work52 深夜のシャッター塗り
前置き
ここは、とある施設内のお店。お店を全面的に改装したので シャッターを塗装したいとの事。
事前に調査に行き、物を見てみると、シャッターを開閉時の「巻き傷」がついています。シャッターの上げ下げ時に擦れているのだろうと思います。
しかも他の工事の都合上、工期はたったの1日(正確には半日)で夜の間しかありません。
現状
このままでは塗装しても開閉すると擦れた箇所の塗装が剥げてしまいます。
シャッターの調整が必要と伝えるも、調整が出来ないとの事。日程的にも、物理的にも難しそうみたい。やろうと思えば出来るのだと思いますが、そこは大人の事情もあるみたい。
開閉の擦れで塗装が剥げると思いますが、それでもいいのでしたら塗装します。と、伝えると、それでもいいのでやってくれ。と。
シャッターを塗装する場合の施工法は、シャッターの形状にもよりますが、
・吹きつけ
・刷毛やローラー
などの方法があります。今回は場所が場所だけに、吹きつけはNG。したがって、刷毛やローラーを使用して手塗りをする事になります。
塗装時の注意としては、塗膜を厚く塗りすぎない事、パネルとパネルの間(目地)の奥まで塗りすぎない事、などが挙げられます。
どちらも「動作不良」や「擦れによる塗膜の剥離」が起きやすくなります。
使用する塗料についても、なるべく硬度のある塗料がいいです。気休めかもしれませんが、少しでも擦れに強い塗料がいいです。
今回指定された上塗りの色が「真っ白」でした。擦れて下地が露出して錆も出ているので、
プライマーなどでは駄目なので、
・2液型変性エポキシ錆止め塗料(白色)
・強溶剤2液型ウレタン塗料(白色)
を使用します。上塗りにはとても硬度があり、耐久性のある塗料もあるのですが、予算や施工方法なども考えるとこの仕様で行うのが今回の決まりになりました。どちらにせよ、シャッター自体の調整が出来ないのならば同じ事なので。
錆止め塗料はともかく、強溶剤2液型ウレタン塗料は吹付け施工に向いている塗料なので、刷毛やローラーで塗るのは 塗りにくい部類になります。(乾燥が速い為、手早く塗ること、尚且つ刷毛やローラーのつなぎなども出やすく、上手く塗らないと見苦しい仕上がりになってしまいます)
PM10:00
日中はお店がすでに営業しているため、閉店後、シャッターを下ろした状態で塗る事になります。この時間だと、まだまだ施設を利用するお客さんも多く作業するのにも色々と気を使います。地元の祭りと重なりいつもより人が多かったです。
PM11:00
ケレン作業や脱脂清掃など終え、錆止め塗料を塗っている所です。まだまだ人も多く、「塗料臭」などを気にしながらやっています。このシャッターは平らなのでローラーで塗りやすいのがせめてもの救いでした。先にローラーで全体を塗り、パネルの間(目地)は目地刷毛とよばれる、小さな刷毛を使用して後から塗ります。刷毛で塗りながら、塗料を切った(塗料をつけていない)ローラーで、刷毛跡を消しながら塗ると刷毛跡を出さずに綺麗に塗れます。
AM0:00
何とか錆止め完了です。人も段々と少なくなってきました。
AM2:30
施設の入場が出来なくなり、一人ぼっちで作業しています。たまに警備の方が見回りに来ますが、人が居なくなったので、作業はやりやすくなりました。
錆止めの乾燥を待ってから、上塗りの1回目、中塗りを完了させました。本来なら塗膜をなるべく薄くしたいため、ここで完了したい所ですが、写真ではわかりにくいのですが、上塗りの色が 「真っ白」 なので 隠ぺい力がなく仕上がりがイマイチです。ですのでこの後、乾燥を待ってから上塗りの2回目を塗ります。
AM5:00
すでに施設を利用するお客さん達の人影がチラホラ見え始めています。2回目の上塗りも終了し、触っても大丈夫なくらいは乾燥したので、材料や道具などを片付けるのですが、ここは「3階」なので、来た時は使えたエレベーターなどが止まっており、材料や道具を片付けて運ぶ方が 仕事をするより疲れてしまいました。
AM6:00
作業が完了してから 1時間程 乾燥や人通りの様子を確認し、問題が無い様でしたので「作業完了」です。ちょっと眠い。
最後に
本来は このような作業の場合は、乾燥や作業状態を考えると 「1日1工程」 くらいでやるのがいいのですが、店舗などの工事ではそのようなやり方は基本的には「無理」です。そこは、「大人の事情の塊」です。仕事の良し悪しではなく、要求に答えるのも仕事の内ですが、その辺を理解出来るようになるまでには それなりに時間がかかります。
今回はこの辺で