work112 神社の塗装
はじめに
今回は1年半くらい前に行った、神社の倉庫増築の塗装工事についての記事になります。
私は普段は一人とか二人(応援の人)で仕事を行っていますので、本殿などの大物などは人材確保や工期などの問題があるのであまり仕事をお受けする事はないのですが、小規模の倉庫という事で仕事を行うことになりました。
大工さんから「棟上げ終わってるので現場除いてみてね」という事で現調に。
神社仏閣の塗装など
神社やお寺などに限らず日本の伝統ある建築物などの塗装には大まかに分けて2種類あります。
1つ目は古くからある材料(当時の材料)を使用して技術や施工法などを継承・保存していく方法と、2つ目は現代の優れた材料を使用し技術を最大限にいかして保護していく方法です。
私はただのペンキ屋なのでどちらでもないです。
丹塗り
神社の色といえば まずは「赤色(朱色)」が思い浮かびますが、これは「丹塗り(にぬり)」と言って鉛丹(えんたん)という顔料を使用しているためですが、鉛丹に硫化水銀(朱色の顔料)を加えて色(顔料)を作り膠(にかわ)と混ぜて丹塗り塗料をつくるそうです。
簡単に言えば、鉛丹・硫化水銀は顔料(絵の具)、膠(にかわ)が接着剤入りの希釈剤(水)って事ですね。
鉛丹は大量の鉛を含み、硫化水銀は毒性があるので防腐作用が優れ木を長持ちさせる効果があるとの事です。(どちらの顔料も現代ではいいとは思えないですが・・)
鉛丹(えんたん)
硫化水銀(りゅうかすいぎん)
膠(にかわ)
鉛丹と言えば私の場合は鉛入りの錆止め塗料が思い浮かびます。昔の公共工事などで使用されていましたが今では使用されてないと思います。
独特のオレンジ色みたいな朱赤で塗料の隠蔽性が悪く、全然乾燥しない。夏場でも2~3日は乾燥しないし冬場では1週間くらい乾燥しませんでしたね。昔は速乾性ではなかったので上塗りのペンキなども乾きが遅かったです。
鉛丹だけではないですが、鉛入り塗料はなくなる方向です。
出典元:一般社団法人日本塗料工業会www.toryo.or.jp
猫休み
補足説明
少し補足の説明を致しますと今回の軒裏は「塗装済みのアルミ板」になっています。普段は「化粧ベニヤ」か「ボード」にペンキを塗るのですが耐久性などからアルミ板で施工となっています。画像では青っぽく見えますが養生シートが張られた状態です。私が垂木を塗装した後に養生シートを剥がす事になっています。
その他のお社では垂木の鼻は白に塗装されていますが今回は銅板製の鼻隠しをかぶせますので鼻は白く塗りません。
外壁に関しては予算や作業性、工期なども考慮して「サイディングボード外壁」となっています。ですので漆喰壁ではなく、私が塗装して漆喰風にする事になっています。
塗装の流れ
木部の塗装
一工程づつの画像はありませんが外壁が出来た後、木部の気になる所をパテなどで補修し(パテ2回~3回)エポキシ系の木部用下塗りを3回塗っています。画像ではその後に上塗り1回目を塗っています。
大工さんがピカピカ艶があるのは好みではないとの事で、薄っすらと艶のある「3分艶あり」の上塗り塗料で仕上げます。この赤の上塗りも3回塗ります。
外壁と木部に少しの隙間がある場合(印を付けている所など)は全て埋めます。
ちなみにこの画像の時点で屋根の銅板も大棟を残してほぼ終了しています。
壁塗り
木部の赤が終了したので外壁塗りを行います。下塗りの専用シーラーを塗り、超低汚染ナノ塗料を塗って仕上げます。
施工的には漆喰調に(なるべく表面をフラットにするため)見せるために通常のローラーではなく、短毛のローラーで塗る事と短毛で塗るので膜厚確保のために5回塗ります。
残りの作業
画像はありませんが、建具の塗装や格子の塗装がありました。
腰壁を左官さんが洗い出し風の塗壁で仕上げます。
色んな角度から撮影した画像も何処かに行ってしまってわからなくなってしまってます。
ですので画像はここまでですが今から一年半程前にきちんと完了いたしました。
最後に
伝統に拘る材料や技法や、現代のやり方など色々とやり方はありますが、私はただのペンキ屋なのでなんにもわかりませんのでどちらでもいいです。
今回はこの辺で。