paint work’s 塗装工事に関する blog

建築塗装をはじめとした 色々な塗装工事についてのブログです

work87 出窓天板の塗装 オープンポア仕上げ

前置き

今回は、「出窓の天板」を「オープンポア仕上げ(目はじき塗装)」という塗り方で塗装します。

木は生活の中でも色々な物に使われていますので、木製品への塗装や仕上げには色々な塗装法や材料などがあり奥が深く面白いです。

一例では主に家具製品などの塗装法で「染色」などがあります。

paintwork.hatenablog.com

こちらは塗装屋でもあまり知らない人が多いですが、木目の導管を活かした染色法などもあります。 

paintwork.hatenablog.com

オープンポア仕上げ

木目を活かした塗装や木目を消してしまう塗装などがありますが、オープンポア仕上げというのは「木の導管」を見せる塗装になります。

木の導管は太い物や細い物があるので、オープンポア仕上げを行うには「導管の太い」物に対しては行いやすいですが、「導管の細い」物に対してはあまり見栄えがよくなりません。

オープンポア仕上げは導管を見せる塗装法ですが、木の雰囲気を失わないように、着色(ステイン)してからクリヤー色で仕上げる方法や、ペンキ(正確にはペンキではありませんが)みたいな塗料でベタ塗りする方法があります。

後者の方は、簡単な施工で「木目は消えてしまうけど導管が残る」ので「木製なんだよ。」との見せ方が出来ます。

今回の出窓の天板

今回塗装する出窓の天板は、「カラークリヤー(色付きニス)」で仕上げられていました。木に着色はせずに、透明塗料に色を加えた塗料で表面を塗装している感じです。

出窓の天板なので、日照による紫外線などで塗装が劣化しやすい部分でもありますので、塗料が剥がれたり、液体の入った物を置いた跡などもあります。

幸いにも「導管が太い」のでオープンポア仕上げの選択肢もあります。

f:id:Paintwork:20190217134647j:plain

仕上げ方の選択肢

この様な状況の場合、綺麗に仕上げるための選択肢としては、

①木目を活かしたオープンポア仕上げ(クリヤー仕上げや着色クリヤー仕上げ)

②木目を消してしまうオープンポア仕上げ

③染色仕上げ

④ダイノックシートなどの装飾シート貼り仕上げ

⑤普通のペンキ塗り(正確にはペンキではありませんが)

などがありますが、①と③の仕上げ方を選んだ場合はクリヤー層を全て剥がす必要があり、その後に研磨で落ちない染み汚れなどがあれば「漂白」なども行わなくてはならなくなります。

木の漂白についてはこちら

paintwork.hatenablog.com

他にもワックスやオイルフィニッシュなどの仕上げ方などもありますが、出窓の天板という性質上向いていないので選択肢には入れていません。 

今回の仕様

お客様の要望として、「塗料の剥げた部分や染み跡などが消えればなんでもいいので簡単で安く出来る方法で。」という事でしたので、ペンキのベタ塗りに近い方法で行います。安く簡単にと言われましたが、他の塗装工事の合間に行うサービス工事なので。。

上の項であげた「②木目を消してしまうオープンポア仕上げ」になります。

使用する塗料は「弱溶剤2液型シリコン塗料」で、刷毛塗りで行います。仕上色はお客様に確認してもらい自身で調色しました。

軽く研磨

塗料の剥げなどがありますので、段違いを無くすためと、塗料の密着をよくする為に紙ヤスリで軽く研磨します。f:id:Paintwork:20190217134851j:plain

上塗り1回目

刷毛塗りで1回目を塗りました。オープンポア仕上げの場合は「塗料の希釈率(粘度)」がかなり重要な要素になります。

f:id:Paintwork:20190217135020j:plain

乾燥中(1回目)

塗料は乾燥すると「痩せる」ので塗料を塗った直後よりも導管がハッキリわかるようになります。と同時に塗料の艶も少し引くので落ち着いてきます。(この様な場合は、私的にはあまり艶を出したくないのです。)オープンポア仕上げの場合は規定よりも希釈を多くし、塗料の痩せる率を多くします。

f:id:Paintwork:20190217134941j:plain

上塗り2回目

上塗りの1回目が乾燥した後、軽く紙ヤスリで表面についたホコリなどを落としてから、2回目を刷毛で塗りました。この後、乾燥していくにつれ艶も引いて塗料も痩せるのでちょうどいい位になればと思います。

f:id:Paintwork:20190217135449j:plain

完成間近

2回目の上塗りが乾燥してきて艶が少し引きました。私的には「半艶消しのクリヤー」を上から塗って、「半艶仕上げ」位でもいいのですが、今回はこれで。(現在は室内の木製品や家具などで艶がありすぎるのは流行りではないです)

艶も引いて塗料も痩せたので、「導管」も程よくわかるようになりました。

外部の塗装などでは「塗り終わると完了」となるのですが、「内部の塗装や手で触るような所」の塗装ではホコリや小さなゴミの付着などの除去を行ってから完了となります。

室内とはいいましても塗装場や塗装ブースなどではなく、あくまでも現場なので塗料の乾燥中にホコリなどが付着してしまいます。ですので乾燥後に表面に付着したホコリなどを除去し、見た目や手触り感などを良くします。

が、家の塗り替え専門などの塗装屋ではこのような事を知らない業者の方が多いです(塗って終わり)。

f:id:Paintwork:20190217135838j:plain

刷毛塗りですが、刷毛目などは出ていないでしょ?。これは塗り方はもちろんですが、希釈率や材料の選択などにも関係します。

f:id:Paintwork:20190217140410j:plain

今回はこの辺で。