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work10 モルタル外壁の塗装 その② 新築時の塗装の種類

モルタル外壁 新築時の塗装の種類

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 前回では「モルタル外壁の塗装」の予備知識などを書きました。 

paintwork.hatenablog.com 

今回では塗り替えの話の前に、新築時の塗装(塗装工事1回目)の事を書こうと思います。

まず、知識として「単層塗材」と「複層塗材」という言葉をあげておきます。

◎単層塗材とは、

中塗りと上塗りを同じ塗料で塗装します(上塗り2回塗り)

例) シーラー(下塗材)→ 中塗り(上塗り材)→ 上塗り(上塗り材)

単層塗材は「下塗材と主材」(上塗り材での中塗り、上塗り)の2層で構成されています。

注:単層塗材とはわかり易くするための造語です(一般的には単層弾性塗料などに使われます)

◎複層塗材とは、

中塗り(主材)と上塗りは別の塗料で塗装します。

例) シーラー(下塗材)→ 中塗り(主材)→ 上塗り材2回塗り

複層塗材は下塗材・主材・上塗材の3層で構成されています。

各塗材には特徴などは色々ありますが、一番の特徴は「複層塗材」は上塗りのグレードを変えられる点でしょうか。

特殊な仕上げを除き、モルタル壁新築時に施工されるであろう一般的な塗装をざっとあげますと、

・リシン

・タイル

・スタッコ

・スキン

・弾性系塗料

・装飾仕上げ系塗材

などが挙げられます。新築時には全体的な予算設定もありますので、「予算に糸目を付けない」人意外は外壁塗装の予算は厳しくなり、「装飾仕上げ塗材系」を除きこれらの塗装が一般的かと思います。

塗装の種類の説明 

それぞれを説明しますと、

リシン

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(水性・吹付・単層塗材)

寒水石やサンドと呼ばれる骨材を塗料に混ぜ、吹き付けによる施工で仕上げます。仕上がり後の艶はありません。

・カタログ記載標準施工例

シーラー → リシン吹き付け(主剤1回目)

・カタログ記載標準施工例(厚吹き)

シーラー → リシン吹き付け(主剤1回目)→ リシン吹き付け(主剤2回目)

殆どの場合が、シーラー → リシン吹き付け(主剤)1回で、完了する施工が多いのではないかと思います。

吹き付けタイル

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(水性・吹付・複層塗材・上塗り=水性・溶剤どちらも有)

主剤を玉状に吹き付けをし、その上から上塗りをして仕上げます。主剤の玉(模様)の大きさは大小変える事が出来ますが、玉(模様)を大きくした場合は、次の塗装時に違う模様に変更することが難しくなります。

玉(模様)の凸部をローラーで押さえて「ヘッドカット」という模様もあります。

上塗りの塗料のグレードによって耐用年数も変わってきます。タイルという名前がついていますが、一般的に「タイル」というイメージとは違ます。新築時に施工される場合、上塗りに使われる塗料は予算の都合上、グレードの低いものになりがちです。

近年では、玉(模様)のサイズを従来より小さくした「小粒模様」が一般住宅では主流になっています。

施工例)

シーラー → 主剤を玉状に模様付け →(仕様により凸部押さえ)→ 上塗り2回

スタッコ

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(画像元:エスケー化研株式会社)

(水性・吹付・単層塗材)

吹き付けによる施工です。主剤が上塗り材になり、正確にはちがうのですが、見た目は、「吹き付けタイル」 と 「リシン」を混ぜたような感じです。

「吹き付けタイル」に骨材が入り「ゴツゴツ」とした印象になります。吹き付タイルのように、玉の模様のままの仕上げもありますが、多くの場合、玉(模様)の凸部をローラーで抑えて「ヘッドカット」という模様にするタイプです。

近年では模様の大きさを小さくしたり骨材も小さなものに変えている傾向があり、主剤の上に上塗りをするタイプもあります。

施工例)

