paint work’s 塗装工事に関する blog

建築塗装をはじめとした 色々な塗装工事についてのブログです

work 76 塗料の調色 塗料の色とインキの色 日塗工の配合

前置き

以前、建築塗料の調色について基本的な事を簡単に書きました。塗料などの調色では「減法混色」といい、色を混ぜればまぜるほど、色が暗くなってしまう調色法です。(色の三原色)

この記事では専門的な事ではなく、自分で塗料を調色(塗料を混色)する際の、基本的な事やちょっとしたコツしか書いていませんが、今回は インキの色見本色に塗料の色を合わせる場合について簡単に書いてみたいと思います。

一般の住宅などでは殆どありませんが、店舗や家具などの塗装を行う場合に、「インキの色見本帳」での塗装依頼が来ることがあります。塗料の色とインキの色では、「塗装と印刷」という違いがありますのでインキの色に合わせる場合は難しい色が多くあります。

そのような場合は、塗料メーカーに「インキの色見本の番号」を伝えると、「近似色」という、と似ている塗料を調色してもらえます。この、「近似色」という色が困ったもので、見る人によっては「許容範囲」な場合もありますし、「思っていたのとは全然ちがう!」という場合もあります。

塗料の場合は色だけではなく「艶」によっても見え方が変わりますので、いくら時代が進んでも結局はアナログな「実物を見て確認」しなければ、答えは出ません。

今回は塗料の色とインキの色との近似色について、また、日塗工の塗料の配合(レシピ)などについても書いてみたいと思います。 

paintwork.hatenablog.com 

色の表現法

RGB

テレビやPCなどのディスプレイやデジタルカメラなどに使用されている表現法です。R=レッド・G=グリーン・B=ブルー、以前の記事に書いた「光の三原色」です。 

出典:RGB - Wikipedia

こちらは「加法混色」といいまして、塗料の調色(混色)法ではありません。

CMYK

C=シアン・M=マゼンダ・Y=イエローの「色の三原色」と、キー・プレート(Key Plate)の頭文字です。

出典:CMYK - Wikipedia

主に写真や印刷物などの表現法です。「減法混色」といい、実際には主にインキを使用した色の表現法ですが、塗料の調色も「減法混色」になります。一般の塗料では必要な機能(隠ぺい性、耐候性(耐光性含))などが求められる為、「シアン」や「マゼンダ」などの三原色に当たる極めて鮮やかな色は一般の塗料としてはありません。 

変換

例えば、デジカメ(RGB形式)などで撮影したものを印刷する場合は、印刷するための方法としてCMYK形式に変換しなければなりません。

デジタルカメラなどで撮影された画像、あるいはパソコンのディスプレイ上に表現される色はライトの発光を利用して色を表現(加法混合)するRGB形式であるが、印刷物ではインク(色素)による光の吸収を利用して色を表現している(減法混合)。このように、画面と紙とでは発色の原理が全く異なる為、RGB形式の画像を印刷する場合はRGB形式からCMYK形式への変換作業が必要となる

引用:CMYK - Wikipedia

色の名前や規格

頭の中でイメージした色というのは相手にとって伝わりづらいです。ですので、相手に伝えるために 赤 や 青 などの色の名前があります。もっと正確に伝えるために決められた規格があり、規格の中での名前もあります。

決められた塗料の色の規格の中でも

「一般社団法人 日本塗料工業会」 が定める「塗料用標準色」は、「日塗工 (ニットコウ)」などと呼ばれている色見本帳で、日本工業規格であるJIS規格の色も含まれているために昔から日本の塗装業界では最も使用されている「塗料用標準色の色見本帳」です。

また、「オートペイントカラーズ」という自動車用の色見本帳などもあり、色見本台紙の裏側面には各色の配合(レシピ)も記載されています。「日塗工 (ニットコウ)」には各色の配合(レシピ)は記載されていません。

JPMA: 色見本帳のご案内(出典:一般社団法人 日本塗料工業会)

「「日塗工 (ニットコウ)」」には 色の名前となる、「色番号やマンセル値」が書かれています。この「色番号」を塗料メーカーに伝える事でその色を作ってくれますが、マンセル値だけを伝えても出来た色が違う事があります。「色番号」については「(一社)日本塗料工業会」が定めた番号(色の名前)で、 「マンセル値(色の名前)」については「マンセルカラーシステム」といい、アルバートマンセルさんという人が作りだしたのでマンセル値というそうです。

