work107 室内の塗装 ビニルクロスに塗装
クロスの塗装
一般住宅の室内の天井や壁にはクロスが貼られていますが、そのクロスの上に塗装を行う記事になります。
クロスの種類に関しましては、「ビニルクロス」「布クロス」「紙クロス」や「特殊加工されたクロス」等、色々ありますが今回は一般的にも多い「ビニルクロス(塩化ビニル樹脂系壁紙)」の上に塗装を行います。
「一般社団法人日本壁装協会」のHPでは壁紙の種類や生産・出荷量なども調べられ、各社発行の最新カタログなども見る事が出来ます。
その他の種類のクロスの塗装に関しましては機会があればまた記事にしたいと思います。
クロスに塗装する意味
私は天井や壁などのクロスが汚れたり劣化した場合は「張り替え」が一番いいと思うのですが、「コスト的な事(張り替えより安く済ます)」「DIYなどでも行える」など、昔からクロスの上に塗装を行ってきました。
つまり、「クロス張り替え費用よりもコストを抑えてそれなりに仕上げる」という意味合いが強いです。
使用する塗料
使用する塗料は主に「室内」なので、VOC規制や臭気などの面を考慮して水性塗料になります。
艶的には、「艶消し~3分艶あり」程度の艶の無い塗料になります。
昔は「EP(合成樹脂)エマルジョンペイント」と呼ばれる、現在では低グレードの塗料を塗っていましたが、年々改良された塗料(その分価格も上がっていきます)を塗るようになってきました。
塗装後の見た目はどの塗料もあまり変わりはありませんが、「スイッチ」や「コンセント」などの「手で触る」部分への汚れの付き方が違います。(もちろんそれ以外にも差がありますが)
私的にはあまり高額な材料(意匠系塗材 含む)を使用するのならば、「クロス張り替え」の方がいいと思っています。
DIY
1部屋の天井や壁などのクロスを剥がして下地を補修し、クロスを貼り付けるのは
素人の方がDIYで行うのは難易度が高いと思いますが、ペンキを塗るのならばDIYでも行えそうな気がします。
作業の流れ
作業の流れを簡単に書くと、
1)荷物や家具などを移動する。(塗るクロスの掃除清掃含む)
2)汚れてはいけない所をマスキング(養生)。
3)ネジ穴や浮き、剥がれなどの補修。
4)塗料を塗る。
5)塗料が乾燥したら養生を剥がし、荷物や家具などを戻して完成。
と、なります。
作業の実際
ここからは画像にちょっとした説明をいれながら実際にクロスの上に塗装を行っていきます。
作業前
今回塗装する室内(玄関ホール)の天井と壁になります。画像をよく見て頂くとわかりますがこの玄関ホールは壁の各面でクロスの柄が違います。過去に補修などにより各面毎にクロスの張り替えを行っていたためだと思います。
他の部屋やトイレ内、リビングなども塗装します。
ネジ穴やクロスの繋ぎ目や破れなどがあります。
マスキング(養生)
荷物の移動や簡単な清掃を済ませたのでマスキング(養生)を行います。
脚立を使用するので床に傷が入らないように脚立の足に靴下を履かせています。
✓マスキングテープ(紙製)やマスカー、ナイロンなど
塗装用の養生テープ(布テープ)は室内では使用しません。(そもそも私は養生テープは内外装ともにあまり使用しません)
理由は綺麗な塗装の線が出ない事と、室内では木製や新建材などの枠や家具などが多いので養生テープ(布)だと粘着力がありすぎて木や新建材の表面を剥いてしまう場合があるからです。古くなった木製品や新建材では紙製のマスキングテープでも表面を剥いてしまう事があります。
画像は左のバスケットの中に「マスカー」右に「マスキングテープ」、下の2本が養生用ナイロンです。
私がよく使用しているマスキングテープは「塗装用ではなく」シーリング用の物です。理由は色々あるので今回は割愛しますが、テープ幅24mmの物です。普通は18mm幅の物を使用している方が多いのですが、これも私なりの理由があり幅広のテープを使用しています。塗装用のマスキングテープ(紙)も色々な種類やテープ幅があります。
他にも養生製品は沢山の種類があります。
緑のナイロンは幅1800mm、半透明のナイロンは1000mmのダブル(広げるタイプ)で2mの幅になります。
上の養生用品を使用して養生を行うとこんな感じになります。
✓マスキング(養生)を行う
実際に室内にマスキング(養生)を行う場合の注意点として、マスキングテープを貼る場所をラスター刷毛(ハンド箒)などでホコリなどを落としてからテープを貼ります。
木製品や新建材にテープを貼る際にはできるだけ木目と同じ方向にテープを貼るようにします。テープに方向性はないのですが、テープを剥がす際に関係します。
