paint work’s 塗装工事に関する blog

建築塗装をはじめとした 色々な塗装工事についてのブログです

work101 和室の塗装 聚楽壁の上に塗装

初めに

主に和室の壁には塗り壁材と言って、漆喰(しっくい)や聚楽(じゅらく)、砂壁(すなかべ)などが塗られている事が多いのですが、塗り壁材は古くなると砂材がポロポロと落ちたり、漆喰などは剥げたりする場合が多いです。

今回は古くなった和室の聚楽壁(じゅらくかべ)の上に塗装を行う過程を書きたいと思います。

塗装を行う理由

本来、塗り壁の場合は一度塗り壁を落としてから、再度塗り壁を塗るのが望ましいです(もしくは再度塗り直し)。

ですが、諸事情によりコストを出来るだけ抑えて綺麗にしたいという場合もありますので、コストを抑えたい場合には塗装を行うという選択肢もあります。

塗り壁も塗装も、メリット・デメリットがありますので、よく検討して納得してから行うのが良いと思います。

DIYなどで手軽にコストを抑えたい場合なども、例外はありますが塗装の方が向いていると思います。

今回塗装する和室

一般的には「座敷(ざしき)」と呼ばれる和室になります。

正式には違いますが、私の場合は簡単に和室を呼称するために、床の間などがある和室を座敷と呼び、それに続いた和室を居間(いのま)、その他はだたの和室と呼んでいます。

今回塗装を行う家は、数年間空き家になっていました。ですのでホコリなどの汚れなどがかなりあります。貸家にする為に全体的に綺麗にする事にになったのですが、出来るだけコストを抑えたいという事で壁の仕上げは塗装を行う事になりました。

その他の和室(漆喰壁)なども塗装で仕上げる事になっています。

和室の特徴

近代的な和室などは違いますが、昔からある普通の和室は「真壁(しんかべ)」仕様と言って、構造材の柱などが見えている造りが多いです。

私の経験では年数が経過すると柱などの木部と塗り壁の境に隙間が出来てしまう事が多いように思います。

反対に構造材の柱などが見えていない状態を「大壁」仕様と言います。

施工の流れ

では、実際に和室の壁(聚楽壁)の上に塗装を行う流れを紹介します。

塗装前

聚楽壁が全体的に汚れていたり、砂がボロボロと落ちたりしています。

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洗剤で掃除

先ずは、養生(マスキング)を行う前に木部を洗剤で掃除します。

洗剤が床(畳)に落ちても大丈夫なようにまずは畳面をブルーシートで養生を行ってから(畳は張り替えるので問題ないのですが、次の工程で塗装があるため。)、中性洗剤を薄めた容器に入れ、刷毛などを使用して塗りつけた後、雑巾などで拭き上げます。先ずはよく絞った濡れ雑巾で拭いてから乾拭きします。

こうする事で柱などの汚れも少しは綺麗になるのと、マスキングテープなどの付きをよくする為です。少し手間が掛かってしまうので普通は行わない場合が多いと思いますが、塗装した後に柱の掃除は出来ない(壁が汚れてしまう)ので私の場合は行っています。

洗剤で軽く掃除しただけでは満足できない場合は、「漂白」と言う作業もあります。

漂白については過去記事で書いています。 

paintwork.hatenablog.com

薄めた中性洗剤と、刷毛・雑巾です。

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刷毛で洗剤を塗りつけて雑巾で拭き上げます。刷毛で塗りつけた方が狭い所なども行いやすいですし、木の目に入り込んだ汚れなども掃除しやすいです。

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絞った濡れ雑巾で拭いたところです。この後、乾拭きします。

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養生

洗剤での掃除が終わった後は、養生(マスキング)を行います。

塗料で汚れてはいけない場所や床などを隠します。

木部にはガムテ―プなどを直接貼るとテープを剥がす時に木が剥げてしまう事があるので紙テープを使用します。

床面(畳)は今回はブルーシートを使用しました。ブルーシートだけでは塗料が染みてしまう場合があるので、塗料が落ちる部分にはブルーシートの上にも養生を行っています。(畳は後日、張替えとなります)

隙間埋め

和室の場合は月日が経つと、壁と木部の境に隙間が出来ている場合が多いです。そのまま塗ると隙間が目立ってしまうのでコーキングを行い隙間を埋めます。

隙間が細い場合は水性のコーク、隙間が広い場合は変性シリコンなどのコーキングを行います。

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シーラー塗り

聚楽などの砂壁系の壁はポロポロと砂が落ちてくるので、そのままでは塗装しても直ぐに塗装が剥げてきます。そこで箒などで砂材がある程度落ちなくなるまで壁面を掃いて下準備を行います。

それから、しっかりと壁面を固めるためにシーラーと言う下塗り材を塗りますが、今回はシーラーを1回塗った後、しっかり乾燥させてから2回目を塗りました。

シーラーなどの下塗り材については過去記事で書いています。paintwork.hatenablog.com 

画像ではわかりづらいですが、透明の水性シーラーを2回塗っています。

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上塗り1回目

聚楽や砂壁の上に塗料を塗る時は、ベージュ(アイボリー)系や、グリーン(若草色)系が多いのですが、今回は若草色系を塗っています。

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上塗り2回目を塗って完成

2回目の上塗りを塗って完成です。

塗装前

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塗装後

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塗装前

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塗装後

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塗装前

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塗装後

仏壇飾りの壁漆喰や物入の壁漆喰にも塗装を行いました。

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最後に

聚楽や砂壁などの上に塗装を行うと「変な感じ」になると思われる方もおられるかと思います。特に多色仕上げの聚楽では塗装を行うと単色になってしまいますので。

ですが、元の砂壁や聚楽の凹凸は残りますので単色仕上の聚楽や砂壁と思えばそんなに違和感はないと思います。(これも一長一短に含まれる事ですが。)

塗装でも多色仕上げや、聚楽吹付などの工法がありまして見た目ももっとよく出来るのですが、「低コスト」という面で考えれば選択肢から外れてしまいます。

この様な場合は、塗装屋の私が言うのはいけない事なのかもしれませんが、塗装にお金をかけるくらいなら本物を塗った方がいいかもしれませんね。あくまで本物よりも低コストである必要がある事が求められてしまいますから。

砂壁の上に塗装も行っています paintwork.hatenablog.com

 

今回はこの辺で。