work15 屋根の塗装 遮熱塗料
遮熱塗料
過去記事で 屋根の塗装について書きました。
今回は「遮熱塗料」について書いてみようと思います
前置き
一般の住宅に使われる「遮熱塗料」は、主に「屋根用」です。
最初に書いておきますが、遮熱塗料は条件さえ満たせば充分な効果を得られます。
ですが、条件を満たせない場合は効果はありますが、過度な期待をもつとがっかりするかもしれません。
遮熱塗料の概要
最初に発売された遮熱塗料は、「中塗りが白色」でした。上塗りがどんな色でも中塗りは白色です。
遮熱塗料の効果は塗装する色によって大きく影響を受けます。現在では塗料カタログに色別に反射値を記入しなければいけなくなっています。
白は太陽光を反射しやすく、逆に黒は太陽光を吸収しやすい原理はご存知かと思います。遮熱塗料も同様に黒を塗装した場合、またそれに近い色を塗装した場合は、どうしても白に比べて効果は落ちてしまいます。
ですので最初にあげた この中塗りの白色が、「太陽光の反射」にとって重要らしく、中塗りの白色を上塗りで完全に「隠蔽」してしまわないようにだと思いますが、上塗り材は中塗りの色が「透けて見えるような」材料でした。(現在でも多くの遮熱塗料がそうです。)
上塗りの事をわかり易く言えば、「クリヤー塗料のなかに色が入っていて、
「半透明のような仕上げの上塗り材」でした。 (現在でも多くの遮熱塗料がそうです。)
ですので、上塗りの仕上げがうまくいかず、「黒」で塗っているにもかかわらず、中塗りの白色が透けてみえる状態になり、初めて使用した時はかなり困惑しました。(本来はそれが目的なのでしょうが、 仕上げの面からみるとあまり良くない状態です。)
遮熱塗料の場合、温度上昇を防ぐため「黒の原色」を使用せずに、数色の原色を混ぜ合わせ黒い色に見えるようにする。という調色方法を用いているそうです。(実際の遮熱塗料の黒は手近で見ると とても濃いグリーンやブルーに見えます)
また、塗装後数年経過した後に変色しやすいようです。現在では塗料の改良なども行われ、当初よりはマシになりましたが、一般塗料と比べると仕上がり的にはまだまだかなと思います。また、中塗りが白ではない遮熱塗料も出てきました。
実際の効果
私の見解では一般住宅での遮熱塗料の効果は、住んでいて温度が下がったことを実感できるレベルではなく、塗らないより塗った方がいい程度の効果しかない感じがします。
理由としては、
一般住宅の屋根、「瓦やトタン、コロニアル」などでは黒系や、それに近い濃色が多いです。薄い色でもグレーとかです。反射率の高い「白系」などは折半屋根などはともかく、普通の住宅の屋根では塗った事がありません。
・反射率の悪い色を選択してしまいがち
・屋根裏には断熱材や小屋裏換気による通気システムなどがあるため、屋根の表面温度が下がったとしても、それが直接部屋の温度を下げることにはなりにくい。
などにより、遮熱効果が高く望めるとは思えません。
屋根表面の温度が10度低下したとしても、そのまま部屋内も10度下がるわけではないということです。
反対に屋根裏などのない倉庫や工場などの折板屋根、屋根裏の断熱が弱い場合などにはとても有効です。
私的見解だけでは裏づけも無いので、データは古いものですが、公的機関の実験データも載せておきます。
平成20年9月20日付けで
「経済産業省産業技術環境局 産業基盤標準化推進室」が発表したデータで、一般塗料と遮熱塗料を、同じタイプの建物で塗り分けた比較データが公表されました。
「遮熱塗料の性能評価のためのJISを制定」http://www.jisc.go.jp/newstopics/2008/20080919syanetutoryou.pdf
追記:リンク切れのようです
このデータの中では「気温が30℃を超えた室内気温上昇の記録」で、
塗料:一般塗料と高反射率塗料の比較
測定時期:2006年9月2日~9月5日
その気温差は「1.7℃~2.2℃」という結果になっています。
また、エアコン稼働実験にて、
各部屋の内床面積: 7.7帖
温度設定: 28℃
換気回数: 05回/時間
測定時期: 2008年8月5日~8月18日
の条件にて、電力削減結果は、7%という結果になっています。
データも古いものですし、現在では改良を重ねこのデータよりも塗料の性能も少しは上がったかもしれません。
この遮熱塗料を施工する時は、
・「太陽光の反射」をする塗料なので「曇っているけれど暑い」時は、全く効果を発揮してくれません。
・体感気温が「-2℃~-3℃」と思うくらいで納得できる。
と、このような事を理解した上で施工しないとガッカリすることになると思います。
今回はこの辺で。