paint work’s 塗装工事に関する blog

建築塗装をはじめとした 色々な塗装工事についてのブログです

work116 手動式の NEWシュッシュッガン で吹付けタイルのタッチアップを試してみた

はじめに

今回は株式会社佐藤産業が販売している、「NEWシュッシュッガン」と言う吹付けタイルや吹付けリシンの補修が出来るという手動式の塗材吹き付け用具を試してみようと思います。

私は佐藤産業のネット販売サイトから22,000円で購入しました。

この値段が高いか安いかは人それぞれですので値段に関しての意見はありません。

一通りの紹介や、簡単な説明などを交えながら実際に現場で使用した使用感や感想などを最後にまとめたいと思います。

私が吹付けについて思っている事

ここで言う、吹付けとは建築物などの壁や屋根などの吹付けの事なのですが、私は過去には沢山の吹付けを現場で行ってきましたが、ここ10数年はほとんど吹付けを行っていません、補修程度ならしょうがなくやることはあります。簡単に言うと時代の流れと周囲への配慮ですかね。正直な所、やりたくはないです。

吹付け用ガン

吹き付け用のガンは吹付けを行う為に必要な道具でカップや本体に塗料を入れて、コンプレッサーで空気を送り塗料を吹き付けて仕上げる工法に使うものです。

一般的には塗装用のガンといいますと、自動車の塗装で見かけるような「カップガン」は動画などでも見たことがあるかもしれませんが、建築用の吹付けガンは色々な種類があります。

私が今までに実際に使用したことのあるガンは「リシンガン」「タイルガン」「万能ガン」「グラニットガン」「聚楽ガン」「ゾラコートガン」「圧送ガン」「マルチポンプ」「静電ガン」「エアブラシ」くらいですが、変わり種として塗料の吹き出し口が2つ有る「双頭ガン」なども使用した事があります。他にも種類があるかもしれません。コンプレッサーを使用しない、電動タイプの「エアレス」という機器もあります。もちろん、「カップガン」も使用しますよ。

画像は明治機械製作所のタイルガンです。公式ページからお借りしました。

いろいろな種類のガンがありますが、リシンガンやタイルガンはおそらくmeiji製が一番多く使われてるかもしれません。私もmeijiのガンは大好きですし愛用していました。

と、いっても最近の私は吹付けは出来るだけ行いません。

明治機械製作所 タイルガン

(画像引用元 株式会社 明治機械製作所)

佐藤産業とNEWシュッシュッガン

佐藤産業

佐藤産業は大阪に本社がある、塗装用具・塗装機器・建築副資材を販売している会社です。

ネット販売ページで商品を注文し到着してまず驚いたのは、サービスが凄かったです。皆さんが注文して同じことが起きるかどうかは分かりませんが、私の場合は沢山の高粘度刷毛やウールローラーの毛などが入っていて一瞬「えっ!すごっ」ってなりました。

とても良心的な会社だと素直に思いました。

ちなみに私は佐藤産業で品物を購入したのは初めてですが、私の先輩は以前から色々な塗装用具を購入していたので佐藤産業という社名は知っていました。

サービス品(だと思う)

NEWシュッシュッガン

NEWシュッシュッガンは、株式会社佐藤産業が販売している吹付けタイルや吹付けリシンの補修に便利な手動式の塗材吹き付け用具だそうです。

シュッシュッガンの説明の前に少し話しますが、この商品と似たような手動式の補修ガンは以前からあります。が、ちょっと面倒だったり使える塗料の制約などがあって「アイデアはすごくいいんだけど・・」って感じでした。ですのでこの商品にも正直な所はあまり期待はしていなく、その商品よりもいくらかマシだったらいいなぁ。くらいの感じで購入しました。

セット内容としては、[本体]「ペットボトル(小)1」「エアーコック」でした。セットされている吹き出しノズルは「リシンガン用の口径5ミリ」です。

底をカットしたペットボトルを本体に装着し塗料を入れて、レバーをシュコシュコすれば塗料が吹付けされる仕組みみたいです。

(株式会社佐藤産業のシュッシュッ!!ガン 商品説明動画)

www.youtube.com

 