また、木目と同じ方向にテープを貼っていても 木目の方向とは逆(右から左とかその逆も)にテープを剥いでしまうと木が剥けてしまう場合があります。
角などを(入隅部)などを貼るときはヘラなどを使用してしっかりテープを貼り付けます。ヘラなどを使用しないで「手」だけでテープを貼ると大体の場合、塗料が滲み込んでしまい掃除や手直しが必要になります。(指先は丸いので)
上で使用するマスキングテープを紹介した時に「24mm幅」のテープを私は使用している旨を書きましたが、その一つの理由として「マスカー」を使用する際にマスカーに付いている「布テープ」が木製品などに直接付かないためです。
補修など
マスキング(養生)が一通り終了すると、次は壁の穴や破れ等を補修します。
補修には主に「コークボンド」や「パテ」などを使用します。今回はパテを使用するほどの補修はありませんでした。
画像の物は同じコークボンドではありますが、ジョイントコークなどの内装用(クロス剥離防止)とは違います。穴埋めやクロスの繋ぎ目などに充填して補修します。
塗料を塗る
養生も終了したらいよいよ塗料を塗る段階です。
室内での塗料塗りはまずは上履きが必要になります。これは床に落ちた塗料を踏んで外や隣の部屋に出た場合大変な事になってしまいますので。特に雨の日など、外にそのまま出てしまうと地面が大変なことになってしまいます。
今回の塗料
今回塗る塗料は、「スズカファイン株式会社」という塗料メーカーの「クロストップクリーン」という塗料になります。
トップページへのリンクフリーとの事ですので、まずは「スズカファイン株式会社」のHPから「製品一覧タブ → 内装用 → 4,ビニルクロス塗り替え用 → 製品内容[水系][つや消し]ビニルクロス塗替用塗料 → クロストップクリーン」をクリックして頂けますと製品の詳細がわかります。
今回使用する塗料の色は「日塗工(代表的な色見本帳)」の白(N-95)の次の色で、「N-93」という白色です。
塗料はよく撹拌してから使用しないといけません。成分が缶の底に沈むからです。画像の様に「天を切る(一斗缶などの上部の一面を皮スキ等で切る事で、用語・符丁です)」って撹拌するのが望ましいですが、天を切らない場合は缶を逆さにしたり横にしたりしてよく振ります。粘土の高い塗料などは「撹拌機」などで混ぜますが、今回は板切れで混ぜました。
✓上塗り一回目
今回は下塗りをせずに上塗り2回塗りで完了となります。
塗料を刷毛とローラーで塗る場合のポイントですが、2点あります。
1点目は隅の方やローラーで塗れない場所を刷毛で塗ってから広い面をローラーで塗るというのが一般的なのですが、「刷毛で塗った個所が乾く前」にローラーで重なるように塗るというのがとても大事になります。
どういうことかと言いますと、刷毛で塗った場所が乾いてしまうと刷毛とローラーで塗り重なった箇所だけ「2回塗り」になり、「刷毛の跡」がはっきりわかってしまいます。
そうなってしまうと、以降何度塗ってもその箇所は「塗りが一回多い」事になってしまいます。これを「刷毛跡」といい、仕上げのクオリティに関するとても重要なポイントです。
「刷毛で塗った場所が乾く前」というのは季節や湿度などでも乾燥時間が変わるので調整が必要になりますし、材料によっても違ってきます。これが「本職」でもわかっていない人がとても多いです。刷毛跡が出るのは刷毛の塗り幅とかは関係なく、刷毛で塗った場所が乾いてしまう事によって出来ます。
2点目はローラーの塗り方で力加減が悪いと「返り(耳)」とも言うのですが、「塗料の筋」が出来ます。この「返り(耳)」を消しながら仕上げていきます。
1点目も2点目も今回は短い説明で切り上げますが また機会があれば記事にしたいと思います。
完了
塗料を2回塗ってマスキング(養生)を剥ぎ、荷物や家具を元に戻して完了になります。(軽く清掃含む)
最後に
クロスの上に塗装するのは大昔から行っていました。
賃貸物件やアパートやマンション、特に1ルームのアパートやマンションなどでは学生さんの利用などが多く定期的に入居・退去が繰り返されるので「安く塗装で済ます」事が多かったです。
塗装を行えるだけ行った後、もう塗装を行うのは無理な状態になってからクロスの張り替えをし、次回からはまた塗装というようなサイクルもありました。
きちんとした管理会社ではそのような事はなくクロスの張り替えを行いますが、やはり予算は低くクロス屋さんもやっつけ仕事になりがちみたいです。
塗装には塗装の、クロスにはクロスの良さがありますので何とも言えませんが、どちらにしてもお部屋が綺麗になると気持ちいいですね。
おまけ
リビングとか。
作業前
養生中
完了後
今回はこの辺で。