シーラー → (主剤)ベース吹き付け → (主剤)玉状に模様付け →(凸部押さえ)

スキン

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(水性・吹付・単層塗材)

ローラーによる施工法もありますが、一般的には吹き付けで施工します。「砂壁状」や「石材調」の仕上げとなり、「陶石」や「天然石」をはじめとした、各種の無機質着色骨材の組み合せにより、多彩色模様を作ります。

簡単に説明しますと、他の塗料と違い「顔料は入っていない」ので石の組み合わせが塗料の色になります。

砂状の「陶石」や「天然石」を樹脂(接着剤の役目)で固める感じです。「陶石」や「天然石」は「無機質」なので理論上はいつまでも持つのですが、固める役割の樹脂(接着剤の役目)の寿命がくれば塗装としての寿命も来ます。

寿命を長持ち、汚れを防止させるために上塗りとしてクリヤーを塗布する施工法もあります。

 施工例) 

シーラー → 主剤(スキン) → 主剤(スキン)

または、

シーラー → バインダー(主剤に合わせた色の下塗り)→ 主剤(スキン)

弾性系塗料 

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 (水性・単層塗材・複層塗材もあり)

(複層塗材の場合の上塗りは水性・溶剤どちらも有)

弾性塗料と言うと、一般的には単層弾性をさします。ローラー施工、吹き付け施工ともありますが、一般的にはローラー施工による「なみがた」模様の施工法が多いです。

モルタル外壁の弱点として、「ひび割れ(クラック)」があげられると思いますが、ある程度の「ひび割れに追従」し、表面をひびにさらさないとした利点があるとされ、塗り替え時(2回目の塗装)などに、もっとも多く使われてきた材料の1つだと思います。

種類、施工法と色々あります。「弾性リシン」、「弾性タイル」、「弾性スタッコ」などの、吹き付け施工法もありますが、沢山の種類があるという事は施工数も多いという事でトラブルも多々ありますが、きちんとした施工をすればコスト的に優良な塗料でもあります。

ただし施工後、早ければ数年で、塗料が硬質化しだし次第に弾性力を失って行きます。弾性塗料を施工した塗膜の上に再塗装する場合、材料や施工法などにより、膨れや捲れなどのトラブルが起きやすくなります。そのため正しい塗料の選択や施工法なども必要になります。

工数で言えば新築時よりも「はじめての塗り替え」で、施工されるケースが多いのではないかと思います。施工例)

単層の場合)シーラー → 単層弾性平滑塗り → 単層弾性なみがた模様塗り

複層の場合)シーラー → 複層弾性なみがた模様塗り → 対応上塗り2回塗り

装飾仕上げ塗材系

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(画像元:アイカ工業株式会社)

(主に水性・コテ塗り・吹き付け・ローラーなど)

「ジョリパット(アイカ工業)」、「マヂックコート(フッコー)」、「ベルアート(SK化研)」などの、コテ塗り系(吹き付けも有ります)や、

「セラグラニー(山本窯業)」、「エレガンストーン(SK化研)」、「ペリアート(日本ペイント)」などの吹き付け施工での自然石調仕上げや、多彩模様などの意匠性を重視した塗装です。

施工法もさまざまで高級感もありますが、施工費用は高めです。材料の種別や施工方法によっては、次回の塗り替え時には塗料や施工法の選択肢が少なくなってしまいます。

また意匠性の高さから、表面の模様(テクスチャー)がさまざまで、模様(テクスチャー)によっては ホコリが溜まりやすい、雨だれがつきやすいなどの面もあります。そのため上塗りとして特殊コートを塗布する施工法もあります。

と、色々な種類の塗装がありますがこれらの新築時(1回目の塗装)の種類によって、はじめての塗装(2回目の塗装)時に、限られた施工しか出来なくなる場合があります。ですが、これはデメリットだけではなく、メリットもあります。 

続きは 

paintwork.hatenablog.com

 今回はこの辺で。