work102 水性塗料で簡単なフローリングの塗装
はじめに
今回は古くなったフローリングを出来るだけ費用を掛けずに水性塗料を使用して、刷毛塗りでそこそこの仕上がりにする方法を紹介したいと思います。
古くなったフローリングを綺麗にするには、「フローリングの張替え」や、古いフローリングの上から新たにフローリングを張る「重ね張り(上張り)」などが一般的です。
塗装でも綺麗にする事は可能ですが、「綺麗にする事」を前提に考えるとある程度の費用がかかります。私ならある程度の費用をかけて塗装を行うならば、「張替えや重ね張り」をします。(塗装屋の私が言うのも変ですが。)
ですので、出来るだけ費用を掛けずにそこそこの仕上がりで「張替えや重ね張り」までの繋ぎとして塗装を行う方法を紹介します。ですので どちらかというとDIY向けのやり方です。
もちろん、高級な無垢材を使用した床などはソレ用の塗装などもあります。
Before after
今回はやり方の前に塗装前と塗装後の画像を載せます。
画像のフローリングは賃貸の一軒家(貸家)の台所です。入居者が出ていかれて、新しい入居者が入るので室内を全体的に綺麗にするのですが、大家さんの考えは貸家なので出来るだけ費用を抑えて綺麗にしたいという案件です。
別の記事として書こうと思っていますが、クロス壁紙なども張替えずに塗装を行いました。
塗装前
塗装後
使用材料
水性ウレタンクリヤー(半艶)
今回は水性塗料の「水性ウレタンクリヤー(半艶)」を使用します。私のブログにちょこちょこと出てくる「透明」の水性塗料です。「艶あり」「艶無し」「半艶」と3種類の塗料の艶を選べますが、それぞれの塗料を混ぜて艶を調整する事も出来ます。
床材を塗れる塗料は色々あるのですが、「溶剤系」の塗料が多いです。この材料は水性ですが、仕様として床材なども塗装できます。水性ですので溶剤臭もありませんし、溶剤塗料に比べて塗りやすい(施工しやすい)事と、食品衛生法にも適合していますので安心して塗る事ができます。
容器に移すと「乳白色」をしていますが、乾燥すると透明になります。塗料を厚く塗りすぎたり塗料が溜まったりした場合は白いまま透明にならない場合があります。塗料を希釈する場合は規定量がありますので希釈しすぎないようにします。今回私は、殆ど希釈していません。
画像に写っている刷毛はホームセンターで1本100円(5本で500円)の物ですが、この刷毛で塗っています。
塗料の使用量としてはこの台所(6畳くらい)で3回塗り、計1L~1.5Lくらいでしょうか。正確には量っていないので忘れちゃいました。
着色剤
透明の塗料を現状のフローリングに塗っても艶などが変わるだけで、汚れたり色が薄くなったりしている部分はそのままです。綺麗になった感ゼロです。
ですので、着色して現状の汚れたり色が薄くなったりしている部分を誤魔化します。
注意点
下地処理(剥離や漂白など)を行わずに木目を活かす(透明や半透明)仕上げの場合は、元の色目よりも明るくしたり薄くしたりする事は出来ません。
そもそも一般的なフローリング材は「合板」なので本格的な下地処理は出来ません。
ですのでフローリング表面を軽くヤスリかけする程度の下地処理を行い、現状で一番濃い色目の場所よりも濃い色目で塗る必要があります。
使用する着色剤は「水性」の物を使用します。水性クリヤーに混ぜて使用するからです。今回は、水性キシラデコールの(ウォルナット)をベースに調色剤を混ぜて色を作りました。クリヤーに混ぜて使用するだけなら調色剤だけでいいのですが、ヤスリ掛けを行った後、最初に着色剤を塗るので水性キシラデコールを使用しています。
水性キシラデコールのウォルナット色をベースに調色剤を入れて色を作りました。
