paint work’s 塗装工事に関する blog

建築塗装をはじめとした 色々な塗装工事についてのブログです

work49 木製ドアの塗装

前置き

今回は「木製ドア」の塗装について書いてみたいと思います。下の写真は私が8年ほど前に「塗り替え塗装」した木製ドアの「現状」です。つい最近お宅の近くを通ったので、確認してきました。 

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ドアに関しては 塗装直後よりは若干クリヤーの艶が引けています。枠(ワイン色)に関しては下の方が少しキズなどが入り、塗装が剥げている部分もありますが、8年経過した割にはまずまずといった所でしょうか。

8年ほど前、最初に現場調査に行った時、理由は後で説明しますが、このお仕事(ドアの塗り替え)をお断りしようと思ったのですが、私が現場調査に行った時にはすでに、数社の業者からお断りされていて、「なんとか出来ないか。」という事でした。

理由を聞きますと、このドアは昔 ご夫婦で海外旅行に行ったときに、偶然目にとまり、一目見て気に入って購入されたそうです。私もこのようなデザインの木製ドアは 初めてみました。

このお宅のご主人様は年配の方ですが、DIY的 な事が非常に好きな方で、室内も含め このドアに、事ある毎に、「ホームセンターで購入した色付ニス」をご自分で塗っていたんですね。それ自体は悪くはないのですが、「厚塗りしすぎ」になり、木目も見えなくなるほど「真っ黒」になっていました。

この状態での「木目を活かす塗り替え」だと、複雑な彫り物などもあるため、大変な作業になってしまうので、あたってみた業者に断られたのだと思います。ご夫婦の熱意というか、そういうものも感じられましたので、「やれるだけで了承してもらえるならやってみます。」と。

もう、やってみないと観ただけでは判断できないくらいの状態だったんですね。仕事ですので、費用や期間などお互いが納得出来なければ始まりませんし。奥様から「途中でなげださなければ、とりあえず完成させてくれればいいから。」と、冗談ぽく言われました。(笑)

ちょっとした「荒隠し」で「色付のニスやクリヤー」などを塗るのはいいのですが、塗れば塗るほど「色が濃く」なります。「白木」などに「色と透明保護」が同時に出来るので便利ではありますが、塗りすぎ(回数)に注意する必要があります。また、ホームセンターなどでは「色が付いている物しか」売っていないことが多いので、知らずに購入してしまうのかもしれませんね。

もちろん、プロでも「色付の透明」は使います。木に「染色や着色」をした後、「サンディングシーラー」という下塗りを塗り、その時点で、最終的な仕上がりがあまり良くない状態だと判断した場合、(木の種類によっては染色や着色に色ムラが出る場合がありますので。)「着色材などをクリヤーに混ぜて」、カラークリヤーを作り、吹きつけで(カラークリヤーを塗る時は基本的には吹き付けで行います。)色ムラなどを補修してから、最終的な「透明」を塗って仕上げます。

施工前の写真は無いのですが、施工中の写真(工程がとびとびですが)はありましたので載せてみたいと思います。各工程の写真がとびとびなので申し訳ないですが、順を追って説明したいと思います。

施工中

ご自分(ご主人様)で塗られた「ニスの厚み」がハンパないのと、複雑な細工などが有りますので、剥離材などは使わず、手作業と、電動工具の「サンダー」、歯医者さんの道具みたいな、「ルーター」、を使用して、ニスを剥離していきました。まだまだ序盤です。ドア全体が「印」を付けている部分のように色付ニスで木目が見えなくなっていました。

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問題?

研磨していく過程で 大変な事がわかりました。最初の状態では真っ黒状態だったので分かりませんでしたが、画像で印を付けている部分が「ポリ(プラスチックみたいな物)」で作られていました。完全な「彫り物」ではなく、ポリの上に彫刻された模様を貼り付けて、「パーツとして組み込んでる」みたいです。これでは着色や染色など出来ませんので その場でお客様と相談になりました。

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仕様

このままでは、ポリの部分は着色出来ないので、「塗りつぶし」を行い、塗りつぶしを行った色を模様(彫刻)にも多少つけて「ボカシ」をする事になりました。木の部分のニス剥ぎが終わりました。

ドア中央の部分のニス剥ぎはハンパありませんでした。気が遠くなりました。次は木の部分を「漂白」という作業を行います。画像では漂白はまだ行っていません。「漂白」については機会があるときにでも記事にしたいと思います。

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途中経過

木の部分の漂白も終わり、お客様と相談したあと、任意の色で着色しました。

ポリの部分は奥様の好みでワイン色に決定しました。ポリの部分は「サフェーサー(グレー色)」を下塗りとして塗っています。また、枠系もニスを剥いでドアの色と同じ 着色仕上げを予定していましたが、ドアとのバランスを取る為に相談の結果、ポリの色で塗ることに決定しました。

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以降は、サフェーサーの部分をワイン色で塗り、クリヤーで仕上げました。

ご主人様の強いご希望で、「強い艶」を出してくれとの事でこの様になりましたが、私的にはあまり艶は出さない方がいいかなとは思いました。

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続きは 

paintwork.hatenablog.com

今回はこのへんで。