paint work’s 塗装工事に関する blog

建築塗装をはじめとした 色々な塗装工事についてのブログです

work 70 ワックス 艶だし剤 コーティング剤 私の車は自然コーティング その②

前置き

前記事で車の汚れについて書きました。 

paintwork.hatenablog.com

今回は、自動車のワックスや艶だし剤、コーティングなどを書いていきたいと思います。と、その前に ちょっと自動車の塗装について、一般の方が勘違いしていることについて、簡単に書いておきます。

黒という色 

おそらくこれが自動車の塗装について勘違いが一番多いのではないかと思いますが、ソリッドブラック以外の黒色は黒に見えますが、塗装的観点からみますと、「黒ではありません。」 では何かといいますと、「トップコートクリヤー」といいます。つまり、塗装の表面は「黒ではなく透明」ということです。

知り合いなどに所有している自動車の色を聞くと、「黒」と答える方の車を実際に見せていただくと、ほとんどが、「黒」ではない場合が多いです。

パールホワイト色の場合、殆どの人がパールホワイトと答えると思いますが、「白」とは答えないと思います。つまりそういう事です。

近年ではソリッドカラー(単色)の黒色は少なく、パール、マイカシリカ、などの「光輝性顔料」が含まれた黒色が多く、黒ではなくても、濃色などでもその傾向が強く、ソリッドカラー(単色)での黒や、濃色は少ないです。

リッドカラー

車の塗装の種類として、ソリッドカラー(単色)というのがあります。ソリッドカラーとは「単色」の事で、白色や黄色、赤色や黒色など、色の単体で仕上げになる塗装色の事です。 

光輝性顔料塗料

メタリックや、パール、マイカシリカ、などの、クリヤーによる上塗りが必要な塗料です。単体では、ざらつき感があったり、耐久性がいちじるしく悪かったり、クリヤーによる上塗りを前提とした塗装色です。

つまり塗装表面の塗装色は「透明」です。濃い色というのは洗車などのキズがわかりやすい色ですので、光輝性顔料などを混合する事により、クリヤー層についた洗車キズを乱反射で散らして目立たなくしています。

例外的なカラー 

本来、ソリッドカラー は単色で仕上げるための塗料ですので、クリヤーによる上塗りは必要ありません。ですが、近年では「耐久性や色的な演出」の為に、ソリッドカラー(単色)の上から、トップコートクリヤーを塗っている車もあります。

トヨタ202」という色はソリッドカラーの黒ですが、車種によって、「耐擦傷性クリアー」や「セルフリストアリングクリヤー」などのクリヤー色が上塗りとして塗られています。

簡単に言えば、「キズが入りやすい黒色(キズが目立つではありません)」なので、クリヤーで保護しているわけですが、ソリッドカラー(単色)という意味では間違いではないのですが、本来のソリッドカラー(単色)ではありません。興味のある方は、「トヨタ202」で検索してみると色々と出てくると思います。 

性能面での違いは「耐擦傷性クリアー」は洗車傷などが付きにくいことに対して、「セルフリストアリングクリヤー」は一旦付いた軽微な洗車キズなどが、復元することで傷が目立たなくなる塗料です。

クリヤー塗料の分け方として、「硬い、柔らかい」などの塗料の硬さがありますが、「耐擦傷性クリアー」は一般のクリヤー塗料よりも硬く、「セルフリストアリングクリヤー」は弾力性があるというくらいの認識で大丈夫です。 

塗料の硬さ

私が自動車の塗装をやっていた見習いの頃の数十年前は、車の磨き作業について「黒を磨けるようになれば一人前」などと言われました。当時はソリッド黒であっても一部の車種を除き、クリヤーなどは塗装していませんでした。

塗料には色によって硬さが違うのはご存知でしょうか?ソリッドカラー(単色)の塗膜は、色によって微妙に硬さが違います。これは、色の元になる顔料成分の種類によって、硬さが違うからです。