前記事では調色する為の原色として、「赤」「紺」「黄」「黒」「白」を 使用しています。他にも「オレンジ」「緑」「紫」などの原色(前記事参照)もありますが、これらの原色を合わせると、マンセルさんの考え方に近い調色となります。

マンセル値については

出典:マンセル・カラー・システム - Wikipedia

この日塗工の色見本帳は2年毎に最新版が発行され、有効期限もあります。建築工事(塗装など)に関わる人はマンセル値を基本的に使用しません。○版などと表示されていて、○はアルファベット大文字1文字で更新年ごとに変わります。

一般の塗料の場合は 日塗工に記載されている色が無い場合でも、AとBの番号の中間とか、Aをもう少し濃くとか、Aに赤味を足した感じ などと伝えれば、作る事が出来る場合もありますし、彩度の高い色(鮮やか)の場合は出来ない場合もあります。

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その他の色の規格

建築業界の塗装では基本的には「日塗工」だけで事足りるのですが、デザインに関する仕事をされている方は、海外製の規格(色見本帳)からインキの規格(色見本帳)まで複数の色見本帳を使用されているようです。

物体色用の規格

DICカラーガイド

DICの製品で、カラーガイドシリーズとカラーチャートシリーズに類別されている。特に日本で印刷用インクの特色のマッチングに使われる[4]。同様のものとして東洋インキのカラーファインダーがある。

 

日本塗料工業会標準色
日塗工あるいはJPMA標準色。日本塗料工業会が定める塗料の色標準。現在の日本の塗料の色標準、この標準番号を使えばメーカーからその色の塗料が購入できる。 

 

パントン
米国の企業、パントン社の製品。デザイン、工業、繊維、建築分野などで広く使われている。 

 

RAL (Reichsausschuß für Lieferbedingungen)
ヨーロッパで使われている規格。"Classic" と "Design" がある。 

 

ナチュラル・カラー・システム (NCS Palette)
スウェーデン工業規格 

引用:カラーチャート - Wikipedia   

色の規格は塗料だけではなく、インキなどの色の規格もあるため、色々な規格があり、別の規格から色を決めた場合は塗料の規格である、日塗工の塗料用標準色と照らし合わせて塗料の色を比べる事が多いです。塗料とインキなどの材料の違いがある場合は「近似色」とよばれる、近い色になってしまいます。

インキの色 webやアプリの色見本帳

実際の色見本帳をもっていなくても 、web や アプリなどでインキの色見本帳を確認する事が出来ます。どちらも「ディスプレイ」に表示されるので あくまでも目安ですが、ちょっとした確認などにはとても便利です。

COLOR FINDER WEB REFERENCE

(東洋インキSCホールディングス株式会社)

東洋インキ(株) の 「COLOR FINDER」 の web用の色見本帳です。私が最も注目している点は、webでの検索になりますが、日塗工との連携があります。塗装業者としての私の場合は 日塗工(塗料の色)との関わりの方が多いですので近似色などを簡単に比較できるのは素晴らしい事でもあります。

DICデジタルカラーガイド 

(DICグラフィックス株式会社)

デザイン関係の方だと殆どの方が知っているアプリだと思います。出先などでちょっと確認するのにとても便利で無料とは思えないボリュームです。スマホタブレット、PCではMac版などがあります。塗装業者としての私の場合は、日塗工との連携が欲しい所ではあります。

色の連携 

ここまで書いてきたように、インキの色を塗料で再現するのはとても難しいです。ですが、「材料も方法も違うのだから無理だよ。」 と言ってしまえば身も蓋もない話になってしまいます。では、どれくらいインキの色と塗料の色では違うのかを実際に比較できるものがあれば参考になるはずです。

今回は、(一社)日本塗料工業会の「ペイントカラー検索システム」と東洋インキ(株) の「COLOR FINDER WEB REFERENCE」を使用してインキの色と塗料の色の連携を試してみたいと思います。

ペイントカラー検索システム

「一般社団法人 日本塗料工業会」のHPには、「ペイントカラー検索システム」という、日塗工の色を検索できるシステムがあります。web上(ディスプレイ)表示ではありますが、とても便利なシステムです。

塗料用標準色の全色票番号・掲載版・マンセル値を掲載。他の色見本帳の番号から近い色を探せます。

引用:(一社)日本塗料工業会

 この、 「ペイントカラー検索システム」を利用すれば、対応している他の色見本の色を日塗工の色で近い色(近似色)も表示してくれます。

 