NEWシュッシュッガンセット+タイルガンチップと500mmペットボトル

ペットボトル装着口

ペットボトル装着時

ノズル(チップ)

付属のノズル(チップ)はリシンガン用の口径5ミリの物が付いていました。

説明によると、市販のノズルを付け替える事が出来るとの事でしたので、今回はボンタイルを吹き付けしたいので本来はタイルガン用のノズルを取り付けたいのですが、私の所持している「明治のタイルガン用ノズル(チップ)」は取り付け出来ませんでした。どのノズルが合うのかは分かりませんが、明治のノズル(チップ)が合うようにしてほしかったと思います。

明治タイルガン用 6.5ミリ口径チップ(ノズル)

(左)付属のリシンガン用ノズル・(右)明治のタイルガン用ノズル6.5ミリ

エアーコック

付属品で「エアーコック」がありました。コレを画像の様に取り付ける事で、コンプレッサーと繋ぐ事ができるそうです。

私的には、どうせコンプレッサーに繋ぐなら普通にタイルガンをつなげてやったほうがいいのではと思いますが、ガンを持ってくるのを忘れた場合などに使えると言う事でしょうか。

エアーコックを付けた場合

塀の塗装

今回シュッシュッガンを使用して吹付けタイルの補修をする部位ですが、塀になります。

駐車場を広くするために塀の一部を壊して左官さんがモルタルで補修してあります。ですので塀全体の塗装工事となりました。画像には補修箇所である門柱は写ってないです。

ボンタイル

画像の塀の塗装(模様)は「ボンタイル」の「ヘッドカット模様」と言いまして、「玉吹き」という吹付けで玉模様を付けてからローラーでその玉を押さえて模様を作ります。

玉模様をローラーで押さえない「ボンタイル吹きっぱなし」模様と、ローラーで押さえる「ヘッドカット」模様の2種類がありますが、玉の大きさなども変える事ができます。昔は大きめの模様が多かったように思いますが、現在は小粒柄が多いように思います。

 

補修部

今回、吹付け補修する部位は「門柱」です。手動式のシュッシュッを試すにはちょうど良い感じの補修の大きさです。

駐車場を広げるために左官さんが既存の塀を撤去して残った門柱を補修しています。

補修部

補修部

補修部の注意点

前置きとして、補修塗装した部位は補修跡がわかります。目立つ場合もありますし、目立たない場合もあります。しかし絶対にわからなくなることはありません。これは上手い下手の問題ではなくて、予算も含めていろいろな状況や事柄から来るものが多いです。下地の状況を塗装塗膜で補うことが出来ないのも付け加えておきます。

今回の件で言えば補修部の2面全てをモルタル塗りして綺麗に面を出してもらい、そこからコンプレッサーとガンを使用して吹付けの模様付けを行えば、「モルタル補修跡」はなくなります。ですが、色々と事情がある中で出来るだけの事が行えればいいなといつも思っています。

画像の説明になりますが、モルタルで補修した部位の外側部分が刷毛でならされている部分とならされていない部分があります。ならされていない部分はハッキリとラインが出ている事、ラインの段差が出来ている事などの理由からこのような部位は補修跡が目立ちやすいです。また、この様な場合は縦のラインと横のラインだと横のラインの方が目立ちます。

補修部の簡単な説明

アップ

補修部アップ

ボンタイル タッチアップ

これからシュッシュッガンを使用してタイル模様の補修を行いますが、以後の塗装の密着をよくするために事前に塀全てにシーラーを塗っています。

それからモルタルと既存の塗装の境目に細い隙間(ヘアークラック)がありましたのでコーキングで埋めました。

画像だけではわかりにくいかもと思い、短いですが動画を撮りました。ガンの調整や塗料の粘度などを変える事で実際のガン吹きのように調整できそうな感じですが初めての使用でどれくらいの仕上がりが出来るのかも楽しみでした。

材料が少し柔らかかったようで、吹付けする際に下に垂れ落ちたような材料は拭い取りました。

youtu.be

ヘッドカット

ヘッドカットとは吹付けで丸い玉(模様)を吹き付けた後に、乾燥を少しさせた状態で下の画像の様なプラスチック製や塩ビ製などの毛の付いていないローラーを使用して玉模様を押さえる模様になります。