「赤」や「黄」などの原色に近い色の顔料や、「紺」や「黒」などの濃い色の顔料は柔らかいそうです。反対に「白」の顔料は硬いそうです。

したがって、

・ 塗膜が柔らかくてキズが入りやすい。

・ 紫外線に弱い(色あせしやすい)

・ 磨き作業の際の摩擦熱に弱い

などの問題点があります。

塗膜が柔らかい色の場合は、洗車キズ・磨きキズなどが極端に目立ちやすくなることになりますし、熱(磨き作業の際の摩擦熱)に弱いので下手な磨き方をすると曇ってしまいます。

クリヤーには顔料が含まれていないので、塗料の硬さもそれなりに変えられることになります。トップコートクリヤーは、柔らかい単色顔料塗料よりも耐摩耗性や耐摩擦熱にも優れていますので、こういった洗車キズなどを軽減する効果もあるのです。

ですので、 「トヨタ202」のようなソリッドカラーの上に、トップコートクリヤーを塗っているような塗装では、磨き作業に関しては、ただのソリッドカラー黒とくらべると簡単で、実際は黒を磨いている訳ではなく、クリヤーを磨いているのですね。  

洗車キズや磨きキズ 

車のキズで気になると言えば、洗車キズや磨きキズだと思います。よく、黒い車だから「キズがすごく入る」と言っている方をみますが、上で書いたように最近は「黒でもクリヤーを塗っている」ので、本来のソリッドカラーの黒の様にキズは入りません。

上からクリヤーを塗っている塗装の場合は、どの色でも「キズの入り方は同じ」です。黒の場合は、「キズが目立つ」状態なだけです。

仮に、新車の状態(塗装直後)がキズが入っていないとすると、(そうでない場合もありますが)洗車をすればするほど、色々な要因でキズが入っていきます。

自分では直せないくらいにキズが増えれば磨き屋さんなりに施工にだして、磨いてキズを取ってもらうかもしれません。

磨き屋さんは、今あるキズ(洗車キズや回転キズなど)を取る事はできますが、キズを消してしまう事はできません。なぜなら洗車キズや回転キズを取るのに、研磨するからです。別記事で書いていますが、 

paintwork.hatenablog.com

 肉眼で確認できないくらいまで「キズを細かく」出来れば上手い人ですが、その上手い人が磨いてもキズが消えて無くなるわけではありません。磨き作業終了してそのまま放置すれば、見えなくなったキズが汚れを溜める原因になるので、「何か」を行うのです。

キズが消えて新車の塗装の状態に戻るのならば、しばらくの間は何もしなくていいじゃないですか。車を磨くという事はそういう事なので、例え光沢が出るとしても私は磨くのは嫌いです。 

ですので、私は磨き作業を行った場合は、 ワックスか艶だし剤で十分だと思っています。(私の場合はそれすらもしませんが。)ですので高額なコーティングなどは必要ないと思っています。 

下処理のその後に

洗車や汚れ落とし、磨きなどをした後に、「何かやっておこう。」について以下に書いていこうと思います。

「何か」を行うためには、下地がとても大事です。下地が上手く出来ないと、以下に書くことは無意味だけではなく、汚れなどに「何か」を被せていく事にもなります。

コーティングについて

数十年前はポリマー系のコーティングしかありませんでしたが、今は「ガラス系コーティング」が流行りみたいです。

塗装の厚みは μ(ミクロン)で表します。1ミクロンは1000分の1ミリ。一般的に車の塗装の厚みは120ミクロンから150ミクロンとされています。 (+-の場合もあります。)

 150ミクロンで0.15ミリです。

一方、コーティングの厚みは 、あっても1ミクロン無いくらいです、拭き取り作業をしますから。0.001ミリですね。

この 1ミクロン無い被膜で洗車キズから塗装を守れるとは思えませんが、汚れが付きにくいや撥水性などの事なら、ワックスや艶出し剤などで十分です。

ガラス系なので当然「無機」なのでしょうから、「紫外線」には強いと思います。つまり、上にあげたような紫外線に弱い塗装色(ソリッドカラー)などにはいいかもしれませんが、昔の塗装ならいざしらず、現在の塗装は紫外線に弱いという事もないです。まして、ソリッドカラーの色にさえクリヤー上塗りしているのですから。 