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出典元:JPMA 日本塗料工業会:ペイントカラー検索システム

COLOR FINDER WEB REFERENCE

「東洋インキSCホールディングス株式会社」のHPには、「COLOR FINDER WEB REFERENCE」という、東洋インキ(株) の 「COLOR FINDER」 の web用の色見本帳があります。この 「COLOR FINDER」という色見本帳の色は「ペイントカラー検索システム」で色番号検索することができます。「COLOR FINDER」で選んだ色を「ペイントカラー検索システム」で検索すれば、日塗工の色で近い色(近似色)を表示する事ができます。

「東洋インキSCホールディングス株式会社」のHPは、web用の色見本帳だけでなく、「イメージカラー検索」や、「仕事でつかえる色彩学」などもあり、充実した内容のHPとなっています。webデザインもとても美しく、 流石 色に関わる企業です。

 

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出典:COLOR FINDER WEB REFERENCE | TOOL | TOYO INK 1050


検索のやり方

まずは、「COLOR FINDER WEB REFERENCE」 で気に入った色を探します。「セットから探す」、「中間色から探す」、「トーンから探す」など、色々な色の探し方がありますが、今回はHP上部にある「COLOR」タグより、「イメージカラー検索」を選んでみました。試しに「涼しい」というキーワードで検索してみました。 

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「涼しい」で検索すると 下画像のようにキーワードに対する色が表示されました。試しに右側中段の表示された色をクリックすると、 

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クリックした色の詳細が表示されます。「COLOR FINDER」の色番号は「CF10304」です。その他の情報として、「sRGB」や「CMYK」などの情報も表示されます。

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「COLOR FINDER」の色番号 がわかりましたので次に日塗工の色で近い色(近似色)を「ペイントカラー検索システム」を利用して探してみます。

画像での番号順に進めていきます。

1)「他の色見本帳の番号を探す」を選びます。

2)「他の色見本帳の番号を探す」の右横の「選択」をクリックします。

3)画像にある欄をクリックすると選択肢が表示されます。

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「COLOR FINDER」の色番号を入力してから「検索」をクリックすると「COLOR FINDER」の色見本が出てきます。数字の前の「CF」は入力しても入力しなくても どちらでも大丈夫です 

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表示された「COLOR FINDER」の色番号をクリックすると、その色の近似色として日塗工の色で近い色が一覧表示されます。今回は「5種類」の日塗工の色が表示されました。

左側の色(画像での1⃣)が「CF10304」 で、右側の色(画像での2⃣)が「日塗工の色」です。ディスプレイ上での比較ではこのようになるみたいです。

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比較

CF10304 同色比較

まずは、「COLOR FINDER WEB REFERENCE」の色番号「CF10304」と、「ペイントカラー検索システム」で表示された「CF10304」を比較してみます。

上がペイントカラー検索システムでの「CF10304」です。下が COLOR FINDER WEB REFERENCEでの「CF10304」です。 

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CF10304と日塗工近似色の比較 

カラー検索システム上でディスプレイ表示された「CF10304」と 日塗工近似色での比較です。近似色は5種類の色が表示されましたが、上から2種類だけピックアップしました。

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ディスプレイ上での近似色と写真による近似色の比較

カラー検索システム上で表示された近似色の「45-70P」と「55-70P」 を、実際の色見本帳の写真(iphone内臓カメラ撮影) と比べてみました。もちろん写真なので、実物の色見本帳の色とは変わって見えると思います。

「ディスプレイ表示の色」と「実物の写真」ではこの様になります。実際に目で確認するとまた変わって見えてしまいます。

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CF10304と近似色写真の比較

「カラー検索システム」で表示された「CF10304」と「COLOR FINDER WEB REFERENCE」で表示された「CF10304」、近似色である日塗工の「45-70P」と「55-70P」の写真をそれぞれ並べてみました。 

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比較のまとめ

「CF10304」と比べると、日塗工 近似色の「45-70P」では「黄色味がつよい」感じで、「55-70P」では「青色味がつよい」感じがします。具体的にはそれらを考慮して調色を行えばもっと近い色の調色が行えそうです。

もちろん、全く出来ない色もあります。それは、鮮やかな色(彩度が高い)の場合が多いのですが、これらのシステムを使用して「出来ない色」の場合など、「どれくらい違うのか」が簡単に比べられるという事も大事な事だと思います。

