラー塗り完了です。

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完成

今回は中塗り中や、笠木や巾木塗りなどの途中作業の画像はありません、撮り忘れていました。「仕様」の項で説明した材料を使用して仕上げました。

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最後に

画像では途切れていますが、このお宅の塀は結構な長さがあります。

この様な塀の場合は最初に劣化するのは「笠木の天場」です。直射日光をもろに受けますし、雨が降れば水滴が残り乾燥までに時間がかかります。ですのでUVカット型シリコン塗料を塗ったのですが、私的には巾木も含めて「塗りたくない」部位の一つです。ですが、すでに塗装してあるのでリシン面だけを塗装しても見栄え的に悪いので難しい所です。見た目的な事なのかわかりませんが、最初に塗装した業者の意図がわかりませんね。

今回はこの辺で。

 

 追記:

ブックマークのコメントで、mi-yan (id:mi--yan)さんから、

この様なご質問を頂きました。

高圧洗浄の威力は、自分も驚かされます。デメリットってあるんでしょうか? 

長くなってしまいますので手短にお答えさせて頂きますと、デメリットはあります。そのデメリットとは「下地を傷めてしまう」事です。

自動車などの洗車やタイルなどの洗浄など、水圧に負けない硬度があれば大丈夫ですが、汚れたり古くなっている土間や塀など(外壁の塗膜も含みます、タイル張りの場合は目地)のモルタルやコンクリートままの部位に高圧洗浄を行うと 、汚れも落ちますが、モルタルやコンクリートも削れてしまい傷めてしまいます。また、外壁などの塗装部も古くなっていれば塗装が剥がれてしまいます。

したがって、塗装などを行う場合の下準備として行う高圧洗浄はいいのですが、単に土間などのモルタルやコンクリート部や、古くなった外壁(塗装部)を綺麗にするための洗浄には注意が必要です。水圧を弱くすれば傷めてしまう事は殆どありませんが、それに比例して汚れは落ちません。

私の場合は、家の塗り替え時に高圧洗浄を行いますが、ついでにサービスで駐車スペースの「土間」や家の「犬走」、塀なども含めて洗います。その時は大変綺麗になりますが、下地を傷めてしまうために以前の状態よりも汚れやすくなります。ですので、下地を傷めないように水圧を調整する事も必要で「汚れが落ちて綺麗になる」事よりも下地を傷めない事が重要です。この辺は作業する者の考え方にもよります。

特に「コロニアル屋根」などの洗浄ではコケ・藻などが発生している場合がありますが、これらを除去するために高圧洗浄しますと、高確率でコロニアル屋根材の表面が剥がれて、「基材」が露出します。

ですので、綺麗になるからといって、部位によっては何回も高圧洗浄のやりすぎには注意が必要になります。

追記:終わり