業者に頼むと、それなりに綺麗になって帰ってきますが、そもそも、おいくら万円の費用をかけて、「定期的な洗車」や「定期メンテナンス」をしてください。って、まったく意味がわかりません、それってコーティングの費用じゃなくて、下処理で磨くための人件費でしょ。

ワックス 

やり方を理解して作業すればとっても綺麗になるアイテムです。洗車して、汚れも綺麗に落とさずに塗れば汚れを閉じ込めてしまいます。

ワックスを塗る時にはスポンジなどを使用すると思いますが、

① 円を描くように塗っているのをイメージしていませんか?。

② また洗車の後、綺麗に水を拭き取ってから塗っていませんか?  

これって、例外を除いて「大間違い」です。 

理由はといいますと、

①は、

円を描くようにワックスを塗ると、スポンジが回転キズを作ってしまいます。正しいやり方は、どの場合も(洗車でもコーティングでも磨きでもなんでも。) 「車の進行方向に塗りつける 」です。

「木目柄の板」 で説明しますと、横向きの木目柄に縦にキズを付けると目立ちますが、同じ横向きにキズを付けると縦につけるよりは目立ちにくくなります。つまり、車の進行方向にそって、水の拭き取りやワックスの塗りつけをすれば、洗車キズがついても目の錯覚で、目立ちにくくなるという事です。

室内の天井などを塗装する時もこれと同じで、ドア(部屋の入口)から見て、奥に(縦に)塗っていきます。基本的には横には塗りません。(例外もあります)横に塗ると、つなぎ目や塗り筋が見えてしまうからです。

車の塗装でも同じです。進行方向に左右塗っていきます。(ドアを塗るのに空と地面に向かって縦には塗りません。これもまた、一部例外がありますが、基本的にはそうします。)

 

②は、

完全に水を拭き取ると、乾いた塗装面だと、スポンジのキズが付きやすくなります。正しいやり方は、柔らかいウエスマイクロファイバークロスなどで、軽く吸い取るように水気を切ったら、残った水分でスポンジを滑らすように軽くワックスを塗っていきます。

ワックスを塗りながら残った水分をスポンジが吸ってくれるので、水分を吸ったスポンジの水を絞りながらやれば残った水分もほとんどなくなります。

気を付ける点としては、塗ったワックスは、速やかに拭き取る事が大事です。時間を置くと拭き取りにくくなり、強くこする原因にもなりキズが付いてしまいます。 

艶出し剤 

スプレー式などもありとっても手軽で私は好きなタイプです。普通の艶出し剤は汚れ落としも兼ねたものも多くあります。最近ではコーティングも兼ねた艶出し剤が人気のようです。今では 艶出し剤=コーティング剤ととらえてもいいかもしれません。今の流行りだと、スマートミストやゼロドロップなどでしょうか。

その他 

その他では、車用として作られたものではないですが、信越シリコーンKF96-50-CS」 という、シリコーンオイルがあります。「シリコン」とは違い、「シリコーン」だそうです。

これは工業用のシリコーンオイルで、型番により粘度がちがいます。最近、youtubeなどの動画などでそこそこ人気があるそうですが、私が見習いだった34年前にすでにありました。

今はラベルや入れ物のデザインが変わっていますが、当時は、コンパウンドや水アカ落とし、ワックスなどしか、艶出し剤が無かったので、便利な車の艶出し剤としてたまに使用していました。

価格も何百円程度の物で 、私の住んでいる地域では昔から普通に「ホームセンター」でも売っていました。ですが、置いてある場所が「車のコーナー」 ではなく、何の説明も書かれていないので、一般の人では「何に使用するのか全く分からない商品」だったと思います。