日塗工の配合(レシピ) 

私の場合は、ペンキ屋ですので、何かの「色合わせ」を行う時には「基準」になるものとして「日塗工」を使用します。日塗工の色と対象物の色を見比べて、日塗工の色の中で一番近い色を探します。そこから実際には何色が多いとか少ないとか判断しながら調色を行います。また、塗料の艶によっても見え方が変わるので、場合によっては艶調整なども行います。

この記事の最初の方に書きましたが、日塗工 (ニットコウ)」には各色の配合(レシピ)は記載されていません。

日塗工の色を調色するためには、

・自身で調色する

・塗料販売店もしくは塗料メーカーに頼む

などの、どちらかになると思いますが、自身で調色を行う場合は、ある程度の経験がないと難しいのではと思います。

素人の方が「色を作ってみたい。」や、ペンキ屋だけど調色に自信がない人でも、日塗工の配合(レシピ)がわかれば、調色時にとても役に立つと思います。そこで今回は「ロックペイント株式会社」の、「調色配合データ問い合わせシステム」を紹介したいと思います。

調色配合データ問い合わせシステム

「調色配合データ問い合わせシステム」は、ロックペイント株式会社」が、提供しているweb上で自動車用の色や日塗工などの配合データが調べられるシステムです。また、ダウンロード版もあります。

使用する材料はもちろんロックペイント株式会社の塗料となっていますが、塗料の配合がわかるので応用も出来ます。使い方もわかりやすく簡単で ありそうでなかなか無い、とても素晴らしいシステムです。

実際には 調色作業は経験によるところが大きく、このような「目安」になるシステムを無料で利用できる事は凄い事で、塗料メーカーとして流石だと思います。

私の中ではロックペイントと言うと、自動車用塗料というイメージが強いですが、建築用塗料も含めて自動車用塗料も使用しています。 

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出典:ロックペイント株式会社 配色調合データ問合わせシステム

使い方 

今回は一連の流れとして、上で検索した色(インキの色→日塗工の色)から、日塗工の「45-70P」の配合(レシピ)を調べてみます。  

で囲んだ、「建築用、工業用塗料の調色配合データ」をクリック。 f:id:Paintwork:20180715124350j:plain

 

建築用塗料の場合は、「弱溶剤塗料」が多いので試しに、「塗料の種類」で「溶剤系塗料選択」し、「ダイナロックⅢ ハイホワイト」を選択します。「ダイナロックⅢ」という塗料は、「弱溶剤系 1液形ポリウレタンエナメル」塗料になります。 

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次に、「色見本帳」の項目で「日塗工」に合わせます。

 

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「カラーコード」の欄に 「45-70P」と半角で入力し、検索をクリック。(アルファベットは半角大文字)もしくは、下の日塗工番号一覧から探すことも出来ます。 

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検索された 「45-70P」が表示されるのでクリック 

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日塗工 色番号の「45-70P」の配合に関するデータが表示されました。後は数値通りに混色を行えばいいですので、とても参考になるデータです。 

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諸事情によりデータが表示されない場合もあります。 

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まとめ 

本格的な色の調色などはDIYなどでは難しいと思いますので、自分で調色するのは難しいけれど、「欲しい色、塗りたい色」がある場合は、プロである塗料販売店などに頼んだ方が確実です。原色をいくつも用意して調色するリスクを考えると「出来上がった色」を手にする方がコストも安くなると思います。

この辺はペンキ屋である私も同じで、少量の場合は自分で調色しますが、量が多くなると色を指定して材料屋さんに頼みます。もちろん、少量でも「原色が高価だったり、あまり使わない」場合などもありますので、その時も指定して頼みます。

自身で作った少量の色でも、材料屋さんに持ち込めば同じ色を調色してくれますし、すでにある現物(欠片)などを持ちこみすればその色に合わせて調色してくれる場合もあります。

一般の方にはあまり関わりが無いかとは思いますが、今回紹介したシステムを使用すれば、インキの色を探す → 日塗工近似色を調べる → 日塗工色の配合 まで、簡単に調べたり、比較したりする事ができます。一つ一つのシステムだけでも とても便利なシステムです。

もちろん、実物で確認や検討などは当然の事ですが、その前段階にこの様なシステムを利用すればスムーズな流れで打合せなども出来るかもしれません。 

 

今回はこの辺で