paint work’s 塗装工事に関する blog

建築塗装をはじめとした 色々な塗装工事についてのブログです

work19 木の塗装編 染色

染色塗装

前回は塗装工事としてはあまり一般的ではない内容を紹介しましたが、

  

paintwork.hatenablog.com 

今回は木目を活かす塗装の1つ「染色塗装」を紹介したいと思います。 

 

木目を活かす塗装は数種類あり、その目的も違いますが、この、「染色塗装」と言う塗装施工法は主に、「家具」や「住宅」、「店舗」などの塗装などで「木製品の仕上げ」などに使われています。

一般の住宅では新建材ではない、建物内部の窓枠や階段などの無垢製品や突板などを使った塗装仕上げにも行います。

用途としては主に、「無垢材」や「突き板」、また、新建材の部類ですが、「集成材」など、色を染込ませる事が出来る木材に行う事が可能です。

地域によって呼び方が変わるかもしれませんが、私の周囲では砥之粉(とのこ)」を着色材(水性)に混ぜて塗りこみ、拭き取りにより色づけと目止めを同時に行う事を「染色」と呼んでいます。

また、「砥之粉(とのこ)」を使わず(目止めを行わない)に、「色づけ」をする事を「着色」と呼んでいます。

素材(木の種類)や、製品の質、他の製品に色を合わせるなどの関係上、染色だけでは仕上がりがうまくいかない場合などは、その上からクリヤーに着色して、「カラークリヤー」などを塗る場合もありますが、最終的には「クリヤー」で仕上げます。 

昔は、先に「砥之粉(とのこ)」を目止めとして塗りこみ、その後から「色づけ」を行っていましたが、作業を効率的に行うためや、塗料材にも良い製品が出来てきたため、現在のような施工法に変わってきました。

目止めに「砥之粉(とのこ)」を使用するので、着色剤は「水性」の物を使用します。

新しい染色法

また、比較的 新しいやり方として「砥之粉(とのこ)」を使用せずに、「着色剤(油性)」に、「油性の目止め材」を混ぜて使用する施工法などもあります。

最近はこちらのやり方で行う方の方が多いかもしれません。 ですが、この方法には絶対に注意しなければいけない点があります。機会があれば書いてみたいと思います。

染色塗装のやり方 

今回も現場で捨ててあった端材を使ってサンプルを作ってみたいと思います。

端材です。落ちていた木端なので汚いです。木の半分で色が分かれており、染色をするにはあまり良い木ではありません。

このような木だと染色(薄い色などの)には基本的には向いていません。あえて染色するなら素材の赤みを生かした「チーク系」や、「濃いめの茶色系」なのですが、今回は染色法の「サンプル」ですので、無理を押してクリーム系(白木をイメージ)で行ってみます。

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まずは汚れを落とす為と表面をならす為にサンドペーパーをかけます。サンドペーパーの番手は240番~320番くらいでいいと思います。

中央上段の染みがまだ残っていますのでもう少し研ぎます。

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「砥之粉(とのこ)」です。ホームセンターでも売っています。

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器に分け、水を含ませると柔らかくなります。柔らかくなったら、調合した着色剤(水性)に適量混ぜます。写真では、まだ「砥之粉(とのこ)」と水だけです。

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柔らかくなった「砥之粉(とのこ)」と調色した着色材を混ぜて、刷毛で塗りこみます。その後、柔らかい布(ウェス)などで表面を拭き取ります。

色的にムリがあったため(木の赤みを隠すのに)、少し濃いめになってしまいましたが、サンプルなのでこれはこれで。  

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充分に乾燥したら下塗りに「サンディングシーラー」を、刷毛、もしくは吹き付けで塗ります。今回は端材だったので刷毛で塗りました。

その後、表面を滑らかにする為にペーパーをかけ、表面が綺麗になるまで「サンディングシーラー塗布 → ペーパーかけ」を繰り返します。

サンディングシーラーを塗った事で少し生地の赤みが浮き出てきてしまいました。

サンドペーパーの番手は320番~400番程度でいいと思います。もしくは、スポンジペーパーの「スーパーファイン(3m)」でいいと思います。

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サンディングシーラーで充分な下地を作った後、仕上のクリヤーを塗ります。

今回は「半艶クリヤー(任意の艶)を2回」刷毛で塗りました。

例)クリヤー塗り → ペーパーかけ → クリヤー塗り

木目をもう少し、出せれば良かったのですが、元々ムリそうな色目の端材でしたのでしょうがないかなと思います。

クリヤーを研磨するサンドペーパーの番手は400番以上がいいと思います。もしくは、スポンジペーパーの「スーパーファイン(3m)」でいいと思います。

完成

(屋外)

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(室内)

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最後に。 

染色は小さい物は簡単ですが、広い面や大きな物などに施工する場合は、拭き取り作業で仕上がりが決まると言ってもいいほど、拭き取り作業が非常に難しい施工法です。

実際の仕事などでは、「〇〇(既製品)に合わせてください。」などの依頼がほとんどですので、調色(サンプル作成)にも手間が掛かります。

家具製品の染色で優れた木工塗装士の方などは、染色作業をする前に 木材を水に浸け表面のケバを浮かせてからペーパーかけ作業をする方もいます。そうすることにより、よりはっきりとした染色仕上げをする事が出来るそうです。

今回使用している「サンディングシーラー」や「クリヤー」は、「2液型の溶剤塗料」ですが、最近では「水性」の、「サンディングシーラー」や「クリヤー」などの 塗料もいい製品が出ているので 「DIY」などを行うのも楽しいかもしれません。

 

続きは 

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今回はこの辺で。