今回は、これを使用して「信越シリコーンKF96-50-CS」とはどのような物なのか紹介したいと思います。

前回の記事中のイオンデポジットの記事に使用した、画像の白い車に使用してみます。 

これは仲のいい同業者の作業車です。白い車なのと艶もなく汚れも酷いので画像ではわかりづらいと思いますが、この部分に「信越シリコーンKF96-50-CS」を使用してみます。

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まずは、コンパウンドで汚れや小傷などを落とします。もちろん手でゴシゴシするだけです。使用するウエスは肌着などの柔らかいものを使用します。マイクロファイバーや鏡面クロスなどは必要ありません。使用するコンパウンドは3mのハード1です。手磨きなどにはちょうどいいコンパウンドです。

よく、DIYなどでコンパウンドを使用している動画を見かけますが、コンパウンドは塗りつけて拭き取るものではありません。

塗装後の磨きや、洗車キズやバフ目を消すために使用するものですので、手磨きでも機械磨きでもそうですが、液剤がなくなる感じで磨かないといけません。極端に言えばですが、蒸発するくらいまで力をかけないと効果がでません。(番手にもよりますが。塗装や素材の種類によっては違う場合もあります)

ですので、知識や技術がない場合は、効果を発揮できないか、余計にキズを入れてしまう事になります。バフ磨きなどはこの後にハード2で磨いた後に仕上用コンパウンドを使用して仕上げます。

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手でゴシゴシ磨きました。写真ではわかりづらいですが、磨いた所は艶が出ています。

基本的に仕上がりを重視する場合は、艶出し剤やワックス、コーティング剤などを行う前工程として、何も塗る必要がないくらいに仕上げなければいけません。艶出し剤やワックス、コーティング剤などは補助的に使用するものです。

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今回使用する 「信越シリコーンKF96-50-CS」です。巷では「汚れを浮き上がらせる効果がある」とか、「濃色」に塗ったらムラになるとか、「すぐに流れ落ちてしまう」などの意見があるみたいで面白いですね。

あくまでも「艶出しや撥水」などを目的として使う物なので、使い方としては、ウエスに適量染み込ませてから軽く塗っていき、必ず乾いた柔らかいウエスで全て拭き取るつもりで拭き上げます。

艶出しや撥水が目的なので、洗車後に汚れてはいないけど艶が落ちてきているなどの場合には、下処理が必要無いというだけです。最初の「何か」を行う前には必ず下処理が重要で必要なのです。(もちろん下処理の程度も塗装の状態によってかわります)

ちなみにこの「信越シリコーンKF96-50-CS」は、アーマーオールなどの艶出し剤みたいに、車のパーツでよく使われている、黒樹脂パーツやタイヤの艶出しなどにも使用できます。

ですが、窓ガラスやワイパーなどには塗らない方がいいです。室内にもダッシュボード類などにも塗れますが滑る為、塗らない方がいいです。

画像では1Kgの容量ですが、車に使用する場合のコスパは高いと思います。1Kgだと車だけの使用ならいつ無くなるかわからないくらいの量です。

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 濃色車ではなく白色の車なのと、下地を磨いているので、信越シリコーンKF96-50-CS」を塗っても画像ではあまり違いはわかりません。ですので、艶出しした部分に水をかけた動画を取りました。動画などの撮影は素人なので観づらいかもしれませんが、磨いてない所の違いは判ると思います。磨いていない所は完全な親水性です。

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最後に 

車が綺麗なのは気持ちも綺麗になりますよね。雨が降っている時に綺麗な水玉が流れていくのを見るのも楽しいです。ですが、ワックスや艶だし剤、コーティング剤などは、

あくまでも塗装に対しての補助剤です。 過度な期待や、知識や技術のない施工は残念な結果になってしまいます。

最後に友人から、「どうせやるならボンネット1枚やろ?なんでこんな中途半端?」と言われましたが、「私、洗車も磨きもしないのでw。(女医ドラマ風)」 

今回はこの辺で。

続きはこちら

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