work23 外壁の塗装 良くない例その①
外壁塗装の良くない例
今回は 外壁の塗り替えで良くない例を紹介したいと思います。
以前書いた記事で、
旧塗装に再塗装する際の例などを紹介しました。
前置き
今回紹介するのは、ある団地作りの建物の塗装なのですが、私が施工した物ではありません。他人の仕事にケチを付けるような事はしたくないのですが、見本として分かりやすいので紹介することにしました。
この建物は一番最初は「リシン」の外壁だと思います。その後の再塗装で「スタッコ」に塗り替えているようです。そして、今回はその上に「微弾性フィラーなみがた模様」をつけ、それから水性の上塗り(グレードまではわかりませんが)で仕上げています。
最初から(新築時)から数えると3回の塗装をしています。 塗り替えとしては2回目になると思います。
私の記事 work11 外壁の塗装 モルタル壁編その③ では、「スタッコ」の塗り替え時は向いていない塗装として、「微弾性フィラーなみがた模様」を挙げています。
以前の記事では言葉だけの説明でしたので内容がわかりにくい部分もありました。今回は画像と一緒になぜ向いていないのか説明したいと思います。
画像で説明
①
団地作りの建物です。今回で3回目くらいの塗装のはずなので、築年数もそれなりに経過していると思います。30年以上くらいでしょうか。良くない例なので少し加工しました。
②
近くによってみますとこんな模様です。一見して問題は無いように見えます。
③
本来のスタッコ模様です。SK化研カタログより、凸部処理仕上げ。
④
微弾性フィラーなみがた模様です。私が施工したものです。
⑤
④の画像 微弾性フィーラーなみがた模様の上塗りに水性シリコンセラUV(日本ペイント)を2回塗った状態です。私が施工しました。
※③の画像(スタッコ)と、⑤の(微弾性フィーラーなみがた模様上塗り)画像を足した物が②の画像です。模様の違う塗装を合わせているので、本来の模様とも違いますし、模様だけではなく「重大な問題」も引き起こしています。
⑥
表面を少しだけ削ってみました。下地に「白」が見えます。表面を爪で押さえると少し弾力がありますので間違いなく微弾性フィラーです。画像を見るとわかりますが「ひわれ」みたいなものも確認出来ます。この「ひわれ」は塗料が乾燥する際に出来るものです。本来はダメなやつです。
微弾性フィラーもそうですが、弾性塗料は乾燥時に「引っ張り合い」を起こします。水分が抜けて乾燥する際に痩せや縮む現象が起こるのですが、下地(旧塗膜)の 凹凸が激しい為に均等に塗料が付かず、その結果「ひわれ」などがおきやすくなります。下地(旧塗膜)をシーラーなどでキチンと固めていない場合は、その引っ張り力で、旧塗膜ごと「塗料のふくれ」や「剥げ」が起きる事もあります。
⑦
もう1つ重要な問題があります。「ピンホール」です。塗装面全体にあります。
画像を良く見てもらうとわかるのですが、凸部処理部の平たい面の縁を沿うように「ピンホール」が出来ています。平たい面には「ひわれ」が出来ています。
凸部処理の平たい面と凹部の段差がありますので、その段差の分、微弾性フィラーが 厚く付いてしまい、乾燥時の「引っ張り合い」で、ピンホールが出来るのです。
多分、微弾性フィラーの塗りたて時にはピンホールは出来ていないと思います。と、このような理由から以前の記事で向いていないと書きました。
考えられる理由
では、なぜこのような仕様の塗り替えをするのか考えられる理由としては、
① 知識も技術も低レベル。
② 問題が起きるのは承知しているが、発注主からの仕様依頼のため。
③ 補修箇所などが沢山あり、平滑塗りでは補修箇所が目立つ為、模様をつけて目立たなくさせる目的。
①は問題外として。
②は大人の事情もあったりして大変です。
③は「戻し」や「復元」とよばれる、「旧塗膜」と同じ施工法を行い、補修箇所を目立たなくしてから、フィラーで平滑塗りを行えば、問題は出なかったかと思います。それを行わなかった理由があるのかは、それもまた、大人の事情なのでしょう。
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