出来た着色剤を水性クリヤーに混ぜて、塗料の感じを見ます。入れた着色剤が少なければ薄く、多ければ濃くなります。
塗装手順
今回はフローリングに塗装している工程の画像がありません。代わりに下で窓枠などを塗っている画像を載せますが、一応の手順を書きます。
フローリングの塗装手順
① 紙ヤスリでヤスリ掛け(今回はスポンジペーパーを使用しています)
② 清掃・脱脂(油汚れなどは家庭用洗剤で拭き掃除しています)
③ 着色剤を加えたキシラデコールを1回刷毛塗り
④ 水性クリヤーに③を加えてカラークリヤー(色付きニス)を2回塗り
⑤ 仕上げに色を加えていない水性クリヤー(透明)を1回塗り
備考
脱脂などは弱いシンナー(ぺいんとうすめ液)やシリコンオフなどの物がいいのですが、溶剤臭を出したくないのと 溶剤を使用して脱脂すれば わざわざ水性塗料を使用する意味がないので(室内で溶剤臭を出さないねらい)家庭用洗剤で掃除しています。
③は行う、行わない どちらでもいいのですが、今回は行いました。
刷毛塗りは、端から板目に沿って5~6枚分づつ横に塗っていきましたが、塗り途中のクリヤーが乾燥しだすと、刷毛目が出たり刷毛で繋いだ部分が出てしまうので、自分のペースで刷毛繋ぎ部分の塗料が乾かないように塗っていく必要があります。
カラークリヤー(色付きニス)は基本的には刷毛で塗る事は出来ません(色ムラになるので基本は吹付になります)。半透明なので刷毛で塗るにはちょっとしたコツなどがあります。
基本的にはカラークリヤーをヤスリ掛けする事は出来ません。仕上げに透明を塗る必要があります。
窓枠
フローリングを塗った塗料と同じ塗料で窓枠や建具枠など(木製)を塗ってみます。この窓枠も染みや色焼けなどが目立ちます。
ヤスリ掛け
軽くヤスリ掛けを行います。スポンジペーパーを使用しています。
着色した水性クリヤー1回目
カラークリヤーというのですが、わかりやすく言うと色付きニスです。
水性クリヤー(透明)
2回目もカラークリヤーを塗ります。その後に水性クリヤー(透明)を塗って仕上げます。
お風呂場建具枠
枠が傷んでいた部分があったので大工さんが部分的にやりかえました。敷居なども全体的に塗ります。
2回目
カラークリヤーを2回塗りましたが、色が薄い部分やムラなどが目立つのでこの後色の薄い所を塗り、調整します。
おまけ
フローリングを塗装した台所は場所柄、天井や壁のクロス壁紙も他の部屋よりも汚れていました。流し台は画像の通り、表面の化粧板が剥がれたり、凹んだりしています。
ですので、天井や壁のクロス壁紙も塗装して、流し台もチョコチョコッと補修しました。
流し台補修前
チョコチョコッと補修後
場所柄的に、流し台の前のフローリングは特に傷んでいます。
完了
天井、壁のクロス壁紙も塗装して、流し台も補修。フローリングを塗って完了です。
最後に
今回は極力費用を抑えてそれなりに見えるような作業でしたが、本格的に取り組めばもっと綺麗な塗装作業も行えます。ですが、実際には費用を抑えて綺麗にみえるようにする事の方が、経験やノウハウが必要になったり、作業時間等も絡んできて難しいなと感じてます。
ですので、費用を抑えて現状より綺麗にしたいなどの場合は今回のやり方は向いているのでDIYなどに挑戦するのもいいかもしれません。
刷毛塗りでカラークリヤーを塗る場合は慣れてない場合だと、少し難しいかもしれませんが、今回は水性塗料なので慣れればそんなに難しいものでもありません。
刷毛塗りは綺麗にならないと思われがちですが(私がそうでした。)、素材や形状、材料によっては綺麗に塗る事が出来ますよ。(今回は100円の刷毛で塗りました)
機械があれば、刷毛の持ち方や使い方などの記事も書いてみようと思います。
今回はこの辺で。