画像のカットローラーは数十年前の物でデカいし中にシンナーが溜まって使いにくいです。現在は直径の短い物が主流ですが、使えないわけでは無いのでコレでヘッドカットを行います。

ヘッドカットを行う時には、一般的にローラーに塗料が付着してこないように塗料用シンナーをローラーに付けてからローラーを転がし、材料の玉を押さえていきます。塗料用シンナーでなくても台所用洗剤を少し薄めたものなどでも行えます。

注意点としてローラーを転がす際に、下方向に転がすと影が出来るので下方向には転がさない方がいいです。よく動画などで見かけますが、コロコロと上方向から下方向に転がしているのはおすすめ出来ないです。

分かりづらいですが図を書いてみました。

上方向から下方向に転がされたローラーだと、タイルの粒は図の様に初めはなだらかに潰れて終わる時に図のような形になってしまい影が出来ます。これは、タイルの粒が半乾き(少し固まって)になってからカット作業を行うためにできやすくなる現象です。この形でも上方向に影が出来る形だと見えにくいですが、下方向に影が出来ると目立ってしまいます。これは少ない面積だとあまり目立ちませんが、ビルなどの広い面積や住宅の総二階面などで目線より上(見上げる形)だとモロにムラに見えます。

そういう意味では足元などの見下ろす箇所では上から下にローラーを転がすのも無くはないかなとは思います。

ヘッドカットで影になるしくみ

これは実際にやってみないと「影が出来る」と言われてもわからない部分かもしれません。

カットローラー

動画を撮りました。

youtu.be

タッチアップ・ヘッドカット完了

NEWシュッシュッガンを使用してボンタイルの補修吹きを行い、ヘッドカットを行いました。

ヘッドカット完了

ウールローラー塗り

塗装作業の中にモルタルやカチオンの補修作業は入っていませんが、タイル吹付け補修後そのまま上塗りに進むよりもいいかなと思い、補修跡を少しでも目立たなくするためにアクリルタイル(玉吹きした材料の種別)のローラー用塗料で一度下塗りしました。

下塗りを行っても補修跡はわかりますが、塗装塗膜で下地の状況を隠すことはできないので仕方の無いことでもあります。

ウールローラーで下塗り

シーラー・吹付けタイル補修・ヘッドカット・下塗り完了

上塗り1回目施工中

上塗りは水谷ペイントのナノコンポジットwと言う塗料で行います。私はこの塗料も好きですが水谷ペイントという会社も好きです。

上塗り 水谷ペイント株式会社 ナノコンポジットw 1回目塗り

上塗り2回目~完了

壁面・笠木面をそれぞれ上塗り塗料を2回塗りして完了となります。

壁面と笠木面は水性タイプの塗料(色はカタログから常備色を選んで頂いています)なのでスチール製の郵便ポストを塗るのはあまりおすすめ出来ないので、紙やすりでサンディング(足付け)した後にプライマーを塗ってから2液型弱溶剤シリコンを自身で笠木の色に合わせて(調色して)塗っています。ちなみにポストはサービスで塗りました。

上塗り完了 水谷ペイント株式会社 ナノコンポジットw 2回目塗り

最後に

私なりの使用感と感想になりますが、結論から先に書くと便利で良い道具だと思いました。手軽に持ち運べて使用出来るというのはとてもいいです。コンプレッサーやエアホース、ガンなどを一式持ち運ぶ事を考えると圧倒的に楽です。

また、材料を入れる部分が脱着式のペットボトルになっていて入手しやすいペットボトルで材料も入れやすく、終了時にも外して処理するだけなのでとてもいいアイデアだと思いました。

問題は、「ちゃんと模様が飛ばせるのか?」に尽きるとおもいますが、ノズルの調整やチップの交換、材料の粘度調整などで補修程度の作業だと考えると、「使える」と私は判断しました。

明治のチップがつかなかったのは残念です。「市販の・・」って書いてありましたが、どこのメーカーだと付くなどがわかれば良かったかと思います。