paint work’s 塗装工事に関する blog

建築塗装をはじめとした 色々な塗装工事についてのブログです

work54 木部の漂白と塗装

木部のアク洗いや漂白

今回は木部のアク洗いや漂白作業について、少し書いてみようと思います。

 

 

主に、和風の家などに多いですが、家の一部(玄関周りやポーチ柱、梁など)や、板壁などを使用した純和風の家などの、「木」を使っている部分の汚れなどを落として綺麗にする作業を、「アク洗い」や「漂白」などと呼んでいます。

アク洗いや漂白作業は専門の業者がありますが、以前に紹介した記事で、

paintwork.hatenablog.com 

「木材保護塗料」を塗る下準備として、ペンキ屋の私も行います。

一概には言えませんが、漂白作業の行える塗装業者の場合、(専門ではないので漂白作業を出来ない塗装業者もあります。)他の塗装工事に付帯した形で依頼した場合は、専門の業者に依頼するよりも金額的に安く出来る場合が多いです。

また、漂白作業後の作業(綺麗を維持する為の作業)の選択肢も、塗装業者の方が多いのではと思います。漂白作業をした後に何か(木材保護塗料など)を塗る場合など、塗る作業に関しては塗装業者の方が専門になりますし。

木部の洗い作業や漂白作業には薬品を使用します。従って、素人の方の作業は避けた方がいいですので、今回は商品名や薬品名は書きませんが、作業の一連の流れなどを書いてみたいと思います。

作業の流れ 

作業に着手する前の画像です。

着工前paintworkn

今回は、玄関周りの下屋軒裏、梁、ポーチ柱を洗い、漂白作業の後、木材保護塗料でもある、「キシラデコール」ピニー色を2回塗りします。

* 作業の流れとしては、

1)木部のあく、汚れ落とし。

2)あく洗い後のシミ落し。

3)あく洗い後の日焼け・カビ落し漂白

と、「3種類の薬品」を使用し、3段階の工程を行います。薬品自体は目的別に色々と販売されています。専門の業者は「各薬品を調合」し、薬液を作成しますが、私の場合は業務用に市販されている薬品を使用しています。

また、ニスやクリヤーなどの塗装などがされている場合は、剥離剤やサンダーなどの工具などを使用し、塗料を剥ぎ落としてから作業することになります。

着手前 

* まずは着手前です。

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何も塗装されていないので作業はやり易い部類になります。経年とともに蓄積された汚れが付着しています。

漂白後 

アク洗い、漂白作業が完了した状態です。

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上で書いた流れの作業をし、しっかり乾燥させました。汚れなどが落ち、きれいになるので「このままがいい。」と、思われる方も多いです。 

アク洗い漂白後の選択

洗いや漂白作業が必要な時期には、木の表面自体も劣化している場合が多く、洗い漂白作業を行った木の表面は少し傷んでしまいます。(薬品を使用するため。)

ですので、綺麗になったとしてもこのままだと、また直ぐに汚れてしまいますし、水分を吸い込みやすくなっていますので、木が腐り易くなったり、カビが生え易くなったりします。

その為、作業後は手作業やサンダーなどの工具を使用し、サンドペーパー(紙やすり)などで、表面をなだらかにする作業も行います。ですが、鉋(かんな)をかけるような、(物理的に無理ですが)「超仕上げ」になるわけではありませんので、水分を吸いやすいのはあまり改善できません。

この状態からの選択肢は、

1)このまま何もしない。

2)木部用ワックスを塗る

3)木材保護塗料を塗る。

となるのですが、

1)は、また直ぐに汚れてしまう事と、水分などを吸い込みやすく、木が腐りやすくなったり、カビが生え易くなったりします。

2)は、水分の吸い込み止めとしてや、汚れを防ぐ効果がありますが、ワックスなので効果が短いです。

ですので、3)の木材保護塗料を塗る事が多いです。

なのですが、1つ問題が起こります。出来るだけこのままの綺麗さで木材保護塗料を塗りたいのですが、透明系の塗料やワックスなどを塗っても漂白作業をした木は「色が濃く(いわゆる濡れ色)」なってしまうんですね。

「新品の木」とは違い、経年的な劣化が生じているので、塗料や水などの「吸い込み」が激しく起き、「色が濃く(濡れ感)」なってしまいます。

新品の木では「カンナかけ」などの超仕上げをしているので、水などはほぼ吸い込みませんので「色があまり変わる事はない」ですが、漂白後の木は元々の経年劣化による傷みと、薬品による傷みで液体などが吸い込みやすくなってしまいます。

ですので、「水」を塗っても濡れ感が出来、「色が濃く」なってしまいます。

解決策的な物としては、出来るだけ研磨作業で木の表面をなだらかにする事なのですが、(カンナかけなどは物理的に現場作業では無理なので。)

平らな物にはやりやすいですが、複雑な形状や丸い柱などでは、物理的に現場作業では無理な場合も多々あって、新品の木の様に表面を超仕上げする事は困難です。

ですので、木材保護塗料などを塗っても、色見本より「色が濃く」なることも多々ありますので、事前の説明や打ち合わせなどが重要になります。 

造膜タイプや半造膜タイプの木材保護塗料を塗るという選択肢もあるのですが、浸透タイプとは違い、木目などの良さを活かしきる事は出来ません。

 後は特殊ですが、「染色」などで、木の色を染めてしまう手もありますが、 

paintwork.hatenablog.com

染色の場合、最終的な塗装表面は「クリヤー塗料」になりますので、「外部」の木目を生かした塗装には向いていません。

理由はクリヤー塗料の劣化の問題や、木材保護塗料の様に木材を保護する成分

配合されていないので内部はともかく外部には向いていません。 

木材保護塗料を塗って完了

木部保護塗料を2回塗り(今回の場合。)して完了です。

今回はキシラデコールのピニー色を2回塗りました。キシラデコールは乾燥が遅いので、2回塗りする時は1回目の塗装が充分に乾燥しない内に2回目を塗ると、1回目に塗った塗料が溶けてしまいます。カタログに書いてある塗り重ね乾燥時間は、気温20℃・湿度65%・木材含水率18%で、「12時間以上」となっています。 

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最後に

木部の洗いや漂白作業は、木が古くない、傷みがひどくない状態ならば、木の綺麗さを維持できますが、そうでない場合は、ワックスや保護塗料などを塗ると色が濃くなってしまう事がほとんどです。

この世の中に1品しかない貴重な物であれば、お金に糸目をつけず、作業も妥協することなく作業すれば、復旧作業はできると思いますが、現状では、作業サイクルや予算など考慮すると、どうしても作業が限定されてしまいます。

この作業は手間をかければかけるほど綺麗に出来ますが、その分工事金額も跳ね上がります。妥協する事がいい事とも思いませんが、実際にやってみないと どの程度まで綺麗になるかわからない時もあります。

 

今回はこの辺で